3D CAD推進プロジェクト プロフェッショナル連載記事

アフターCOVID 19を考えてみる

連日、新型コロナウィルス(COVID 19)の報道が続いています。
私は2月に渡米(2月8日入国・13日出国)しましたが、その前後では大きく世界の状況は変わってしまったようです。

meviyに関わる製造業の皆さんも、この変化の影響を受けていることでしょう。

私が住んでいる長野県は多くの観光地があり、観光収入への影響も大きく、また、県内の製造業では、中国の生産活動が抑制によって、部品や原材料の輸入が停留してしまい、調達が滞る状況も発生していることや、海外経済全体が減速してしまったことによる受注減が懸念されています。
時間が経てば経つほど、これらの影響も大きくなっていくことが予想できます。

 

しかし、これから将来のことを考えて、「アフターCOVID19」を考えていかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

働く場所

テレワーク:ICTを活用し時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く勤労形態

という用語を日常的に聞くことになりました。

これまで対応していなかった企業も、急速にこの「働き方」を採用していると聞きます。
もともと、テレワークは、「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語です。
情報通信技術ICT【Information and Communication Technology】を使うことが、企業の中で普通になっていたからこそ、この事態で一気に普及したのではないでしょうか。

前回のblogでも、このテレワークについて話ましたが、離れた場所を示す「場所」によって、その働き方の名前が違ってきます。



在宅勤務
:自宅を就業場所とする勤務形態のことをいいます。
会社とはパソコンとインターネットで連絡をとります。

モバイルワーク:顧客先や移動中にノートパソコン、携帯電話などを使って業務を行う勤務形態のことをいいます。

サテライトオフィス勤務:勤務先以外のオフィススペースで就業する勤務形態のことをいいます。会社とは、パソコンとインターネットで連絡をとります。
1社専用サテライト、共同サテライト、レンタルオフィスなどがあります。


私も最近、コワーキングスペース内の部屋を利用した会議の体験をしました。

コワーキングスペース(画像提供:ワークラボ八ヶ岳)

毎年恒例なものとして、東京の会場に出向いて、参加者の皆さんに対して、プレゼンテーションを行う会議を行っていましたが、出張や外出の自粛という理由から、これまでの「やり方」が変更となりました。

GoToMeetingというWeb会議システムを利用して、東京の多拠点(おそらく在宅勤務の人もいたのかもしれません)の参加者の皆さんに、長野県茅野市の会議室から、私は、ライブでプレゼンテーションを行う「やり方」となったのですが、問題なく行うことができました。

他にも、このようなWeb会議システムには、zoomというものがよく使用されていると聞きます。

 

また、立て続けにこんなことも・・・

当初、東京と大阪の2か所で行われる予定だった、私が基調講演を行うセミナーが、中止となってしまいました。

しかし、オンデマンド※で行われることに変更となり、基調講演の収録を行ってきました。



オンデマンド
【On Demand】

ユーザー(視聴者)の要求があった際に、その要求に応じてサービスを提供すること。


ブラウザなどを通じてユーザのリクエストに応じて、テキストや画像などのコンテンツを配信するデータ配信はオンデマンド方式です。

講演者しては、聴講されている皆さんの顔が見えないので、「反応がわからない」ことに、戸惑うこともありましたが、聴講者の皆さんにとっては、時間や場所を選ばずに聴くことができるこの「やり方」にはメリットもありそうです。

このような「やり方」は、一般的な「やり方」に変化していくのではないでしょうか。

既に会期終了してしまいましたが、ITmedia株式会社では、「ITmedia Virtual EXPO 2020」(2020年2月18日(火)10時~3月13日(金)18時)がオンラインで開催されています。

 

コワーキングスペースについても話しましたが、ここでは、その施設を利用する個人(企業)や企業間で、企業同士が提携してビジネスを行うという協業も行われることもあるようです。

事務所スペース、会議室、などを共有しながら、独立した仕事を行う共働ワークスタイだからこそ、その共有空間に集まる専門的な知識と経験を持つプロフェッショナルが、自由闊達に意見交換が出来て生まれるビジネスがありそうです。

 

モノを実際に作る「現場」は、「モノを作る物理的な場所」で作業を行う必要はありますが、「働く場所」「働く時間」は、職種によっては、広がりを見せることになるでしょう。

特に私が関わるような設計関連では、その「制約」を外すことの可能性を感じています。私は、設計はハードではなく、ソフトだと考えています。

設計は「人に依存する依存してきたもの)」ものです。「その人の知識」や「特に経験」が重要であって、場所ではありません。

 

ソフトウェアの業界では、「プログラム言語」という共通の「モノ(言語)」によって開発設計を進められます。そのため、国の違いによる日常会話の言語の違いがあっても、共通のプログラムは作ることができるだろうし、働く場所の違いも、オンラインで仕事ができるのなら共有することもできるので、他の職種に比べて、「働く人」も含めて、「働く場所」「働く時間」の障壁は低いのではないかなと思います。

機械設計はどうでしょう?設計の成果物は、「図面(3D/2D)」と「部品表(BOM)」です。

これもまた共通の「モノ」です。

 

  • 同じCADシステムを使うことによる共通化
  • 異なるCADデータをダイレクトに開く仕組みによる共通化
    (例:SOLIDWORKSの「3D Interconnect」※注)
    注 異なるCADのライセンスは必要
  • 3DCADデータを中間ファイル(IGES・STEP)に変換する際に最適化を行う仕組み
    (例:CADdoctor(株式会社エリジオン 製品)など)

 

このような「仕事をする仕組み」を使えば、日本のどこであっても、海外であっても一緒に設計の仕事をすることができそうです。

私にも、ベトナムで設計者向けの教育を行っているベトナム人の友人がいます。また、ベトナムに設計室を持つ日本企業の社長さんの知人もいます。

 

かつて(2000年代初め)、株式会社トヨタケーラム(現在 株式会社トヨタシステムズ)が「世界同時立ち上げ支援システム」と言っていた製品群がありましたが、現在では、「プラットフォーム化」によって、中小企業でも、スタートアップ企業でも、「開発設計の同時立ち上げ」の可能性が見えてきているように思えてなりません。

サプライチェーンを考える

2000年初めにSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した時も、アジア各国にある日系企業の操業停止や代替え生産工場での生産確保といった問題や、その後のリーマンショックのような世界金融危機では、世界的な経済活動の停滞によって企業倒産という問題が発生、自然災害による影響や、好景気時には、需要に対して供給不足になってしまうような問題も発生、今回も同様に発生したように、サプライチェーンにおける問題は発生し続けています。

 

景気や世界情勢に関わらず、安定した調達を行うにはどうしたら良いのでしょうか

 

サプライチェーンを支援することができるシステムはあります。

私が知っている中では、富士通株式会社のCOLMINA(コルミナ)や、ダッソー・システムズ株式会社のDELMIA(デルミア)などがあります。

サプライチェーンの問題が生じた際に、どれだけサプライチェーンを高速化するのかという仕組みですが、これは、今話題のDX【Digital transformation】デジタルトランスフォーメーションという「デジタルで仕事のやり方を変える」というものです。

まだまだ中小企業が導入していくには、高価なもので手が出るようなものではありませんが、これら普及も進むことでしょう。

 

「仕事のやり方」の一部が変わっていくことが、どう生産性を高めることができるのか
皆さん、一緒に考えませんか?

調達のための成果物になる部品表(BOM)を構築していく上では、「統合化部品表」という「考え方」もありますが、これは次回に話しをしたいと思います。