金属加工

生産技術ってどんな仕事?

製造業において非常に大切な役割を担う生産技術。省略して「生技」ともよばれます。しかし製造業に携わっていない人からは、あまり知られていない部門でもあります。今回は製造業の縁の下の力持ち、生産技術の仕事について解説します。

生産技術ってどんな仕事?

生産技術とは?

生産技術とは?

生産技術をひとことで表すと「設計と製造をつなぐ仕事」になります。たとえば紙コップを作ろうとしたとします。設計者はコップの形状や材質、寸法を決めるのが役割です。一方で生産技術では、材料の紙をどのようにテーパーのある筒状に曲げるかや、ふちの部分の紙をどのように丸めるかなど「どうやって作るか」を考え、実現するのが役割になります。もちろん設計者も作り方を考えながら設計しています。しかし、設計者の構想からさらに踏み込み、それを量産で実現するための方法を考えるのが生産技術なのです。
生産技術部門がカバーする範囲は非常に広く、生産ラインや設備、治具の設計にはじまり、工程内で不良が出た場合の改善など、さまざまな業務を担います。設計された製品が製造できるように準備するだけでなく、製造コストや品質などにも関わる、非常に重要な仕事です。企業の規模などによっては設計部門や製造部門が生産技術も兼ねていて「生産技術」という独立した部門が存在しない場合もあります。
生産技術の業務は主に、設計された製品をどのように量産するかを考えるフェーズと、量産している、あるいは今後量産される製品をより効率よく生産するかを考えるフェーズがあります。

設計された製品をどのように量産するか

設計された製品をどのように量産するか

生産技術の業務の1つが、設計された製品を量産するための準備です。先述の紙コップを例にとると、当たり前ですが、設計者も「どうやって紙コップを作るか」は考えています。しかし「こういう加工機械を使えばいいだろう」とまでは考えていても、実際にその機械を使用する際に必要な条件、加工時間や速度、機械のモードなどまで詳しく想定していることは、あまりありません。その部分を担うのが生産技術部門のエンジニアなのです。
生産技術では、加工に使用する工具や機械を選定し、手順や実際の加工方法などを考えます。必要に応じて設備設計を行うこともあります。またそれを作業者に伝えるための指示書を用意したり、作業者が作業しやすい環境を作るため、作業場のレイアウトを考えたり、作業用の治具の設計をしたりします。
また量産の準備中や量産開始後に工程内不良などの問題が発生した場合にも、生産技術部門が対応します。

効率のいい生産、コスト改善も大切な仕事

効率のいい生産、コスト改善も大切な仕事

生産技術に求められるもうひとつの役割が、より効率のいい生産の実現です。製品はただ作ればいいわけではありません。同じ製品でも、生産にかかるコストを抑えたほうが、利益が上げられるからです。そのため、1つの製品をより早く作れるようにしたり、廃棄される材料の量を減らしたり、不良率を下げるなどの工夫が求められます。これらは量産開始前からも考慮される内容ですが、生産が長く続くものであればあるほど、量産後にもさまざまな工夫や改善が求められるようになります。工程全体を見通し、どの部分に改善の可能性があるかを見つけるなど、総合的な視野が求められます。

まとめ

生産技術とは、製品を世に送り出すために、設計と製造の現場をつなぐ大切な仕事です。設計された製品の製造方法を考えたり、ラインの設計を行ったりします。量産立ち上げの際には品質のチェックを行い、正しく量産できているかの確認を行います。また量産開始後にも、生産現場の改善を通してコストダウンに貢献するなど、重要度の高い分野です。

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