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デジタル試作とリアルな試作の使い分け

3D CADの用途はモデリングの道具から、設計検証や関係部署との情報共有に至るまで広がってきました。また3次元モデルはデジタル試作品としてバーチャルな空間での組み立て検証や、動作検証に利用されます。しかしリアルな試作品での検証作業も不可欠です。

デジタル試作とは?

デジタル試作は3D CADを利用して作成される体積、質量を持った3次元モデルです。

  • 精度:実際の機械加工とは異なりばらつきがありません、3次元モデルの寸法公差と幾何公差の値は0です。
  • 強度検証:CAEを利用して応力分布や変形などを検証できます。
  • 組立て検証:3次元モデルは実際には触れませんので、完璧な組み立て検証や操作性検証が困難です。
  • 動作検証:CAEを利用して検証が可能ですが、実際の動作を検証するためのパラメーターが不足します。バリの影響、グリスの粘度の影響などはCAEでは計算できません。
  • 加工可能性:機械加工では加工できない様な形状でもモデリングできてしまいます。

リアルな試作とは?

リアルな試作とは、実際に機械加工などで作成される部品です。図面や3次元モデルでメーカーに手配するのでコストと納期が掛かり手軽に何回も作成できないため、最終確認用の試作に利用されることが多くなります。

  • 精度:機械加工のため寸法公差や幾何公差の範囲内でばらつきが発生します。
  • 強度検証:実際の強度を反映できますが、応力の値などは基本的に測定できません。
  • 組立て検証:実際の部品で行うので作業者の感覚も加味して完璧に実施できます。
  • 動作検証:部品のばらつき、バリなどの外乱要素など加味して検証できますので生産ラインで起こる不具合などをもれなく検出できます。
  • 加工可能性:機械加工などができない形状は加工不可となります。

デジタル試作とリアルな試作の使い分け

 

精度 強度検証 組立て検証 動作検証 加工可能性
デジタル試作
リアルな試作

 

デジタル試作もリアルな試作も完璧な各種検証はできませんので、組み合わせて活用することが重要です。構想段階からの検証はデジタル試作をメインに利用して、最終検証でリアルな試作と利用すると開発期間、試作コストなどを最適化することができます。

まとめ

デジタル試作の限界は実際の部品や製品の挙動を100%再現できないことにあります。例えばコーヒーカップが持ち易いかは実際に持ってみないと判りません。逆にデジタル試作でしか判らないこともあります。応力集中箇所などです。適材適所の試作活用が重要です。

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