ものづくり基礎知識 加工部品の見積もり・調達

3Dデータを購買の交渉カードにする

購買部門の業務は安定した生産に不可欠です。些細なミスでも全社のラインをストップさせて多大な損失を与えてしまいます。購買は調達がうまくいって当然で、ミスをすれば大問題になってしまいます。3Dデータを交渉カードにすることで、購買のミスを防ぐことができます。

部品調達では冒険しない

部品の調達は単に購入すれば良いわけではありません。設計の図面に基づいて、安定した品質で、必要な個数を適切な納期で購入する必要があります。しかもコストダウンも求められますので、実績のある購入先を第一優先で考えます。
したがって新規購入先の開拓といった冒険は、できれば避けたいと考えます。

筆者の経験上でも会社を揺るがす様な大きな問題は、新規購入先への切り替えが原因で発生することが多いようです。

しかし3次元化が進んだ現在は、3Dデータで手配を行うために新規購入先を開拓する必要があることも事実です。

3Dデータを交渉カードにする

① 3Dデータを交渉カードにしてミスをなくす

図面による手配で多くあるミスは図面の読み間違いです。通常は部品メーカーの読み間違いによるミスですが、設計者の図面が不親切な場合には購買側で責任を取る必要があります。近年は設計者の図面力が低下していますので、図面での手配には一定のリスクがあると考えなければいけません。

3Dデータを使って手配すれば、上記の問題点を全て解決できます。実際の部品形状が表現されますので、読み間違いや解釈の乖離はありません。しかし3Dデータでの手配ができる購入先を持っていない場合には、冒険して新規取引先の開拓を始めておく必要があります。

② 3Dデータを交渉カードにして適正な見積もりを得る

通常見積もり依頼を行う場合には、相見積もりなどで価格交渉を行いますが、正確に価格の根拠が反映されているかは疑問です。ほぼ形状が一緒の類似部品の見積金額が異なることもあり購買担当者を悩ませます。
本来適正な価格を判断する場合にはコスト構造を調べて理解する必要があります。具体的には人件費、設備費、段取り、ワークの付け替え、加工工程の工数、検査などの要素からコストが算出されるべきですが、全ての部品で調べるのは時間が掛かり現実的ではありません。
したがって言い値の見積もりを信用するしかなく、価格交渉を難しくしています。

一部の3D CADには3Dデータで見積もり計算を行う機能があり、上記のコスト構造の全てを加味して見積もり金額を即座に計算できます。常に同じ基準で計算を行いますので、適正価格を購買側が事前に把握することができ、強力な交渉カードとして活用できます。

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