機械設計 機構設計

機械設計で重要な位置精度とは?

機械は、大きさも形状もさまざまな部品を組み合わせて設計します。部品を組み合わせる際には、部品同士の位置が重要なポイントになります。今回は、機械設計で重要な位置精度について解説していきます。

機械設計で重要なポイント、位置精度とは?

複数部品の組み合わせには位置精度が必要

通常、機械は複数の部品から構成されています。自動車や家電なども、多数の部品で構成されています。小さなスマートフォンにも、筐体とそのカバーや多数の電子部品が使われています。部品同士を組み合わせるときに重要なのが、各部品同士の相互の位置関係です。

「位置精度がいい」とは、各部品が理想的な位置関係になっている状態です。逆に「位置精度が悪い」とは、各部品が理想的な位置関係にないことをいいます。各部品の寸法は、理想通りの大きさででき上がることはほとんどなく、公差の範囲内でばらつきをもちます。各部品の寸法がばらつくと、組み合わさる部品に位置ずれが発生してしまいます。

位置精度が重要な理由

ではもし位置精度が悪いと、何が起こるのでしょうか? 発生する不具合の例を解説します。

  • 組み立てられない
    たとえばリモコンの電池蓋を例に考えてみましょう。蓋と、それをはめ込むための筐体ケースがあります。もし蓋が大きく、かつ筐体ケースの幅が狭い場合は、うまくはめ込めません。組み立てることができない不良品になってしまいます。
  • 異音や摩耗が発生する
    となり合う2つの歯車は、中心軸間距離が設計通りのときには、なめらかに駆動伝達できます。しかし、中心軸間の位置がずれてしまうとかみ合いが悪くなり、異音や摩耗が発生します。
  • 破損する
    位置精度が悪く、うまく組み付けられない部品を無理組み付けると破損してしまいます。また運よく組み立てられたとしても、機械を動かそうとした際に、部品同士が干渉して破損する恐れがあります。

位置精度を上げる方法

位置精度をよくする方法

位置精度を上げる3つの方法について説明します。

  • 位置決めのための形状を設計する
    位置決め形状とは、部品同士を正しい位置に導く形状です。たとえば、はめ込む部品に穴があいており、相手部品には突起がある形状になっていれば、突起を穴にはめ込むことで、はめ込む部品の位置が整います。このような穴を位置決め穴、突起をボスとよびます。
    位置決めは、部品同士の組み立てのためにとても重要で、よく使われる形状です。
  • 図面の寸法公差を厳しくする
    部品の寸法のばらつきを抑える方法です。シンプルな方法で、図面指示だけでできるので、よく使われる方法です。しかし、部品全体の公差を厳しくしてしまうと、コストが大幅に上がってしまいます。そこで先述で紹介した位置決め穴とボスのように、部品の位置を決める部位のみ厳しい寸法公差を課す方法があります。
    加工可能な公差を超えてしまうと加工ができないので注意が必要です。
  • 治具組みする
    組み立ての際に治具を使う方法もあります。近年ではスマートフォンの保護フィルムの貼り付けに、ガイド用のパーツがついているケースもあります。このように2つの部品を治具で理想の位置に固定し、組み立てる治具も位置精度の向上に役立ちます。治具には十分な精度が必要なため、治具の製造コストがかかりますが、作業をかんたんにし、作業の効率アップなどの効果も期待できますので、設計段階から併せて考えるといいでしょう。
    注意点は、製品を一度分解してしまったら、治具がないと再度組み立てできない点です。

まとめ

位置精度を考慮して機械設計を行うことは基本的で、重要なことです。組み立て性や機能に関わってきます。機械はさまざまな部品の組み合わせで構成されています。機械設計をするときには位置精度を意識しましょう。

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