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機械要素の基本!ねじ・ボルトのはたらきを解説

機械はさまざまな部品で構成されています。その中でも、ねじやバネ、歯車のように共通した名前がついているものをまとめて「機械要素」といいます。機械設計をするためには、機械要素の働きや強度に関する知識が欠かせません。そこで今回は、機械要素の中から「ねじ」と「ボルト」の働きについて解説します。

機械要素の基本!ねじ・ボルトの働きを解説

機械で最も使われる構成要素、ねじ

機械で最も使われる構成要素、ねじ

ねじは、機械要素の中で最も多く使われる部品です。おもちゃの電池フタや家具の組み立てなど、工業や製造業に関わりが薄い人でも、目にすることの多い部品です。ねじの働きは、主に2つあります。1つは、ねじを締める力によって部品同士を固定します。前述のようなフタや家具の部品の固定で使われるねじは、固定のためのねじです。ねじのもう1つの働きは、回転の力を直線の力に変えることです。長さを調整できる突っ張り棒や、万力などに使用されています。
ねじは「おねじ」と「めねじ」に分けられます。ボルトのように軸状の部品の外側にねじ山が切られているものを「おねじ(雄ねじ)」、ナットのように筒状の部品の内側にねじ山が切られているものを「めねじ(雌ねじ)」とよびます。
おねじでは、ねじの一番高い部分を「外径」とよび、ねじの一番低い部分を「谷の径」とよびます。
一方めねじでは、ねじの一番高い部分を「内径」とよび、ねじの一番低い部分を「谷の径」とよびます。
おねじとめねじを組み合わせると、おねじの外径がめねじの谷の径に、おねじの谷の径がめねじの内径の部分にかみ合うイメージです。
またねじの大きさを判別する「呼び径」には、おねじの外径が使われています。
ねじの凹凸の一つの凸を「ねじ山」とよびます。となり合うねじ山とねじ山の距離を「ピッチ」とよびます。

ねじの種類

ねじの種類

ねじにはさまざまな種類がありますが、ねじ部の規格か、ねじの形状を基に分類されます。
ねじ部の規格を基にした分類には、大きく分けて次の3つがあります。

  • メートルねじ
    最も一般的なねじです。メートルの「M」と、ねじの呼び径を合わせて「M10」のようによびます。ねじ山の角度は60°です。
  • ユニファイねじ
    インチねじともよばれます。名前の通り、インチ単位に合わせて作られたねじです。「UNC」または「UNF」と表記されます。ねじ山の角度は29°(30°)です。
  • 管用ねじ
    管を締結するための特殊なねじです。「G」または「R」で表記されます。ねじ山の角度は55°です。

続いてねじの形状による分類です。ねじの形状は非常に多くあるため、すべてを細かく紹介できませんが、製造業の現場で使われることが多いものを、いくつか紹介します。

  • 六角ボルト
    最も一般的なボルトです。頭が六角になっており、スパナやレンチを使って締めます。大きな機械や建造物などに広く利用されています。
  • タッピンネジ
    ネジの先が少し細くなっており、めねじが切られていない下穴に、ねじ山を切りながら締め込みます。家電製品の樹脂筐体や、板金など、幅広い分野で利用されています。
  • 小ねじ
    丸みのある頭、あるいは平らな頭を持ち、プラスドライバーで締めるねじです。家電製品から大小の機械など、さまざまな部位に使用されています。
  • 止めねじ
    芋ねじとも呼ばれます。頭部がなく、ねじの内側に六角レンチを刺して回します。機械の内部で、シャフトの出口をふさぐなどの目的で使用されます。

ねじの強度とトルク

ねじの強度とトルク

ねじを使って2つ以上の部品を正しく固定するためには、ねじの締付力が重要です。ねじは、その構造から、強く回せば回すほど、部品同士を押しつける力(締付力、軸力)が強くなります。軸力そのものを測定したり管理したりするのはとても難しいため、ねじの締付状態の管理には、ねじを回す際の締付トルク(ねじを回す力)で管理しています。
また、ねじは強く回しすぎてしまうと、軸力によって引き延ばされ、締付力を急激に失ってしまいます。そうなってしまうと、ねじを戻しても元の力を出すことはできません。そのためねじの締め付けトルクはねじの強度以下に抑えなければいけません。機械を設計する際にはねじの強度にも十分に注意を払いましょう。

まとめ

ねじは機械要素のなかでも、最も多く使用される部品です。部品同士を固定したり、回転の力を直線運動に変えて、部品の大きさや位置を調整する役割を持ちます。機械設計では、用途や求められる強度によって、適切なねじを選ぶのが大切です。

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