”時間と手間”の大幅な削減を実感
私どもの研究チームは、IoTデバイス等を自動製造できる卓上工作機械「FABRICATOR」を開発しています。
この研究は文部科学省の革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)にも採択されています。
FABRICATORに必要な部品の設計は全て3D CADソフトウェアの「SOLIDWORKS」でおこなっています。
しかし、実際に機械部品を一般的な加工工場で作ってもらうためには、その都度2Dの三面図に展開する必要があり、3Dのデータから2D三面図に起こすのに非常に手間と時間がかかっていました。
さらに時間がかかるのが、その後の打ち合わせで、図面を基に電話で説明したり、見積を確認しながら価格交渉をしたりすることもあります。
メビーを使えば、SOLIDWORKSの3D CADデータをそのままアップロードするだけで、自動的に見積もりから注文までできます。メビー導入以前は見積もりから、打ち合わせや修正を含めて注文までに1週間くらいかかっていたのが、メビー導入以降は見積もりに数分~半日、注文に至っては数分で完結できるようになりました。
これは大幅な時間と手間の削減につながっています。
注文に至っては数分で完結できるようになりました。
ー 相部さま ー
作業効率アップによる”ゆとり時間”で次のイノベーションの創出へ
一般的な加工工場の場合、見積から注文するまでに1週間くらいかかるため、その間は次の工程に進めません。
そのため、回路設計を進めるなど、他の作業とのスケジュール調整が必要でした。
しかし、メビーを利用することで、見積もり時間はほとんど考慮する必要がなく、部品の加工期間のみを考慮してスケジュールを立てれば良くなりました。
また、分担して設計作業をしている場合でも、わざわざ購買担当者を通すことなく、各自で見積もりや注文ができる点も作業効率化に役立っています。設計者の負担となっていた作業や待ち時間を削減できれば、より開発に注力できる時間が増えます。
結果としてそうしたゆとりが、新たなイノベーションの創出につながると思います。
部品の加工期間のみを考慮して
スケジュールを立てれば良くなりました。
ー 相部さま ー
即時見積もり機能でシミュレーションし、コストを検証し設計を最適化
特に便利だと感じているのは即時見積もり機能です。
メビーの見積もり機能は、材料や使用量、形状などのパラメータを変えるだけで自動で見積もりが算出されるので、コストを検証できます。
例えば、一つの形状に対して設計者が想定している加工コストと、実際のコストが大きく異なることは多々あります。
そんな時は、さまざまなパターンの3D CADデータをメビーにアップロードすることで、コストの比較を簡単に行えます。
また、コストの差異から無駄な加工を発見できることも非常に有用です。
例えば、必要のない部分にR加工がついていたために、価格が3倍くらい高かったことがありました。
より効率的な形状へのブラッシュアップにつながります。メビーの利用はもはや設計プロセスの一部という感覚です。
オープンソース化に貢献するメビーの付加価値とは
FABRICATORはオープンソース化を考えています。
オープンにすることによって我々が想定していなかったさまざまな使われ方が期待できるからです。
しかし、いくら図面が公開されていても部品の調達が簡単でないとオープンソース化は進みません。
そのため、なるべく標準の部品で設計することが求められますが、オリジナルの装置ほど特別形状の部品が必要になります。
でも、メビーを使えば、例えば私が特注で依頼した部品の一つ一つに型番が割り振られるので、その型番を公開すれば、誰でも簡単に同じ特注部品を、何度でも同じ価格で注文するこができます。
これはオープンソース化を実現するうえで非常に有用な機能だと思います。
また、メビーによって部品調達が効率化されるため、構想設計や開発に対するハードルが大幅に下がりました。
とにかく作ってみるという開発ステップに素早く取り組め、モチベーションも加速したと言えるでしょう。
meviyの導入には効率面やコスト面だけでない、計り知れない付加価値を感じています。
今後もメビーを活用して効率よく設計や開発に注力し、新たなイノベーションの創出に取り組みたいと考えています。
FABRICATORとは?
「FABRICATOR」とは、卓上でIoTデバイスを製造できる小型の装置です。従来、電子回路の製造工程で複数のプロセスを連結させる場合、異なる機械を並べて、その間に搬送機構を設ける必要があり、大きな空間を必要としました。
それに対して、「FABRICATOR」は、特許出願済みの新しい搬送機構を採用し、複数のプロセスをコンパクトに連結し、卓上でIoTデバイスを一個からでも自動的に製造可能としました。
6つの異なるプロセスをユーザーが自由にカスタマイズして使うことができる仕様にもなっており、IoTデバイスの製造以外にも、異なる方式の3Dプリンティング、さらには細胞プリントや化学反応プロセス、フードプリンティング分野の研究などにも活用が期待されています。
インタビュー動画
インタビュー協力
慶應義塾大学
政策・メディア研究科特任准教授 ※取材当時
相部範之さま