複雑な曲面形状の板金部品にも、メビーが欠かせない
「全身いろんな場所で使っていて、たとえばコックピットの中の小物関係の板金などに使用しています。またアーカックスはメインのフレームに外装が付いている構造になっているのですが、そのメインのフレームと外装を繋ぐ部分のブラケットのところには、何百か所っていうくらい使っています」
さらに石井さまによれば、メビーの強みが特に活きたのは、手の部分の構造だったといいます。
「弊社CEOの吉田が義手の開発も行なっており、アーカックスの手もメカの部分はその技術をベースにしています。アーカックスのフレーム自体は割と建設機械に近い構造、ボックス構造でつくっているのですが、手は人間の手の形に近い。
そうするとフレーム自体が三次元的な複雑な形状になりますが、それをデジタルなものづくりでそのままつくれるということで、メビーを活用しています」
五指独立可動ハンドの骨の板金部品は、人間の骨と同様に複雑な曲面形状をしており、2D図面に起こそうとするとたくさんの指示が必要になります。
建設機械のようなボックス形状の部品と比べて、図面バラシに多くの工数がかかってしまうのです。
多くの部品を必要とするロボット開発の現場において、設計・手配のスピード感は重要です。
「メビーなら3Dデータでそのまま見積もりや発注ができるため、非常に助かりました」と石井さま。アーカックスだけでなく、吉田CEOが行なっている義手の開発でもメビーの板金部品が活用されていると教えてくれました。
非常に助かりました
ー 石井さま ー
図面レスのデジタルものづくりが力になった
メビーのサービスについて感想をお聞きすると、石井さまは3Dデータをそのまま使って板金部品が作れるところが一番助かっていると教えてくれました。
「見積もりのために2D図面を作らなくても、3Dモデルをベースに見積もりができるので、開発の工数が大幅に削減できます。さらに、その場ですぐに納期と価格がわかるので、すごく楽に手配ができます」
従来の板金加工の見積もりでは、3Dで設計していても、見積もりのためには2D図面を作って業者に見せる必要がありました。
もちろん現在では3D設計ソフトにも2D図面製作の支援ツールが入っていますが、やはり2D化や検図などの工程を経ると、それなりの工数になってしまいます。
さらに今回のアーカックスの手(マニュピュレーター)のように複雑な形状になれば、たとえばどの断面を見せれば形状や設計の意図が伝わるかなどを悩むこと
になります。つまりそれだけ2D図面も複雑になり、多くの時間が必要になるのです。しかしメビーならばWeb上で3Dデータを作成したり、あらかじめ作成した3Dデータを読み込ませたりするだけで、板金部品の見積もりができます。
「デジタルなものづくりで図面レスを実現し、そのまま作れるところに魅力を感じ、メビーを使ってきました」と石井さま。
アーカックスはデジタルものづくりによって実現されたといっても過言ではないようです。
さらに、その場ですぐに納期と価格がわかるので、楽に手配ができた
ー 石井さま ー
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板金溶接加工もできるようになり、メビーにはますます期待
メビーでは2023年11月から板金溶接加工サービスもスタートしました。
石井さまに聞くと、メビーの溶接サービスを待ちに待っていたと言います。
「アーカックスの開発は2021年からスタートしており、板金部品では当初からメビーを使ってきました。しかしやはり強度や剛性を考えると溶接が必要な場所もあります。ですので、メビーで溶接をあわせてできたらいいなと思っていました」
石井さまによると、これまではメビーで作った板金部品を受け取り、それをさらに他の溶接業者に依頼して溶接してもらうという複数のステップを踏んでいたそうです。
今後の量産でも溶接を使う場面はあるため、その際にはメビーの板金溶接加工サービスを使っていきたいとのことでした。
「コックピットのハッチ部分やモニターのブラケットなどに溶接した板金が使われています。このような部分では、機体の振動によってたわみや揺れが発生してしまいます。そのため溶接構造のボックスにしたいんです。そういう場所をメインに、メビーの溶接サービスを使っていきたいです」
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搭乗操縦型ロボット『アーカックス』とは
アーカックスは、ツバメインダストリ株式会社が「サイエンスフィクションの世界を、サイエンスリアリティへ」という理念のもとに開発した、搭乗操作型ロボットです。SFに出てくるような大型ロボットで、胸のあたりにあるコックピットに実際に人が乗り込み動かすことができます。
2023年6月にプロトタイプが完成し、2023年9月からは販売に向けた国内先行受注を開始しました。
販売価格は4億円とされています。さらに10月にはJapan Mobility Show 2023に出展、多くの人の前でその驚くべき姿を披露しました。
搭乗型ロボットという新しい価値を発信するアーカックス。その開発の随所に、メビーのデジタルものづくりが活かされています。ともにものづくりの未来を切り拓く存在として、メビーはアーカックスの開発をサポートしていきます。
※2023年10月時点の情報です。
※ミスミの商品・サービスは一般工業用です。ツバメインダストリ株式会社との利用は特別許可に基づきます。
インタビュー動画
インタビュー協力
ツバメインダストリ株式会社 CTO 石井啓範 さま
大手建設機械メーカー在籍中、腕のように動く「双腕重機(アスタコ)」を開発。その後、横浜に展示されている「動くガンダム」のテクニカルディレクターなどを歴任。現在はツバメインダストリのCTO(最高技術責任者)として、設計から工程の管理など全体を取り仕切る。