目標にしているコスト、使いやすさ、安全性を満たす装置が作れる
ヤマハ発動機の製造DX・技術内製化のコンセプト「廉価・汎用・教育」がまさに具現化された例として、「廉価パーツカウンター」を紹介する。
ランドモビリティやロボットを作る製造・組立の現場では、さまざまな人たちが作業を行うため、誰にとっても分かりやすく簡単に使え、作業の精度と効率を高める機械が求められる。佐々木さまは設備技術部で、自働化を行う設備を開発している。
佐々木さま:私が担当しているのは、作業の自働化を行う設備の開発です。「廉価パーツカウンター」は、必要な部品を必要な数だけ払い出し、使用数を記録管理する自働化装置です。部品の取り間違いやカウントミスなど、ヒューマンエラーによる部品の過不足をなくすために利用しています。ダイバーシティの取り組みとして障がい者雇用の促進にも取り組んでいる「ヤマハモーターMIRAI」と協力し、障がい者の視点も取り入れ、分かりやすいシンプルな部品形状、使いやすい設計にしています。
市販品よりも安価で製作できれば、多くの現場で導入しやすくなると考え、始まった廉価パーツカウンターの開発。しかし、コストの削減は想像以上に困難であった。その課題解決の一助となったのがメビーだ。内製装置の開発、現場実装を目指す中で、アイデアを素早く試作化したい場面を中心にメビーを活用し、廉価・汎用・教育の面でその導入効果を実感しているという。
佐々木さま:設備技術部にて新規開発をする設備の各所でメビーを活用しており、中でも、当社の工場で利用している「廉価パーツカウンター」は大半の部品をメビーで製作しました。
メビーを使うメリットは、2D図面作成が必要なくなり、装置の精度アップや使いやすさを検討するトライアンドエラーに時間を充てられるようになることです。その試行錯誤のおかげで、目指していたコスト、使いやすさ、さまざまな工場でも使える安全性を満たすものが製作できました。
佐々木さま:また、コスト削減のために素材や形状を変えて見積もりを取るときにもメビーの魅力を感じました。メビーはAI自動見積もりなので、気兼ねなく見積もりを取れます。部品によっては30回ほど見積もりを試しました。
メビーを活用することで、作図・見積もりの手間や納入までの待ち時間が大幅に短縮される。従来の部品手配方法では限られた時間で5回しかトライ&エラーできないところを、メビーを活用すれば10回以上トライできる。部分的な時短のみならず開発サイクルが圧倒的に速くなったと、メビーを活用するメリットを実感しているという。
その空いた時間で試行錯誤を繰り返すことが可能
ー 佐々木さま ー
メビーの技術資料は設計の勉強に大いに役立つ
夏目さまはモーターサイクルの組立を長年担当していたが、2023年1月から同部署へ異動。現場改善をしたい想いを強く抱きながらも、はじめのうち改善装置の設計は簡単なものではなかった。そこで自身のアイデアを形にする手段として活用したのがメビーだ。設計業務は未経験であったが、組立部署での経験も活かしながら、半年ほどで装置づくりが可能になった。
夏目さま:私はずっと組立の部署にいたので、設計業務の経験はなく、CAD操作をする自分を想像もできない状態でした。私のように現場改善の意欲があってもアイデアを実現することができずもどかしい想いを抱えていた人間でも、通常よりずっと短期間で設計スキルを身につけられる点も、メビー活用の大きなメリットです。
メビーのホームページには、「ものづくり基礎知識」や「プロフェッショナル連載記事」など、設計の学習に役立つ情報や、メビー活用のヒントになるコンテンツが充実している。夏目さまも、メビーのサイトで勉強しながら技術者としての知識を身に付けたという。
▼ものづくり基礎知識
https://jp.meviy.misumi-ec.com/info/ja/category/howto/
▼プロフェッショナル連載記事
https://jp.meviy.misumi-ec.com/info/ja/blogs/
夏目さま:設計未経験だった私にとっては、メビーの技術情報のおかげで設計ができるようになったと言っても過言ではありません。メビーを使って勉強することで、半年ほどで設計をしてモノづくりができるようになりました。
佐々木さま:夏目さんの努力もありますが、メビーを使うと設計ができるようになるまでが早いです。通常、未経験者には2D作図、マテリアルの特長、表面処理など一つひとつ教える必要があります。メビーを活用する場合、CAD操作さえ覚えてもらえれば、学習にはメビーの資料を活用することができ、教育の面でも助かっています。
組立部署での経験があるからこそ見える、現場に本当に求められている設計を追求している夏目さま。現場と技術の架け橋となる「現場サイエンティスト」を目指す上で、メビーを活用している。
メビーで思い描いた通りの部品を実現できる
ー 夏目さま ー
よりよい設計、よりよい装置を作るために努力を重ねていく
最後に、それぞれの目指す設計者としての未来について語ってもらった。
夏目さま:組立部署に長年在籍していたので、現場ならではの苦労も経験し、もっと効率が上がる方法はないだろうかと考えたことが幾度もありました。その経験があるからこそ、現場の方々の困りごとを理解・反映した設計をして、現場と設計の架け橋のような存在になりたいです。
佐々木さま:私は仕事のときだけでなく、プライベートの時間でも「もっと良い構造はないだろうか?」と常に頭の中を設計のアイデアでいっぱいにしてきました。これからも設計に対する情熱は変わらずに持ち続けながら、今まで私が培ってきた経験や知識、想いなどを後輩たちに伝えることにも力を注いでいきたいと思っています。
インタビュー協力
ヤマハ発動機株式会社
生産技術本部 設備技術部 自働化技術開発グループ
佐々木徹さま
夏目哲也さま