メビーをご利用のお客さまが製作した部品事例とメビーの活用方法を取材させていただきました。
目次
部品紹介
■お客さま情報
製作者 | Shinya’s Studio 宮崎慎也さま |
業種 | 音響機器製造 |
担当業務 | レコーディングエンジニア、音響機器の基板設計、試作・製品設計 |
メビー利用歴 | 1年以上 |
コンプレッサーの試作フロントパネル
フロントパネルデザインと製造プロセス
コンプレッサーの操作面であるフロントパネルには電源スイッチ、調整ツマミ、メーターが並び、内部の電子回路や真空管などのパーツとつながっている。新製品開発や特注品の製造の際には、試作パネルを使用してフロントパネルのデザインを調整します。外装部品であるフロントパネルに傷をつけないよう、組み立て工程でも試作パネルを活用します。コンプレッサーの稼働時にノイズを拾いにくくするため、パネルには磁性のSECC(電気亜鉛メッキ鋼板)を使用します。強度とコストのバランスから板厚は2㎜で設計されています。
利用サービス | 板金加工 | 材質 | SECC |
表面処理 | 電気亜鉛メッキ | 公差指定 | 一般公差 |
出荷日 | 3日目 | 参考価格 | 3,300円 |
コンプレッサーの側面構造材
フロントパネル支持材について
コンプレッサーの操作面があるフロントパネルを支える側面構造材は、コの字形に配置され、フロントパネルとネジでしっかりと結合しています。外装部品ではないため、コストを抑えつつも耐錆性に優れるSECCが採用されています。この素材は電子音響機器に適しており、ノイズを拾いにくい磁性の特性がポイントです。
利用サービス | 板金加工 | 材質 | SECC |
表面処理 | 電気亜鉛メッキ | 公差指定 | 一般公差 |
出荷日 | 6日目 | 参考価格 | 1,800円 |
■コンプレッサー『Vari-Nu』(写真1段目) コンプレッサーとは、音を圧縮することでダイナミックレンジ(音量の大小の幅)をコントロールする音響機材。コンプレッサーを使用することで音の強弱の差が調整され、曲が聞きやすくなる。 フロントパネルは開発・組立工程ではSECCの試作パネル(写真1段目)を用い、本製品(写真2・3段目)にはアルミに黒アルマイト処理を施した外装パネルを使用。フロントパネルを固定する側面の構造材にもSECCを使っている。 |
メビーを選んだ理由
主にコンプレッサーという音量を調整する機材を手掛けており、主力製品はこれまでに100台以上を販売しています。電子基板は独自に設計し、既製品のパーツなどを使って作り上げるコンプレッサーは、音の良さに対するコストパフォーマンスの高さ、サイズ感や操作性といった扱いやすさにもこだわっています。
『1U76』というモデルはこれまでに100台以上の販売実績がある定番品で、『Vari-Nu(バリニュー)』は2018年より販売を開始した比較的新しいモデルです。『Vari-Nu』の製造に試作パネルが必要となり、それを製作するために初めてメビーを利用しました。
板金設計のノウハウも、寸法指示の記入も不要
新製品開発や特注品の製造の際、フロントパネルのデザインを調整するのに試作パネルを使用。また、組み立て工程でも外装部品であるフロントパネルに傷をつけないために活用し、最終段階で本製品用のフロントパネルに差し替えます。
メビーで製造した試作パネルはSECC(電気亜鉛メッキ鋼板)の平板を使い、内部の回路とつながるスイッチやメーターユニットに合わせて穴が開いたものです。穴位置は回路図を基に決まり、電子回路設計ソフトと3D CADを連携させてパネルの3Dデータを作成しました。
今までなら手間のかかっていた寸法を書き込む作業が省け、すぐに見積もりを取れたのは本当に手軽でした。電子回路の設計は手慣れていますが、製品開発は模索しながらコツコツ進めています。特に機構設計や部品調達は市販化するようになってから意識するようになり、イメージ通りの加工はできるのか?価格を抑えて製作する方法は?などノウハウを板金屋さんに繰り返し相談するのも手間がかかり、いざ発注するとなると寸法を細かく書き込んだ板金図面が必要。板金設計は時間がかかり煩わしさを感じる作業でした。
そんな中、メビーは3Dデータだけで発注でき、寸法を書かずに製作依頼ができると知り「これは手軽そうだ」と思ったのが使い始めたきっかけです。
資材入荷待ちのロスタイムを解消
本製品のフロントパネルには、厚さ3㎜の黒アルマイト加工したアルミ板を使う計画があったので、何度か見積もりを繰り返して耐久性とコスト面のバランスが取れた2㎜厚のSECCを選択しました。SECCは機器の稼働時にノイズの面でも有利な素材なので、構造材としては本製品にも使っています。
提示された納期が3日目出荷と短かったのにも驚きました。いつもならリピート品でも依頼から納品まで2週間はかかっていましたから。とても使い勝手が良いなと感じました。一度、年末に近い時期に構造材の在庫が切れてしまい、おそるおそる発注をかけたことがありましたが、そのときも年内に納品されたので助かりました。
機材製作において部品点数が多く、資材が必要というときに在庫切れが判明すると、入荷待ちのロスタイムが生じてもったいない。何よりお客さまをお待たせしてしまいます。しかし、メビーで製作した試作パネルは無事に予定通り納品され、仕上がりも満足いくものでした。組み立て工程で何度か繰り返し使用していますが丈夫です。
その後も、他の製品に使用する構造材をオーダーし、リピート注文しています。
メビーを使うようになってから資材不足による製作期間の停滞はかなり解消されました。
メビーを活用して製造を効率的に
メビーはネットオーダー形式でクレジットカード支払いができるので、使い勝手が良いです。
これまで頼んできた板金屋さんとはメールでやりとりしており、注文履歴を確認しようと思っても、古いメールを見返して探し出す手間がありました。
それに、支払いは現金のみが当たり前でした。
その点、メビーはWEB上に履歴データが残っているので検索しやすく、クレジットカード払いにすることで楽に会計管理ができます。
評価のポイント
●納期が確実でスケジュールの管理がしやすい