一般公差は普通公差とも呼ばれ、寸法に公差が指定されない場合に使われる公差のことです。図面に記入される寸法には公差を指定しますが、全ての寸法に公差が付いていると非常に読みにくい図面になってしまいます。一般公差を利用することで図面の寸法を読みやすくして、重要寸法を正確に見分けることができるようになります。
目次
寸法公差と一般公差(普通公差)の違い
寸法公差は、精度が特に必要な寸法に許容範囲として100±0.1のように明示的に表記して利用します。公差値は任意に決めることができますので、設計者の意図を加工者に明確に伝えます。
一般公差(普通公差)は、個々の寸法の許容範囲を一括して指定することができますので、図面の作図工数を削減でき、図面を見易くすることができます。
一般公差の等級とは?
一般公差を利用する場合には等級が重要になります。JISでは精級、中級、粗級、極粗級の4種類があり、f、m、c、vの記号が割り当てられています。また寸法の種類も長さ寸法、面取り寸法、角度寸法、直角度などのように細分化されています。
一般公差の基準寸法の区分とは?
一般公差の値は等級ごとに決まっていますが寸法の値によって変化します。1±0.1と100±0.1では同じ公差幅ですが、長さ寸法に対する比率で考えると、精度厳しさに100倍の差ができてしまいます。そのため、JISでは基準寸法の区分毎に公差値を設定することで、図面内の寸法精度を一律に管理しています。
基準寸法の区分 | 公差等級 | |||
精級 | 中級 | 粗級 | 極粗級 | |
0.5以上3以下 | ±0.05 | ±0.1 | ±0.2 | |
3を超え6以下 | ±0.05 | ±0.1 | ±0.3 | ±0.5 |
6を超え30以下 | ±0.1 | ±0.2 | ±0.5 | ±1 |
上記の公差表で確認してみると、基準寸法の長さに応じて公差値が変わっている事が分かります。たとえば18mmの寸法で精級の場合は、図面に寸法公差を記入しなくても自動的に±0.1の公差が指定されたことになります。
一般公差の指定方法
一般公差を図面に適用する場合には、図枠の表題欄に一般公差(普通公差)を等級と共に適用することを記入します。
一般的な等級の使い分け
- 精級 : 精密機械の金属部品など
- 中級 :一般的な金属部品など
- 粗級 :一般的な樹脂成形部品など
*樹脂成形部品に精級を適用すると、成形が困難になり部品コストが上昇する場合がありますので、適切な等級を指定することが大事です。
まとめ
製造業のグローバル化を進めるためには、寸法公差と幾何公差の世界標準(ISO)に合わせる必要があります。海外のメーカーは忖度してくれませんので設計要件を満たす部品を手配する場合には完璧に寸法公差と幾何公差を理解した上で図面を描くことが重要です。