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3Dプリンターとは?徹底解説:基礎知識から購入・レンタル・外部サービスの比較まで

3Dプリンターは、3D CADデータをもとに断面形状を積層して立体造形し、複雑な形状の造形をすることも可能な加工機です。3Dプリンターを適切に活用すると、業務効率や生産性向上につながります。この記事では、3Dプリンターのメリットや種類、また、購入・レンタル・リース・3Dプリントサービス利用を比較し、それぞれの特徴をご紹介します。

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3Dプリンターとは?

3Dプリンターとは、3Dのデータを薄くスライスして2次元形状を作り、その2次元形状を積み上げながら3Dデータと同じ形の立体モデルを作り上げる機械です。切ったり削ったりする除去加工や、素材の形を変形させる塑性加工、変形加工と異なり、材料を追加していく加工という意味で、アディティブマニュファクチュアリング(Additive manufacturing)ともよばれます。3Dプリンターでの加工は「造形」や「積層」と表現されます。

3Dプリンターのメリット

3Dプリンターを適切に利用すると、業務効率や生産性の向上につながります。以下の3つのメリットを知っておけば、より効果的に3Dプリンターを活用できるでしょう。

● 複雑形状の製作
● 開発期間の短縮
● 在庫・金型コスト削減

各メリットについて、順番に解説します。

複雑形状の製作

従来の切削加工や金型成形ではあきらめていたような複雑な内部構造や軽量化デザインであっても、3Dプリンターを活用すれば容易に実現できます。3Dプリンターの積層造形技術により、中空構造やオーバーハング、内部で曲がる穴といった複雑な形状を一体成形可能です。製品の性能向上や軽量化が可能となり、航空宇宙産業や医療分野など、さまざまな産業で革新的な製品開発に役立っています。

開発期間の短縮

3Dプリント加工では、従来の製造方法で必要だった金型や専用治具が不要で、データ準備後すぐに出力を始められます。複数部品を一度に出力することもできるので、複数の設計案を迅速に検証でき、開発サイクルを大幅に短縮できます。また、3Dプリンターを購入する場合においては、社内での一貫した開発により、外部とのやり取りに伴う時間のロスも最小限に抑えられます。

在庫・金型コスト削減

3Dプリンターによるオンデマンド生産では、必要な時に必要な数量だけを製造できるため、予備在庫が不要となり、棚卸しや保管の手間を削減できます。また、金型製作が不要なため、多品種少量生産や個別カスタマイズ製品の製造・保管コストを抑えられ、市場の需要変動にも柔軟に対応できます。

主な3Dプリンターの種類とその特徴

3Dプリンターといっても、種類はさまざまです。ここでは主な3Dプリンターについて、原理と特徴をまとめます。以下の3Dプリンターについて理解を深め、自社に合った種類を選びましょう。

● 熱溶解積層方式(FDM: Fused Deposition Modeling)
● 光造形方式(SLA: Stereolithography / DLP: Digital Light Processing)
● 粉末焼結積層造形(SLS: Selective Laser Sintering)
● 金属3Dプリンター(DMLS: Direct Metal Laser Sintering、SLM: Selective Laser Meltingなど)
● マテリアルジェッティング方式(PolyJet、MultiJet)

各3Dプリンターについて、それぞれの原理と特徴を説明します。

熱溶解積層方式(FDM: Fused Deposition Modeling)

原理

熱溶解積層方式の3Dプリンターは、熱で溶かした熱可塑性樹脂フィラメントをノズルから押し出し層状に積み上げて造形します。3Dデータモデルに基づいてエクストルーダーが移動するため、溶融フィラメントを精密に配置可能です。積み上げられたフィラメントは冷却・固化されて、造形物が完成します。

特徴

熱溶解積層方式の3Dプリンターの特徴は、低コストでシンプルな構造です。PLA、ABSなどの汎用樹脂が使用でき、幅広い材料を用いた造形が可能です。個人用途向けなどの比較的安価な機種から、業務用途まで幅広いラインナップがあります。一部の熱可塑性樹脂などにおいては、実際に射出成形時に使う材料と同じ材料を使って成形可能です。

光造形方式(SLA: Stereolithography / DLP: Digital Light Processing)

原理

光造形方式は、液状の光硬化性樹脂に紫外線やレーザーなどを照射し、選択的に硬化させて積層します。樹脂槽内で光源が3Dモデルの各層の断面形状を描くように照射され、硬化した層の上に新しい液状樹脂を供給し、これを繰り返して立体物を形成します。

特徴

光造形方式は造形精度が高く、表面が滑らかな造形物を生成できる点が特徴です。複雑な内部構造や中空形状の製作に適しています。レーザー式SLAは各層を点描的に硬化させるため時間がかかりますが、精密な造形が可能です。一方、DLPは層全体を一度に硬化させることで高速造形を実現します。

粉末焼結積層造形(SLS: Selective Laser Sintering)

原理

ポリアミド(ナイロン)などの粉末樹脂層にレーザーを照射して焼結させ層を積み重ねていく方式が、粉末焼結積層造形です。薄く敷き詰めた粉末に照射されるレーザーは、3Dデータモデルに基づいて動作します。粉末が溶融・結合して層が形成され、繰り返すことによって造形物ができあがります。

特徴

粉末焼結積層造形の一番の特徴は、未使用の粉末が支持材の役割を果たすためサポート材が不要である点です。複雑な形状の造形も可能で、機械的特性にも優れています。多品種少量生産に適しているものの、造形条件(レーザー出力、スキャン速度、層厚など)や後処理方法によって機械的特性が大きく変わります。適切な条件設定と後処理により、高密度で強度のある造形物の製作が可能です。ただし、条件設定には専門的な知識と経験が必要です。

金属3Dプリンター(DMLS: Direct Metal Laser Sintering、SLM: Selective Laser Meltingなど)

原理

金属3Dプリンターは金属粉末層に高出力レーザーを照射し、選択的に溶融・焼結させる方式です。DMLSは部分的な融合を行うのに対し、SLMは金属粉末を完全に溶融させて造形します。3Dデータモデルに基づいて層ごとに造形し、これを繰り返して金属部品を直接製造します。

特徴

実用金属部品を直接的に製造できるため、航空宇宙や自動車産業で多く活用されている方式です。材料を完全溶融させるSLMは、より密度が高く均質な構造を実現します。DMLSは材料選択の幅が広いものの、機械的特性ではSLMよりも劣る部分もあります。

関連記事
金属3Dプリンターとは?設計における活用と注意点

なお、ミスミの「meviy Marketplace(メビーマーケットプレイス)」では、薄く敷き詰めた金属粉末にレーザーを照射して溶融・焼結させるLB-PBF方式と、金属粉末とバインダーを混合したフィラメントを使用して造形するBMD方式に対応しています。

メビーマーケットプレイスの3Dプリント加工サービスについてはこちら

マテリアルジェッティング方式(PolyJet、MultiJet)

原理

マテリアルジェッティングの3Dプリンターは、インクジェットプリントヘッドで液状樹脂を吐出し、UV光で即時硬化させて造形します。2Dインクジェット印刷に似た原理で、微小な樹脂滴を層状に積み上げます。複数のプリントヘッドを使用すれば、異なる材料や色を同時に造形可能です。

特徴

表面品質が高く、カラーモデルやゴムライク素材など多彩な表現が可能なのが特徴です。複数材料の同時使用により、単一モデルに異なる特性を持たせられます。滑らかな表面により後処理が少なく済むのも特徴です。

「購入」「レンタル」「リース」「3Dプリントサービス利用」の比較

3Dプリンターの利用形態は、主に「購入」「レンタル」「リース」「3Dプリントサービス利用」の4つです。それぞれの特徴を以下の表にまとめます。

購入 レンタル リース 3Dプリントサービス利用
概要 完全に所有 短期間(数週間〜数ヶ月) 長期間(半年〜数年) 外部業者に委託
初期コスト 高い 低い 比較的低い 不要
ランニングコスト 材料費、消耗品費、電気代、保守費用など レンタル料に含まれることが多い リース料に含まれることが多い 依頼ごとの料金のみ
対応納期 即時対応可能 即時対応可能 即時対応可能 数日〜数週間
選択できる素材 機種に対応する素材 機種に対応する素材 機種に対応する素材 提供業者が対応する幅広い素材
メンテナンス 自社で対応または、保守契約が必要 レンタル会社が対応 リース会社が対応 不要
ノウハウ 設計から造形まで全てのノウハウが必要 設計から造形まで全てのノウハウが必要 設計から造形まで全てのノウハウが必要 3D設計のノウハウのみ
導入ハードル 高い 中程度 中程度 低い
最新機種の利用 更新に高コスト 比較的容易 契約更新時に変更可能 常に最新の設備を利用可能

3Dプリンターを利用する際は、自社のニーズや予算、利用頻度などを考慮して最適な形態を選択しましょう。

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meviyマーケットプレイスの特徴

3Dプリント加工を部品1点から依頼できるサービスとして、ミスミの「meviy Marketplace(メビーマーケットプレイス)」を紹介します。
メビーマーケットプレイスは、製造パートナーからあらゆる機械加工部品を手配できる日本最大級の製造業マーケットプレイスです。新規の口座開設なしで、条件にマッチしたパートナーと直接やり取りして機械加工部品を手配できます。

加工事例

メビーマーケットプレイスでは、3Dプリント加工での部品製作を製造パートナーに依頼できます。ここでは、製造パートナーの加工事例を紹介します。

光造形(SLA/DLS) / 治具部品

光造形(SLA/DLS) / 治具部品
3Dプリンター ZRapid iSLA880
材質 ABSライク(PMMA)
サイズ X140 * Y122 * Z55 mm
工程 磨き(サポート面のみ)

熱溶解積層(FDM/FFF) / 検査治具

熱溶解積層(FDM/FFF) / 検査治具
3Dプリンター Markforged X7
材質 Onyx(PA12+短繊維CFRP)
サイズ X197 * Y77 * Z87 mm
工程 サポート除去

その他、3Dプリント加工の事例はこちら

まとめ

本記事では3Dプリンターの各方式の原理や特徴をまとめました。3Dプリンターの導入を検討される場合は、まずは3Dプリントサービスの利用からスタートすることをお勧めします。本記事を参考に、業務効率や生産性の向上にお役立てください。

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