meviyブログをご覧になっている皆さん、遅ればせながら本年初の記事となります。

記事をお待たせしている最中、世界中では新型コロナウイルスが猛威を振るっており、製造業界にも様々な影響が出始めております。
皆さんご無事でしょうか。
また感染された方、関係者の方々くれぐれもお大事にお過ごしください。

 

さて今回は入子(駒割り)について、様々な設定方法を注意点も加えて3つのパートで紹介していきます。

 

  • 入れ替え入子
  • 入子の誤組み付けの防止
  • トンネルゲート入子と自動切断

 

一、入れ替え入子

製品の生産計画により、1型で2種類の製品を成形することがあります。

無論大きく異なる製品はできませんが、多少のグレード違いによる穴の有り無しや、形状違いのようなパターンで入れ替え入子が採用されます。

入れ替え入子の締付ボルトは可能であればPL側から締め付けることが望ましいです。
入子の大きさ等にもよりますが、PL側から締めてあれば金型が成形機に付いたままの状態で、成形工場での対応が可能になります。

締付穴を利用するなどして抜きタップを設けると、入れ替えの作業性が向上します。
穴の有り無しでは意匠面のシボ等の関係があればバリ切りとはせず、現実には薄バリの状態となります。

また使っていない方の入子は、空いている型側面に締め付けておく等の一工夫も必要でしょう。

二、入子の誤組み付けの防止

入子によっては平面的に逆向きに組み付けてしまってもコア面がなだらかな為、気が付かないことがあります。
また金型によっては同じ大きさの、形状の似通った入子が数多く入るケースがあります。

正方形あるいは長方形の入子はその中心に締付ボルトを設定すると、平面的に逆向きに組み付けられてしまいます。
コア面が平坦で変化が少ない場合は、それに気が付かないということは十分考えられます。
この事態を回避するため、あらかじめ意図的に締付を中心からずらしておきます。

4つのコーナーRのうち1ヶ所だけRを変える等の方法論もあるでしょう。

締付が2ヶ所の場合は中心振分にせず、片方をずらします。

また同じ形状の入子が多数あり、1つの入子が他のポケットにも、組み付けられてしまうケースもあり得ます。
この場合、各入子各様の締付位置でボルトを配置し、1つとして同じ位置の締付の入子がないようにします。
このように逆さまには組み付かない、違う場所には組み付かない(組み付け間違いが起こり得ない)配慮をすることが重要です。

三、トンネルゲート入子と自動切断

様々なゲートの中でトンネルゲートやバナナゲート、あるいはノーズゲートと呼ばれるゲートがあります。

サブマリンゲートと類似したゲートで、サブマリンゲートよりはゲート面積が取れます。
いずれもゲートを自動切断して無理抜きするゲートですが、トンネルゲートはサブマリンゲートよりも切れにくいので、ゲート口の両側に強力な突出し機構を配置する必要があります。
製品の白化が懸念されるので丸ピンよりも直押コアが望ましいです。
またトンネルゲートではゲート部を入子化する必要があります。
この入子もPLから締め付ける方が良いでしょう。

1個の入子とするなら片面彫りのゲートになります。
両面彫りにするなら真ん中で割ることになりますが、ゲート部は成形圧力が高くバリが張りやすいので2個の入れ子をボルトで締め込んで抱き合わせる方が無難でしょう。

ゲート先端に向かって確実に細くなっていくゲートのモデリングが必要です。
またトンネルゲートとランナーの接点から、ピン径1本分程度空けた位置に押出ピンを配置し、ゲートが確実に無理抜きできる程度の駄肉を付けます。

 

以上、第十六巻『様々な入子設定』でした。

記事の中でもありましたがトンネルゲートの呼び名は地域、メーカー様々で大変興味深いです。
改めてネーミングの経緯なんかも調べてみたくなりました。

今更ですが、ブログをご覧の皆さん、meviyスタッフの皆さん。本年もお付き合いの程、宜しくお願いいたします。