熱処理金属加工

熱処理ってなに?その種類と用途

熱処理とは、金属などの材料を加熱したり冷却したりして、材料の性質(組織の様子を)変化させ必要な性質を得る方法です。
テレビ映像などで、刀鍛冶が真っ赤に熱した鉄を水につけるシーンを見たことはありませんか?あれは焼き入れといい鋼を強くするための工程で、熱処理とよばれる工程の一種です。今回は熱処理について紹介します。

熱処理って何だろう?どんなときに使う?

熱処理とは

熱処理とは

鉄(鋼材)には、鉄以外の成分も含まれています。鉄の元素のみで構成される「純鉄」は、一般にはほとんど出回っていません。鉄(鋼材)の中に含まれる鉄以外の元素として代表的なのは「炭素」です。鋼の中に含まれる鉄と炭素の組織の状態により、鋼の性質は変化します。たとえば食塩水を急激に蒸発させると細かい結晶が得られ、ゆっくりと蒸発させると大きな結晶が得られるように、鉄と炭素の組織は鉄の温度や、冷却されるスピードによって変化します。このような性質を利用し、鉄の組織の様子を変化させて必要な性質を得る方法を「熱処理」とよびます。

熱処理の種類

熱処理の種類

一般的に行われる熱処理は次の4種類です。炉などを使って部品全体を加熱または冷却するため、「全体熱処理」ともよばれます。

  • 焼入れ
    焼入れとは鉄を800℃~850℃で真っ赤になるまで熱し、しばらくおいた後に水や油の中に入れて急冷する処理です。JIS記号ではHQと表記します。この工程を行うと、鋼はとても硬くなります。しかし同時に脆くなるという問題があります。そのために、焼き入れのあとには「焼きもどし」を行います。また焼き入れで冷却する際には、組織の膨張や収縮により、部品に割れやひずみが発生する可能性があるため、注意が必要です。また焼き入れを行うと、部品は非常に硬くなりますので、切削などの加工が終わったあとの最終工程近くで行われるのが一般的です。
  • 焼もどし
    焼もどしとは焼き入れした部品を再び加熱し、冷やす処理です。JIS記号ではHTと表します。焼き戻しを行うと、部品の硬度は少し低下しますが、脆さがなくなり、硬さと粘り強さの両方を得ることができます。また焼き入れで急冷された際に発生した内部応力(収縮の不均衡などにより、部品の内部に力がかかること)を除去する目的もあります。焼き戻しには低温焼き戻しと高温焼き戻しの2種類があります。低温焼き戻しは150℃~200℃で1時間ほど保持し、空冷します。一方で高温焼き戻しでは550℃~650℃に加熱し、1時間ほど保持したあとに急冷します。
    焼き入れと焼きもどしは、工具のように硬さを必要とする製品に使用されます。
  • 焼なまし
    焼なましは、焼き入れとは反対に、鋼を柔らかく加工しやすくしたり、加工などの影響で硬くなってしまった組織を柔らかくするために行います。加熱によって部品内部の組織を、均一化したり、尖っている組織に丸みをもたせたりします。焼きなましにはいくつかの種類があり、種類と鋼の組織によって求められる温度550℃程度から950℃近くと、幅があります。どのケースも、加熱し1時間程度温度を保持した後、炉内でゆっくりと冷却します。
    金型などを切削加工する前に、部材の残留応力を除去する目的や、板材を板金加工に適した軟らかさに変えるために行われます。
  • 焼ならし
    焼きならしは、主に鉄鋼材料の製造段階で発生した不均衡な鉄の組織を均一化させ、その後の切削加工やプレス加工などに適した状態に整えるために行われます。JIS記号ではHNRと表します。鉄を800℃~900℃ほどに加熱し、その後、空冷します。

表面だけを熱処理する方法

表面だけを熱処理する方法

基本的な熱処理は、部品全体を加熱し、長時間保持しなければいけません。そのため大きな炉や水冷(油冷)設備が必要になるなど、多くのコストを必要とします。
しかし例えば歯車などの場合、部品全体の強度は必要なく、歯の部分のみ強度を必要とするケースも数多くあります。そのような場合に行われるのが、表面焼き入れや浸炭焼き入れです。
コイルを近づけ、電磁誘導により部品の表面だけを加熱する高周波焼き入れは、表面焼き入れの中でも特に頻繁に用いられる方法です。
歯車の歯の表面を硬くし、寿命を伸ばすための加工としてよく使われます。

まとめ

熱処理は金属材料を強くしたり柔らかくしたり、加工に適した状態にするなど、さまざまな目的で行われます。特に焼き入れと焼き戻しは、金属の強度を得て、疲労に強い部品を作る方法として頻繁に用いられる方法ですので、工程や効果を覚えておくといいでしょう。

こちらから、ものづくりに関するお役立ち資料を無料でダウンロードいただけます。

ピックアップ記事