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機械要素の基本!軸、ベアリング、キー、ピンのはたらきを解説

動力を用いる機械では、モーターやエンジンのように回転による動力が多く用いられます。そのような回転運動に欠かせないのが、軸やベアリングなどの機械要素です。今回は、機械設計でも特に基礎として扱われる機械要素「軸、ベアリング、キー、ピン」について解説します。

機械要素の基本3 軸、ベアリング、キー、ピン

動力の中心、軸

動力の中心、軸

機械における「軸」とは、回転する機械部品の中心になる棒状の部品をいいます。基本的に、回る部品の中心にある機械要素と考えておくといいでしょう。
軸は、自らが回転して動力を伝える「回転軸」と、自らは回転せず回転するものを支える「固定軸」に分けられます。また自動車や電車の車両において、左右の車輪をつなぐものを「車軸」として区別することもあります。
軸はまっすぐな「真直軸」が最も一般的です。「クランク軸(クランクシャフト)」は、軸の中心が折れ曲がっている軸で、往復運動を円運動に変えたり、円運動を往復運動に変えたりするために使われます。主に自動車のエンジンなどに使用されています。
回転軸には、動力を伝達する際に軸をねじ切る力(トルク)がかかります。また回転軸、固定軸、車軸には、軸にとりつけられた部品の重さや、動力伝達にともなう力による、軸を曲げる力がかかります。軸は回転の中心として、機械の強度を決める非常に大切な部品です。機械設計を行う際には、軸にかかりうる力をていねいに洗い出し、十分な強度を持たせた設計をしましょう。

軸を支えるベアリング

軸を支えるベアリング

ベアリングとは、回転する部品と回転しない部品をつなぐ機械要素です。軸受けともよばれます。「軸」を「受(ける)」という名前の通り、軸を正しい位置で受け、なめらかに回転させるための部品です。
ベアリングは「すべり軸受け」と「転がり軸受け」の2種類に分けられます。
すべり軸受けとは、文字通り軸を滑らせる軸受けです。一般的には、摺動性のいい金属と潤滑油によって回転を支えます。構造がシンプルで大きな力や高い回転数にも耐えられ、振動や騒音が少ないのが特徴です。そのため、船舶や自動車、大きな機械などさまざまな場所で使用されています。また自動車模型のおもちゃのように小型で大きな力のかからないものであれば、ナイロン樹脂のような滑りやすい樹脂が使われるケースもあります。
転がり軸受けとは、軸受けの外周と内周の間に鋼球やコロを入れた軸受けです。一般的に「ベアリング」というと、こちらを想像する人が多いかもしれません。摩擦の抵抗が非常に少なく軽い力で回せるのが特徴です。おもちゃとして話題になったハンドスピナーも、転がり軸受けが活用されています。規格化されて、さまざまなサイズが市販されているため、入手しやすいのもメリットです。しかし回転時に騒音が発生しやすいことや、内部の球やコロが疲労しやすいなどのデメリットもあります。

軸と部品を固定する、キーとピン

キー

キーとは回転軸と歯車を固定する際などに使われる機械要素です。歯車の例では、軸に切った溝と、歯車の軸を通す穴に切った溝にはまり、それぞれの回転がずれないように固定します。目立つ機械要素ではありませんが、動力の伝達には非常に大切な役割を果たします。

ピン

ピンは軸やねじのゆるみ止めなどに使われる部品です。補助的な役割をもつ機械要素ですが、安全やメンテナンスのためには欠かせない部品です。特に割ピンは、ナットの緩み止めとして多く見ることができます。

まとめ

軸やベアリングは、回転運動をする機械の駆動部分には欠かせない機械要素です。大きなものから非常に多くの場面で使用されています。一方で、キーやピンは他の機械要素を固定する目的で使われています。それぞれの要素の働きを知り、機械設計に活用しましょう。

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