強度計算

| 金型設計『虎の巻』【第一巻】

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初めまして。モールデックの石田吉樹と申します。

 

突然ですがmeviyスタッフ川野さん(meviyちゃん)から依頼を受け、これから金型設計『虎の巻』(技術情報の発信記事)を連載することになりました。金型設計をする上で必要な計算式や注意点、更に失敗談など様々な情報を公開していきます。またノウハウの継承や人材不足、IoT化といった社会課題に対するお役立ち情報なども発信していく予定です。

モールデックとはどんな会社?

型にはまったらあかん

 

弊社は1990年プラスチック金型の設計専門会社として設立・創業しました。2004年からは、プラスチック製品の開発設計(主に自動車部品)サービスの提供を開始し、現在は2つの事業柱があります。

 

【1】プラスチック金型設計
3次元フルソリッド設計を確立させ、他事業所向けに3次元設計教育、立ち上げ支援サービスを行っています。製品開発設計サービス分野では豊富な設計技術を有した技術者の開発プロジェクトへの提案を行っています。
【2】ソーシャルビジネス
『型にはまったらあかん!』の言葉にあるように、お客様から頂く仕事のみにとどまることなく、これまで構築してきたものづくりネットワークを活用し地域の活性化、次なるチャレンジャーを応援するソーシャルビジネス事業にも挑戦しています。

株式会社モールデックHP

 

【金型設計『虎の巻』】 第一巻『強度計算』

早速ですが第一巻『強度計算』を掲載していきます。金型設計の現場では常に様々な計算を行っていますが、強度計算の一部は金型設計において初期段階で行う計算です。近年では3Dデータの利用環境が整いCAD・CAEでデータ解析をすることが主流になり、手動で計算することは少なくなってきました。

 

計算は自動できるようになりましたが、理論まできちんとわかっている人はどれくらいいますか?今回は設計者の基礎知識としてはずせない強度計算の一部を4パートでご紹介します。

【一】主型のたわみ
【二】構造物等のたわみ
【三】主型の伸び
【四】金型重心

【一】主型のたわみ:はりの一部に等分布荷重を受ける両端支持はりの計算

●計算する理由

金型の材料は基本的には鋼材ですが、この多大な圧力(成形圧力という)を受けた時、鉄といえども曲がります(たわむ)。特に真下が中空で橋桁構造になっている可動型では固定型よりもたわみ量は大きく、一般的に0.05mmたわむ(PLが0.05mm開く)と製品にバリが張るといわれています。

 

鋼材の成形圧力によるたわみ量はその鋼材の厚みと反比例するので、金型設計の初期段階でその製品にバリが張ることなく成形できるだけの鋼材の必要な厚みを算出しておく必要があります。

 

1主型のたわみ_解説

 

●計算式

本計算式は、その鋼材のたわみ量や必要な厚みを求めるために用いるもので、たわみ量をギリシャ文字の「δ(デルタ)」で、厚みをアルファベットの「h」で示しています。

1主型のたわみ_計算

【二】構造物等のたわみ:はり全体に等分布荷重を受ける片持ちはりの計算

●計算する理由

射出成形時の成形圧力により、鋼材に何らかのたわみが発生します。例えば金型の構造物で受圧面の反対側が空間になっている場合、その構造物は受圧面に受ける成形圧力により、空間側へ倒れます(たわむ)。

 

一般的にPLが0.05mm開くとバリが張るといわれ、構造物の頂上付近が0.05mmたわむとその付近にバリが張ることが考えられます。従って構造物を断面的に計算する際、鋼材のたわみ量を算出し、その量が許容範囲内に収まるだけの構造物のたわみ方向の厚みを確保する必要があります。

 

2構造物のたわみ_解説

 

●計算式

本計算式はその鋼材のたわみ量や必要な厚みを求めるために用いるものでたわみ量をギリシャ文字のδ(デルタ)で、厚みをアルファベットのhで示しています。

 

2構造物のたわみ_計算

【三】主型の伸び:主型の伸びの計算

●計算する理由

射出成形時の成形圧力により、鋼材には何らかの伸びが発生します。特に成形品の金型側面方向への投影面積が大きい場合、固定主型及び可動主型の型開き方向での厚さが薄い箇所に伸びが現れやすいです。

 

そのときの鋼材の伸びの量は、製品のPL上に食い違い(段差)となって現れることが考えられます。その為、製品を断面的にレイアウトしインローを設定する際は、鋼材の伸びの量を算出し、その量が許容範囲内に収まるだけの鋼材の厚みを確保する必要があります。

 

●計算式

本計算式は、その鋼材の伸びの量や必要な厚みを求めるために用いるもので、伸びの量をギリシャ文字のλ(ラムダ)で、厚みをアルファベットのTで示しています。

 

3主型の伸び_計算

【四】金型重心:金型の重心位置の計算

●計算する理由

金型を吊り上げたときに傾きがあると成形機への取り付けなどの運搬が困難になります。そのため設計者は吊り具を適切な位置に設定するため、金型重心位置を把握する必要があります。

 

●計算式

重心は簡単に説明すると、物体をその一点で吊り上げたとき、物体が傾くこと無く吊り上げることの出来る一点のことを言います。直方体の重心位置はその中心に存在します。つまり直方体の高さをhとしたとき、高さ方向の重心位置はh/2となります。

 

このことから固定側取付板、主型(固定・可動)、可動側スペーサー、押出板(上・下)、可動側取付板のそれぞれの型開き方向の重心位置を導くことができます。可動側取付板の底面からそれぞれの型開き方向の重心位置までの距離をℓ1,ℓ2,ℓ3,ℓ4,ℓ5,とし、その距離にそれぞれの重量を掛け、その合計を総重量で割ると型開き方向の可動側取付板の底面からの重心位置を求めることができます。

 

4金型重心_計算式

 

以上、第一巻『強度計算』でした。
皆さんのお役に立てる情報を発信していきますので、これから宜しくお願いします。

 

(石田吉樹/モールデック)

モールデック

石田吉樹

1981年生まれ、愛知県出身。

学生時代、製図の楽しさに目覚め設計会社の株式会社モールデックに入社。金型設計を学び、大小様々な製品の設計業務を経て3D設計化プロジェクトに着手。現在は3D設計化の支援をメインに活動中。
最近ではスマートものづくり指導者として学んだIoT、AI技術を設計現場にどう活かしていくか?をテーマに活動中。

見事に中年になってしまった体に鞭を打ちマラソン、スノーボード、草野球と体を動かすことが好きです。格言は【未来と自分は変えられる】。

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