現場取材・対談連載記事

日本ユニシス・エクセリューションズの3次元統合CAD/CAMシステム「CADmeister」の目指すものとは

紙の図面で行われていた設計作業は、今まではコンピューターを用いた3次元設計によって効率化が進んでいます。それにともない、製造現場でのものづくりの様子も大きく変化しつつあるようです。

 

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今回は、金型業界で広く運用されている3次元統合CAD/CAMシステム「CADmeister」を開発された日本ユニシスエクセリューションズ本社を訪問。meviyスタッフの芝田が、「CADmeister」の3次元設計の現況と将来展望についてお話を伺いました。

 

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取材の対応をしてくださったのは、商品企画部の河合孝幸さんです。

 

「CADmeister ver.12」の実装機能と狙いは?

芝田 よろしくお願いいたします。さっそくなんですが、現在ユニシスさんが展開されている最新バージョンの「CADmeister ver.12.1」について、どういう機能が追加されたのか説明をお願いできますでしょうか。

 

河合 今回のバージョンでは、ミスミさんが開発した金型設計支援ソフトウェア「Mold EX-Press(モールド・エキスプレス)」と連携し、CADの操作中に金型部品ライブラリーの中から欲しい部品をその場ですぐ発注できるようになりました。実装した新機能の中では、これが一番大きな追加要素ですね。

 

芝田 この連携機能は私たちにとって大きな一歩となったと思います。今までは欲しい部品を作業中にメモし、別に発注しなければという状況だったので、手間を省いて生産性を向上させるという点は重要な課題でした。

 

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河合 私たちとしても、いかに金型の設計者が気持ちよく動かせるかということを意識しています。ですから、「Mold EX-Press」との連携は大きな変更点でしたね。その他には、フィレット面にぼかし面形状を作成するフィレット面整形機能やボルト・ノックの自動配置機能など、設計がスムーズになる機能を追加しています。

 

芝田 なるほど。まったく新しい機能をどんどん追加するのではなく、よりユーザーに寄り添った形のアップデートということですね。

 

河合 そうです。全体としては、お客さまから要望の多かった操作性の改善を重点的に行いました。配置機能を連携させて部品設計をしやすくしたり、外部システムとつないだりして、シームレスな設計フローの実現を意識しています。

今回のバージョンについては、お客さんがもっと設計をスムーズに進めることのできる基盤整備というところに注力したので、夏に実装予定の新バージョンではより便利な金型の設計を可能にする要件を練り直しています。機能の有無はもう終わったので、さらに効率化を目指すために一つ一つの設計機能の作り方を詰めるフェーズですね。

 

3次元の金型設計が抱える課題とジレンマ

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芝田 3次元の金型設計で、いま直面している課題ってどんなことが挙げられますか?

 

河合 金型設計の専用機能を充実させていくのは必然として、よりお客さんが使いやすいように、工程管理や生産管理をシステム化して、IoTでつないでいくのが理想なんです。そこをどれだけ追求できるかどうかが、いま向き合うべき課題でしょうか。

具体的には、弊社には3Dの形状処理のノウハウがあるので、その蓄積を使ってうちが持っている強みを生かすという手法がひとつ挙げられます。そして、CAD/CAM自体の機能強化や改善をしながら、どうやって新しいことをしていくかも外せない課題ですね。

 

芝田 IoTでつなぐということに関しては、ミスミが開発している3D CADデータものづくりプラットフォームmeviyも大きな課題を持っています。設計と製造以外のところをつないでいきたいと考えても、購買だけがIoTになってしまっても業界として前進しないよね、というのがジレンマでして。合わせて海外展開も課題だと考えているんですが、そのあたりはいかがでしょうか。

 

河合 そこはまず、どこに重点を置くのかを考えなければいけません。単に自国語への対応・非対応だけを見る顧客もいれば、現地でのサポート力を重視する方もいます。そうした多岐に渡る要素があって、そもそものビジネス戦略も定まっていない中でどう海外展開するか。それを考えると、会社としては時期尚早というのが正直なところですね。

 

芝田 確かに戦略を練り上げる前に、安易に海外展開を急ぐのはまずいですね。現地のメーカーのシステムとの兼ね合いもありますし。どこに射程を定めるのかは我々としても大きな課題です。

 

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河合 世界に目を向けるなら、誰が設計しても同じものができるCADシステムは向いていますが、私自身はそれをあまり良しとは考えていません。というのも、やはり金型に特化したシステムである以上、お客さんが求めるものに精一杯応えてあげたい。画一化してはいどうぞっていうのは、やっぱりよくないと思うんです。

 

芝田 そのあたりは難しい判断になりますよね……。最後に「CADmeister」がこれから目指していきたいものを教えてください。

 

河合 我々はCAD/CAMのシステム開発だけではなく、金型の設計から製作までを全体的に支えていくシステム作りが必要だと考えています。いろんなところをつないでいく中に、IoTを取り入れたり3Dデータを上手く活かすビジュアライゼーションの仕組みを導入したり。そういった金型エンジニアリング全体のプラットフォームとして、商品を整えるサポートをするのが我々の役目ですから。日本の金型の文化や技術を世界に誇るものとして残していくためにも、金型用のCAD/CAMシステムとして「CADmeister」を進化させていく方針はブレないところですね。

 

まとめ

金型製作に特化した3次元統合CAD/CAMシステムを作り続ける日本ユニシス。河合さんの発言からは、並々ならぬ金型改革の熱意を感じました。その思いが日本の技術者たちへのポジティブな刺激となり、より業界を巻き込んだ大きなうねりを引き起こしそうな予感がします。

ミスミの3次元設計ソリューション「meviy」も製造の基点となる設計工程にIoTで改革を起こし、より良い未来のものづくりを実現するため邁進していきます。

(神田 匠/ノオト)

 

▼CADmeister
http://www.excel.co.jp/cadmeister/index.shtml
▼Mold EX-Press
https://www.moldex-press.com/jp/
meviy
https://meviy.misumi-ec.com/

 

この記事の著者

ライター
神田匠

1995年生まれ、山口県周南市出身。立命館大学産業社会学部卒業。父親が自動車の整備士だったので、日頃から工具に囲まれて暮らしていたが手先は不器用。好きな工具はラチェットレンチ。

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