この記事では、2023年11月に開始された「meviy 板金溶接加工サービス」を利用して、板金部品に溶接を追加する方法について紹介します。
従来は、メビーで板金部品を購入後に溶接を業者さんに溶接図面を作成して依頼したり、溶接以外の方法で接合を行ったりと手間がかかりましたが、この板金溶接加工サービスで部品購入後の作業が不要になり、溶接が必要な部品調達の効率が良くなりました。
今回は、以前ブログで紹介した「溶接レスで板金を接合する方法」のモデルと比較して解説します。
目次
溶接レスで板金接合するモデリング
「溶接レスで板金を接合する方法」を書いた2021年4月当時、メビーに板金溶接加工サービスはありませんでした。
そこで、私が普段使用しているSheetWorksを使って、装置カバーに想定される部品を溶接せずに皿小ねじを使って板金を締結する方法を紹介しました。
溶接加工が可能なら三面を作成して終わるところですが、溶接ができないために、フランジと皿穴、ねじ穴を追加する必要があり、手間がかかっていました。
溶接加工で板金を接合するモデリング
続いて、2023年11月に開始された「meviy 板金溶接加工サービス」を想定したモデリングについて説明します。
設計のポイント
① 新規部品 ボス-押し出し1を作成
まず、最初に[新規]-[部品]-[フィーチャー]-[押し出しボス]-[正面]を選択します。
次にスケッチを作成し、[方向1]ブラインドを100ミリに設定します。
100角のソリッドボディが完成しました。
② シェル1を作成
次に、[フィーチャー]-[シェル]を選択します。
[厚み]を2.3ミリにし、[削除する面]に背面、左側面、底面を選択します。
これで、厚み2.3ミリの三面のカバーが完成しました。
板金溶接加工サービスを想定したモデリングでは、たった2つの要素でモデルが完成しました。かかった時間は1分です。
しかし、これだけで本当に板金溶接加工品が完成するのでしょうか。
自動で溶接箇所を決定!
meviy 板金溶接加工サービスの操作方法
以前は溶接箇所となる展開ラインを設定して、展開できる状態で メビーにアップロードする必要がありましたが、「meviy 板金溶接加工サービス」では自動で溶接箇所を決定し、製作可能な展開形状にリモデルしてくれるため、展開に必要な曲げのフィレットやスリットを入れずとも見積もりできるので、従来必要だった作業がなくなり効率が良くなります。
実際に、メビーにアップロードして確認しましょう。
① 3D CADデータをアップロード
メビーにログインし、板金溶接加工3Dモデルをアップロードします。
加工方法は[板金]を選択します。
すると、展開できる形状ではないため、サービス対象外となります。
板金溶接加工サービスを利用するため、対象プロジェクトにチェックを入れて[溶接構造にする]を選択します。
リモデルされて、加工方法が[板金溶接]に変わりました。
② 3Dビューワーで溶接設定
リモデルされたプロジェクトの操作画面(3Dビューワー)で、溶接設定を確認します。
自動で展開ラインが設定され、溶接箇所が設定されています。
溶接種類は[おまかせ]、溶接方法は[連続溶接]、溶接方向は[片側]、溶接仕上げは[焼け取りのみ]が選択されています。
溶接情報は編集が可能です。
例えば、[連続溶接]を[断続溶接]に変更することも可能です。
③ 自動見積もりで型番を発行し注文
溶接方法を[連続溶接]に戻し、見積もりを確定させます。
価格と出荷日、型番が表示されました。
価格は3,610円です。
メビーで実際に注文してみた
実際に、メビーのカートへ追加し、注文してみました。
注文日から土日を省いた6日後、無事に板金溶接加工品が届きました。
運送中に変形がないよう丁寧に梱包されています。
梱包を開梱すると、念願の私の設計した板金溶接加工品が出てきました。曲げの部分も溶接ビードや仕上げの部分もとても綺麗です。
非体裁面側を見ると均等な溶接痕があり、一定の速度で溶接を行っている、レベルの高い溶接であるこが分かります。
まとめ
いかがでしたか。
本記事8つめの板金レシピでは、「meviy 板金溶接加工サービス」を使って板金部品に溶接を追加する方法について紹介しました。
溶接レスのモデリングで5分かかった時間は、溶接加工モデリングでは1分でした。なんと、80%の時間削減に成功しました。
CADでは簡単なモデル作成にとどめ、メビーのリモデル機能をフルに活用できたからです。
溶接の指示についても溶接図面が自動で作成されるため、今まで手間だった図面作成時間や打ち合わせも不要になり、溶接品の調達リードタイムが大幅に縮まります。
溶接を嫌う製品用途以外は、溶接レス加工ではなく溶接加工の方が、コスパが良いですね。
リモデル機能は非板金モデルから、展開可能な板金形状にし、溶接箇所や溶接方法を自動で決定します。1枚の板では展開できない複雑なモデルは自動で複数パーツに分割され、溶接指示を設定できます。
あまり板金溶接を知らない方でも、リモデル機能により自動で溶接箇所を判断し、決定してくれるのでおすすめです。
簡単なモデルを作成して、あとはメビーにおまかせ!といった感じに作業手順が変更できそうです。
個人の感想ですが、私のような工場を持たない設計者でも、板金溶接加工品がたった6日で手元に届くことは、とても衝撃的でした。初めて3D CADに触れた時のような感動を感じました。
メビー で進化する、ものづくりと時間革命。
次回も皆さんのアイデアにつながるような情報を発信していきますね、お楽しみに。