地域のゴミステーションは、長年の使用によって劣化し、安全性や使いやすさに課題を抱えることが少なくありません。しかし、大がかりな改修には高額な費用がかかるため、なかなか手を付けられないという声も多く聞かれます。
今回はメビーを活用し、低コストでゴミステーションを補強・改修する方法をご紹介します。設計のポイントを押さえながら、実際に劣化したゴミステーションを蘇らせた事例を交え、具体的な改善策を解説します。
目次
地域ゴミステーションの問題と課題
この写真は私の住む地域にある2個並びのゴミステーションの様子です。
ゴミステーションは鉄線でつくられていましたが、長年の使用により以下のような問題が発生していました。
- 鉄線が破断し、歪みが生じている。(衝撃を何度も受けたと推測できる。)
- ゴミ投入口のフタ機能が壊れてしまい、開閉が困難になっている。
不便なだけでなく、ケガにつながる大変な危険が潜んでいます。
これではいけないと思い、新品ゴミステーションの価格を調べましたが1個で約3万円、2個揃えると6万円と高額なことが判りました。
先日参加した自治会総会で予算は限られていることを知り、新品は諦めて改修を考えます。
そこで今回は、メビーの板金加工サービスを利用して安価に部品を手配し、再発を防止するとともに、安心して快適に使えるゴミステーションの改修事例を解説します。
ゴミステーションの改修設計
設計にあたり、以下のポイントを考慮しました。
|
まずは、ゴミステーションのフタを採寸し3D化します。
設計はSheetWorks※で作成します。
※SheetWorksは、3次元CADソフトウェアSOLIDWORKSをベースCADとし、板金製造業向けに特化したあらゆるコマンドを搭載したアマダ社製の3D CADソフトです。

ゴミステーションフタ3D 鉄線の径はΦ5 幅は1,100mm
新しいフタの設計
ゴミステーションフタ3Dモデルのサイズ・形状を参考にしながら、アセンブリモードで新しいフタとストッパーの設計を行います。
新しいフタから設計します。
- [アセンブリ]-[新規部品]-[右側面]を選択
右側面を選択
右側面に鉄線を覆うスケッチを作成します。
鉄線から1.5mm離した位置に150mm x 58mmのL字をつくります。右側面にスケッチ
- [板金]-[ベースフランジ]を選択
- 方向1[ブラインド][1100mm]板金のパラメータ 厚み[1mm]
反対方向 ベンド半径[0.2mm]を設定ベースフランジで新しいフタを作成
スケッチしたL字に曲げ形状と厚みがつき、新しいフタの外観部分が完成しました。
フック部分の設計
次に鉄線に引っ掛けるフック部分を設計します。
フックのスケッチを記入する平面を作成します。
- [挿入]-[参照ジオメトリ]-[平面]を選択
第1参照で[正面]、オフセット距離[27.5mm]を設定フックのスケッチ平面を作成
- 平面1にスケッチを開始、下図のようにフック部の外形線を追加
フックのスケッチを作成
フック部にも[板金]-[ベースフランジ]を使用して曲げ形状と厚みを付けていきます。
- 方向1[中間平面][35mm]を設定
ベースフランジでフックを作成
フック部分が完成しました。
取付後にガタつかないよう、隙間を0.5mmに設定しました。

フックと鉄線の隙間を0.5mmに設定しガタつき防止
フックを複数配置します。
隙間がない設計のため取り付けが大変になるので、必要以上には増やさずにあと3個作成します。

直線パターンでフックを3個作成
フックが4個作成できました。これで鉄線に引っ掛けて固定することが可能になりました。

フック4個が完成
けが防止で「フィレット(R)」を追加します。すべてのエッジにR1追加します。
- [フィーチャー]-[フィレット][1mm]を選択
- 1か所エッジを選択
フィレット(R)追加
- フィレット選択を補助するポップアップツールバーが表示されるので19エッジを選択
すべてのエッジが選択されます。ポップアップツールバー
ポップアップツールバーからすべてのエッジが選択された状態
- [OK]をクリック
フィレットが追加され、新しいフタの設計が完了しました。
構成部品編集を終了し、アセンブリに戻ります。
ストッパーの設計
次にストッパーを設計します。
- [アセンブリ]-[新規部品]-[右側面]を選択
- 右側面に鉄線を下から抑えるスケッチを作成
- 鉄線の内側に沿うように20mm x 9mmのL字を作成
右側面にストッパーのスケッチ
- [板金]-[ベースフランジ]を選択
方向1 [ブラインド][1100mm]板金のパラメータ 厚み[1mm]
反対方向 ベンド半径[0.2mm]を設定ベースフランジでストッパー作成
新しいフタとストッパーの間に鉄線が挟まれた状態になりました。

新しいフタとストッパーの間に鉄線
更に新しいフタとストッパーの位置決めをし易くするため、ストッパーの一部を鉄線の隙間から前にせり出して、新しいフタまで伸ばします。
前章で設計したフックと同じ間隔になるように作成していきます。
- ストッパーの面を選択し、スケッチを作成
- [フィーチャー]-[押し出しカット][ブラインド][2.0mm]を選択
フランジの基となる面が作成されました。

フランジの基となる面の作成
新しいフタのフックと同じ間隔で面を増やします。
- [フィーチャー]-[直線パターン]を選択
- 以下を設定
方向1[正面] [間隔とインスタンス]、間隔[149.4mm]、インスタンス数[8]、
ボディ[ベースフランジ2]、スキップするインスタンス[2,4,5,7]直線パターン
- [挿入]-[面]-[移動]を選択
面の移動[並進]、移動する面に先ほどの基となる面を選択、
パラメータ[ブラインド]、方向の参照[右側面]、距離[5mm]面の移動
面が伸び、新しいフタまで伸びるフランジが完成しました。
これにより組立時の位置決めが容易になります。

新しいフタまで伸びるフランジが完成
最後に、ストッパーにも新しいフタと同様のけが防止の「フィレット(R)」を追加して、設計完了です。
構成部品編集を終了し、アセンブリに戻ります。
フタとストッパーにボルト締結穴を作成
新しいフタとストッパーをM4ボルトで締結する穴を作成します。
- [アセンブリ]-[アセンブリフィーチャー]-[穴]を選択
- 新しいフタの面を選択
新しいフタの面選択
- 次に、以下のように設定
[スケッチ平面]、方向1[全貫通]、穴の直径[4.5mm]、
フィーチャーのスコープ[全構成部品]、[フィーチャーを部品へ接続]
Φ4.5の穴が新しいフタとストッパーに貫通するように作成されました。
穴位置を正しい位置にするためフィーチャーマネージャーデザインツリーの穴1スケッチを編集します。

穴1スケッチ編集
正しい位置にΦ4.5が新しいフタとストッパーに作成されました。
そのままスケッチ編集を継続しΦ4.5を残り5か所 配列します。
- [スケッチ]-[直線パターンコピー]を選択
- 以下を設定
方向1間隔[149.4]、インスタンス数[8]、スキップするインスタンス[4,5]

スケッチ直線パターン
ボルト締結用の穴が作成されました。

ボルト締結用の穴が完成
取手の選定と穴の作成
取手の選定をします。鉄線のマスを利用して取付可能なものを、ミスミの総合Webカタログから検索し、条件にあった「C-UPCA150」を使用します。

取手の選定
参考:MISUMI(総合Webカタログ)>【エコノミーシリーズ】 取手 樹脂外付 標準タイプ
取手のボルト締結穴を作成
CADデータをダウンロードしアセンブリに配置します。

取手を配置した様子
取手と新しいフタとストッパーをM8ボルトで締結する穴を作成します。
- [アセンブリ]-[アセンブリフィーチャー]-[穴]を選択
- 次に、以下のように設定
[スケッチ平面]、方向1[全貫通]、穴の直径[8.5mm]
フィーチャーのスコープ[全構成部品]、[フィーチャーを部品へ接続]

取手用穴の作成
穴位置を正しい位置にするためフィーチャーマネージャーデザインツリーの穴2スケッチを編集し取手穴と同じ位置にスケッチを移動します。
設計の完了
すべてのパーツの設計が完了しました。
重量も2kgに抑えることができました。

すべてのパーツの設計が完了
メビーで加工部品を手配する
3D CADデータをアップロード
メビーにログインして新しいフタ、内側ストッパーの3Dモデルをドラッグアンドドロップでアップロードします。

メビーの「プロジェクト一覧」画面に3D CADデータをアップロード
アップロードが完了しました。
[meviyで見積もり]を選択して、製造可否と価格の確認をします。

アップロード完了
製造可否と価格、納期を確認して発注
メビーの3Dビューワー画面で、新しいフタの見積もりから確認します。

新しいフタの見積もり成功
パレット納品の可能性の注意事項がありますが対応可能なのでOKとします。
金額は1日目出荷で16,657円、3日目出荷で7,661円、20日目出荷で5,370円です。
特に急いでいなく、安価にしたいので20日目出荷5,370円を選択しカートに追加します。
納期やニーズに応じて金額が選択できるのが良いですね。
次に、ストッパーの見積もりを確認します。

ストッパーの見積もり成功
新しいフタと同様にパレット納品の可能性の注意事項がありますがOKとします。
金額は1日目出荷で9,807円、3日目出荷で4,236円、新しいフタと同様に20日目出荷で2,969円を選択しカートに追加します。
新しいフタ5,370円+ストッパー2,969円 合計8,339円が1セットの価格になりました。
ゴミステーションは2個あるので2セット必要ですが、取り付けできるかどうかの確認のためにまずは1セット注文します。
新しいフタとストッパーの到着と取り付け
20日後、新しいフタとストッパーと取手が届きましたので開梱します。
ストッパーは強度の段ボールで固定され、変形防止が施されています。
パーツも傷等いっさいなく綺麗に製作されています。
フタの取り付け作業
早速、既存のフタに取付けていきます。
フック部分が0.5mmの隙間の設計で、ボルト締結していない状態でもガタツキなくフィットしています。

新しいフタを取り付けた様子
新しいフタとストッパーをボルト締結します。

ボルト締結を内側から見た様子
取手の取り付け作業
最後に取手を取り付けます。

取手を取り付けた様子
無事に新しいフタ、ストッパー、取手を取り付けることができました。
完成の様子と評価
取付が完了したので評価に移ります。改修後は、新しいフタがしっかりと機能し、開閉もスムーズになりました。これにより、次の効果がありました。
|

ゴミステーション完成の様子 新しいフタがスムーズに開閉
20日後に2セット目が届いたので取り付けし、すべての作業が完了しました。

2セット目の取り付け完了
コストと地域貢献
今回の改修にかかった費用は2セットで16,678円となり、新品を購入するよりも大幅にコストが削減できました。
また、2個目の取り付け中に地域住民から声をかけてもらい「以前よりも楽に開閉できるようになった」と喜んでもらえました。改修して良かったと思うとともに、安全快適にすることができたと実感します。
今後も再発防止の視点で長く活用できるよう、観察と適宜メンテナンスを行っていきたいと考えています。
まとめ
いかがでしたか。今回の事例「メビーで地域貢献! ゴミステーションを安価に改修」では、メビーを活用すれば、低コストでゴミステーションを補強・改修できることができました。
メビーは、3D CADデータをアップロードするだけで、見積もりと製作可否をすぐに確認でき、20日目出荷を選択することで、高精度な部品も抑えた価格で入手できます。
新規購入を検討すると高額になりがちですが、適切な設計に加え、メビーの活用やDIYの工夫を組み合わせることで、費用を大幅に削減しながら性能を向上させることが可能です。
「壊れたら買い替え」ではなく、「壊れたら補強・修繕する」という選択肢を持つことで、環境にも配慮しながらコストを考えることができます。