計者が悩まされるのは、設計以外の仕事だ。とくに部品調達は、図面作成→見積もり→納期調整→不具合対応……と手戻りが多い。株式会社Zen-Saiはこの工程を根本から見直し、3Dモデルだけで1分見積もり・短納期の調達を実現する「meviy(メビー)」を前提に設備開発を行う。結果、PDCAのスパンは従来の約3分の1へ。少人数で“スピード立ち上げ”を実現する同社のやり方を、代表取締役 五十嵐俊昭氏に聞いた。

株式会社Zen-Sai 五十嵐さま
2021年に創業し、代表を含めて3名で設備の自動化をサポートしてきた株式会社Zen-Sai。社名は「全体最適」に由来する。同社はFA機器やロボットを用いた生産設備の設計・開発から立ち上げまでを担っており、中小企業における「生産技術のアウトソーシング」を目指している。
中小企業はリソースが不足しており、設備仕様をまとめるのも難しい。同社はヒアリングや現場確認をもとに、装置仕様の取りまとめの段階から顧客企業に入り込む。このような開発では仕様が流動的で、柔軟性が求められる。
「試しに使ってみた」が今や同社に欠かせない存在に
同社は創業当時からメビーを利用しており、現在ではメビーを前提に設計を行っている。出会いは創業前、前職のベンチャー企業でのことだ。2D図面の作成に手間を感じていた五十嵐氏に、同僚の設計者が「3Dモデルだけで加工品を手配できるサービスがある」とメビーを紹介した。
五十嵐氏:まずは試してみて、合わなければ別の方法を考えようと思いました。初めに製作依頼したのは、板に通し穴を開けたシンプルな部品です。それでも、図面なしで発注した部品が、図面通り・納期通りに届いたときには感激しました。
メビーを知る前は3D CADでモデルを設計したのち、2D図面を作成していました。その図面をもとに加工会社に見積もりを依頼し、その後発注していました。しかも、見積もりに1〜2日、すぐに発注しても2週間以上かかっていたのです。これではPDCAを速く回すことはできません。

カップのフタ閉め装置と印字検査装置でメビーを活用
現在同社では、ほぼすべての部品をメビーで手配できるように設計している。
メビーを活用して製作した装置:図面加工品の約90%はメビー
- カップの上からプラスチック製のフタをする(嵌合する)装置
- カップ側面の印字と包装紙の位置が重ならないよう回転させる装置
五十嵐氏:製餡メーカーの株式会社遠藤製餡さまに納入した2種類の装置でメビーを利用しました。1つ目がカップにフタをする装置で、餡を入れたカップが流れてきて、そこに上からフタをします(嵌合)。ロボットを使わず、直交2軸と回転ユニットを組み合わせるシンプルな構成で、フタの閉まり検知まで自動化しました。

メビーの部品を使用したカップに蓋をする装置
2つ目の検査装置は、包装紙をつけた状態でも製造年月日の印字が確認できるよう、カップの向きを自動で揃える装置です。丸ベルトを用いてカップを回し、それをカメラで捉えて印字面が見えたら止めるという動きをさせます。1秒間に1個のペースで流れてくるカップを順次処理します。この工程はもともと人の目で検査しており、非常に負担の大きい作業でした。

メビーの部品を使用したカップの向きを自動で揃える装置
PDCAサイクルが1/3に。メビーが生む、集中できる時間と効率化
創業当初からメビーを活用している同社だが、今までの経験から、メビーを活用していなければPDCAに現状の3倍程度の膨大な時間がかかっていただろうと想像する。
設計者の手間を減らし、PDCAサイクルを3分の1にするメビーのメリット
- 急な仕様変更時や立ち上げ時の不具合にも瞬時に対応
- 1分見積もりにより、形状変更の価格影響をその場で確認できコストダウンにも貢献
- 出荷日を即確認し、納期調整や顧客対応をスムーズに進行
五十嵐氏:まず、2D図面作成の必要はありません。見積金額と納期(出荷日)は画面上で瞬時に確認でき、以前のように加工会社へ依頼して、数日後に「製作できない」と返答されるような手間もありません。メビーでは加工可否もその場で確認できるため、とても助かっています。
短納期で部品調達ができることで、PDCAサイクルは従来の3分の1に短縮。結果、追加で1案件対応できるほどの時間を生み出せている。「メビーなしの部品調達は考えられません」と五十嵐氏は語る。
五十嵐氏:定性的な効果も数多くあります。一般的な加工会社であれば見積依頼をした数日後に見積金額を確認して発注する流れとなります。その間、別の業務に取り組んでいた頭を再び見積もりに切り替える必要があり、集中力が分散してしまいます。一方、メビーなら見積もり・発注まで一気に完了できるため、発注が終わればすぐに次の業務に集中できます。
“見積もり・発注まで一気に完了できるため、
発注が終わればすぐに次の業務に集中できます。”
代表取締役 五十嵐 俊昭さま
今日から活用できるメビーのTips
初めは、失敗してもインパクトが小さい部品からメビーの活用を始めた。今では大いにメビーを活用しているが、意外にも最近知った機能が多くまだまだ活用の幅を広げられる可能性を感じた。
メビーで活用できる便利な3つの機能
- 寸法・公差一括追加機能
- PDFによる簡易2D図・DXFファイルによる2D図面出力
- CSVファイルによる部品情報出力
五十嵐氏:実は最近まで知らなかったメビーの機能を教えていただく機会がありました。
まずは寸法一括追加です。これはメビーのモデル上に寸法を一括で追加できる機能です。さらに一括で追加した寸法に公差を入れることも可能となっており、1個ずつ公差を指定する必要がなくなります。

寸法・公差一括追加
この寸法追加したモデルの簡易的な2D図面を出力することも可能です。簡易的なものではなく、2D図面として必要な場合、DXFファイルとして出力することができます。お客さまによっては2D図面を希望される場合もありますが、その都度ゼロから2D図面を作成する必要がないため助かっています。

簡易2D図
メビーで見積もりした部品情報をCSVファイルで出力できるのも便利です。型番や品名などを一括出力できるため、それをもとにコピーをして、当社のBOMフォーマットに情報を反映しています。メビーの画面から一つずつコピーするより手間がなく楽ですが、初期設定で並び順を変えられるなら、より便利だと感じます。

部品情報一覧
これらを活用して、私たちの業務をさらに「楽に」していきたいと思います。
2D図面いらずで、発注までにかかる時間を大幅短縮
同社がフル活用しているメビーだが、使用方法は非常に簡単だ。3Dモデルによる部品設計さえすれば、その場で見積もり・発注が可能だ。
メビー活用の簡単3ステップ
ステップ1. 部品の3Dモデルを作成し、メビーにアップロード
初めは一般公差のみのシンプルな部品(板金部品・切削加工のフラットバーなど)から始めるのがおすすめ。
ステップ2. 寸法公差・溶接指示・そのほかの詳細指示を追加
慣れてきたら、寸法公差が必要な部品や溶接部品をアップロードし、メビーの画面上で指示を入れる。メビーは焼入れ・クリーン洗浄・刻印など詳細な指示が可能。
ステップ3. メビーの仕様を考慮した設計
メビーは加工条件(生技要件)が決まっており、技術情報(https://jp.meviy.misumi-ec.com/help/ja)に加工限界などの詳細が記載されいるため、それを前提に設計すると、よりスムーズに活用可能。
中小企業における生産技術のアウトソーシングを目指して
中小企業に寄り添って生産の自動化を実現する同社は、今後も製造現場をサポートしていく。しかし、その中でも定めているビジョンがあるという。
今後の展望
- 中小企業の良きパートナーとして作業の実態把握や仕様取りまとめから伴走
- リソース不足など大手企業の依頼にも対応
- メビーによるスピード開発が顧客企業の価値を最大化する
五十嵐氏:世の中に多くの装置メーカーがありますが、現場の実態把握や仕様の取りまとめから伴走できるメーカーは多くありません。中小企業には生産技術の人材を雇う余裕がなく、誰かがその役割を担わなければ自動化は進みません。だからこそ、私たちが「生産技術の代行」として現場の流れを把握し、仕様策定から一緒に進めていくのが最適だと考えています。
“お客さまがスピード感を持ってビジネスができるよう、メビーを活用して当社がアシストしていきます。”
代表取締役 五十嵐 俊昭さま
株式会社Zen-Sai
「最大価値のソリューションを提供する」という理念のもと、自動化装置やロボットシステム、画像処理技術を駆使したオリジナル専用機の設計・開発・製作・立ち上げまでを一貫して行う。深層学習による物体認識やロボット制御など、既存技術で対応できない課題にも独自設計で応える。
| 代表者 | 代表取締役 五十嵐俊昭 様 |
| 創業 | 2021年 |




“図面なしで発注した部品が、図面通り・納期通りに届いたときには感激しました。”
代表取締役 五十嵐 俊昭さま