3週間の労力がゼロに。メビーで設計に集中できる環境を構築し、クリエイティブな仕事にシフト

3Dモデルを用いた構想設計は、設計者の創造性を発揮できる重要な工程だ。その後の2D図面作成は、3Dで固めた意図を製造の仕様に落とし込むための要であり、品質と再現性を支える役割を担う。一方で、3D情報の活用や標準化が進むほど、2D図面の作成は必要最小限にすることが可能となり、次の創造的な活動にスムーズに移行できる。この発想から生まれたのが「描かない設計」だ。

その「描かない設計」を実現したのが谷野製作所の小川太輔氏。
半導体・自動車・医療業界向け部品を量産する同社では、検査装置などの汎用化においてmeviy(メビー)をフル活用している。もはやメビーは設計プロセスに欠かせない存在となっており、「メビーがなければ設計が進まない」と小川氏は語る。

株式会社谷野製作所 小川さま

株式会社谷野製作所 小川さま

「2D図面を描かなければならない」という業務フローに疑問

小川氏は谷野製作所に入社した当時からメビーを活用しているが、前職では2D図面を描いていた時期もあった。転機となったのは、前職時代に偶然見つけたメビーというサービスだ。

小川氏:前職では、3D設計後に必ず2D図面を描くプロセスが定着していました。あるとき、ネットで「3Dモデルだけで加工品を作れる」というサービスを見つけました。試しに樹脂部品を注文したところ、想定通りの加工品が届いた。その体験が、現在メビーを使いこなす原点になりました。

その後、2022年に谷野製作所へ転職してからも、メビーの利用を継続している。現在では、メビーは設計業務に欠かせないインフラの一つとなっており、「もしメビーのサービスが停止したら、私は設計できなくなります」と小川氏は語る。

直観的に利用できるメビーのUI

直観的に利用できるメビーのUI

社内の検査装置の汎用化や自動化にメビーを活用

小川氏が担うのは生産技術だが、その役割は単なる現場支援にとどまらない。企画段階から関わり、現場の課題を自ら設計で解決していく姿勢が小川氏のスタイルだ。現在では加工品のほぼすべてをメビーで発注しているという。

「誰でも簡単に使える」装置を目指して

  • 寸法検査のための検査装置のアタッチメントを現場で使いやすいように設計
  • 脱着が簡単な嵌合式アタッチメントを採用
  • メビーで高さ方向の寸法公差を設定できるようになり、フル活用できるようになった

小川氏:最近開発を手掛けたのが、市販の投影画像測定器をベースにした寸法計測システムです。工夫したのはアタッチメントの取り付け方法。脱着が簡単な嵌合式を採用し、つまみを回転させるだけで脱着できるようにしました。

また、この検査装置は横方向だけではなく縦方向の計測も可能です。投影画像測定器を縦に使えるようにするためのアタッチメントも開発しました。これは人が使いやすい構造を意識しましたが、ロボットによる部品搬送にも対応できる設計にしています。

アタッチメントの中で、高さ方向の寸法公差が必要な部品があります。メビーは随時仕様が更新されており、高さ方向の寸法公差を設定できるようになりました。これにより、製作できる部品の幅が広がり、私が設計するほぼすべての部品においてメビーを利用できるようになりました。

メビーで手配した投影画像測定器用の部品

メビーで手配した投影画像測定器用の部品

“ロボットシステムや測定器の設計でメビーを活用しています。
高さ方向の寸法公差を指示できるようになり、メビーの活用範囲が広がりました”

技術開発課 小川 太輔さま

2D図面作成にかかっていた2週間がゼロに。設計に集中できる環境づくりにも貢献

前職時代、2D図面の作成に2週間を費やしていた小川氏。メビーを活用したことで、その工程がゼロになった。「単なる時間短縮ではなく、創造に集中する時間を取り戻せた」と語る。

人間が最高効率を発揮するのは集中しているとき。それを阻害しないのがメビー

  • 2D図面作成にかかっていた2週間もの時間がゼロに
  • 見積もり・注文を即時に完了でき、重要度の高い企画や構想設計に時間を割けるように
  • ゲーム感覚で直感的に操作できるUIにより、マニュアルを参照せずスムーズに使いこなせる

小川氏:メビーを活用することで、最も大きかったのは時間の創出です。2週間かかっていた工程がなくなったことで、より重要な構想設計に時間を割けるようになりました。構想設計のような創造的な業務では、集中が続いているときにこそ最高のパフォーマンスを発揮できます。

その集中状態を邪魔しないことがメビーの大きな価値です。メビーでは加工業者とのメールのやりとりが不要になり、見積もりと注文が即時に完結します。その瞬間に頭をリフレッシュして次の業務に取りかかれるため、設計者が本来発揮すべき能力を最大限引き出す環境づくりに貢献していると思います。

また、はじめにマニュアルを熟読して操作方法を覚えるのではなく、使いながら分からない部分があればチュートリアルやマニュアルで確認します。ゲームのUIがこのような考え方でデザインされていますが、ミスミのUIもまさにそうだと思いました。

“メビーを利用することで単なる時間短縮だけに
とどまらず、創造に集中する時間を取り戻せました”

技術開発課 小川 太輔さま

設計した部品はとにかくメビーで見積もり

小川氏は設計した部品をまずはメビーで見積もりを取るようにしている。また、コストダウンのための形状変更にもメビーを活用している。ただし、発注はメビーの画面から行っておらず、ミスミのサイトから注文している。

加工品も購入品もミスミ(メビー)で一括管理

  • メビーで注文する部品を選ぶのではなく、まずはすべてメビーで見積もり
  • アップロードはフォルダごと一括で
  • 形状を調整しながら再見積もりし、最適価格を検討
  • 標準部品も含め、ミスミサイトで一括注文・管理

小川氏:私の基本的な考え方は「とにかくすべてメビーにデータをアップロード」することです。こちらで仕分けをするのではなく、設計した部品をまずはメビーにアップロードして見積もり、価格や出荷日に問題がなければ注文します。また、メビーは即時に見積もりが可能なので、形状を少し変えて再見積もりし、価格が安くなるように試行錯誤しています。

これまではファイル単位でアップロードしていましたが、最近、ミスミの担当者からフォルダごとアップロードできる機能があることを教えてもらいました。フォルダ単位でまとめてアップロードできるため、作業工数の削減につながります。3階層までのフォルダ構成に対応しており、装置の部位ごとに整理してアップロードすることも可能です。

小川氏は発注の一本化にもこだわる。

小川氏:メビーと標準的なミスミのカタログ品を一括管理し、ミスミのサイトから注文しています。一括で注文することで脳のリソースを節約し、設計に集中するための環境づくりに努めています。
一括管理しておけば、リピート製作する際にBOMをそのまま使えます。また、特定の部品だけをリピート製作する場合にも、BOMの中からその部品を探せばよいだけなので、手間が省けます。

メビーで手配したステー(板金部品)

メビーで手配したステー(板金部品)

“とにかくすべての加工品をメビーにアップロードし、価格や出荷日に問題がなければ注文します。
ミスミのカタログ品と一括で発注することで脳のリソースを節約しています”

技術開発課 小川 太輔さま

2D図面いらずで、発注までの時間を大幅短縮

メビーの使用方法は非常に簡単だ。3Dモデルによる部品設計さえすれば、その場で見積もり・注文できる。

メビー活用の簡単3ステップ

ステップ1. 部品の3Dモデルを作成し、メビーにアップロー

初めは一般公差のみのシンプルな部品(板金部品・切削加工のフラットバーなど)から始めるのがおすすめです。

ステップ2. 寸法公差・溶接指示・そのほかの詳細指示を追加

慣れてきたら、寸法公差が必要な部品や溶接部品をアップロードし、メビーの画面上で指示を行います。メビーは焼入れ・クリーン洗浄・刻印など詳細な指示が可能です。

ステップ3. メビーの仕様を考慮した設計

メビーは加工条件(生技要件)が決まっており、技術情報に加工限界などの詳細が記載されています。それを前提に設計するとよりスムーズに活用できます。

目指すのは自社で構築したモデルを横展開し、業界全体に貢献すること

代表取締役社長 谷野秀之氏

代表取締役社長 谷野秀之氏

検査装置の汎用化・自動化に取り組む小川氏と、同社社長の谷野氏に今後の展望を伺った。

設計者が変えたいと思う未来を加速させるメビー

  • メビーによって創出した時間を、社会を変える検討の時間へ
  • 誰もが簡単に装置を扱える時代への期待
  • 自動化・ロボット化が、業界全体を変える可能性を秘めている

小川氏:現実と理想の間にある高い壁を、少しでも低くすることが私の使命だと考えています。本来は限られた人にしかできない装置を使用した効率化を、誰もができるレベルに落とし込むことが私の目標です。メビーで創出した時間で社会を変える検討に充て、誰もが使える装置の設計・開発を目指していきます。

谷野氏:小川の挑戦は、単なる社内の自動化にとどまりません。「マラソンで言えば10km地点」という初期段階ですが、ここからが業界全体を変える可能性を秘めています。人手不足が深刻な中小製造業において、誰もが扱えるロボットシステムによる「人とロボットの協働」は共通課題です。我々が構築した事例をモデルとして、取引先や同業企業にも横展開していく。そうすることで、本当の意味で業界全体に貢献できると確信しています。

“人手不足の中で、誰でも扱えるロボットシステムを通じて業界全体に貢献していきます”

代表取締役 谷野 秀之さま

“誰でも使える装置の開発を目指しています。
また、専門知識がなくてもロボットシステムを構築できるような世の中にしたいです”

技術開発課 小川 太輔さま

 

 

株式会社谷野製作所

NC自動旋盤による金属切削加工を本業とする中小企業で、少量多品種から量産加工まで対応。自転車・釣具などのアウトドア系から半導体関連まで幅広い分野にミクロン単位の精密部品を供給。加工後の洗浄・検査・品質管理も一貫して行い、24時間体制で稼働。人手不足への対応として外観検査自動化や搬送効率化に取り組み、省人化・自動化で業界全体の課題解決に貢献している。

代表者 代表取締役 谷野 秀之
創業 1966年