部品表は基本的に製品に対して1個ですが、実際の業務では設計部品表と製造部品表の様に複数種類存在することがあります。これらは似て非なる部品表で設計変更管理が煩雑になり、生産手配ミスなどの原因となるため、多くの会社では複数の部品表を統合する検討をしています。
目次
設計部品表とは?
設計部品表は通称EBOM(Engineering BOM)と呼ばれます。その名の通りに設計が作成した製品の部品・ユニット構成を表にまとめたものです。最大の特徴は設計変更などを含めて最新版の構成になっていることです。
3D CADのアセンブリツリーが設計部品表に類似します。
製造部品表とは?
製造部品表は通称MBOM(Manufacturing BOM)と呼ばれます。その名の通りに製造(管理)が作成した部品表で、生産工程に準じて設計部品表を再編したものです。最大の特徴は組立工程などの要素に追加され、最新版とは時間差がある表になっていることです。
似て非なる、設計部品表と製造部品表
違い:追加要素
- 製造部品表では設計部品表にはない“補助材”が存在します。(例:塗料、潤滑油、シール材など:CADで作成しないもの)
- ネジを大量に使う製品では設計部品表ではなく製造部品表に“補助材”1式として記載する場合もあります。
特徴:ユニット構成
- 自動車などのように別々の生産拠点を使う場合には、協力会社への手配の関係で、設計部品表のユニットと別構成のユニット構成で部品表を作成します。
- サービスパーツ用のユニット構成は、製品のメンテナンスに必要な部品セットを供給する必要があり、別途部品表が作成されます。
特徴:適用時期
- 設計変更部品が複数ある場合に、全て同時に手配や、生産することはできません。
- 旧部品の在庫状況、生産技術の治具更新時期などに合わせたて“時間差”で部品表の更新を行います。(例:設計部品表のA-ver2部品適用は他の部品より遅れるので、一定期間の間、製造部品表ではA-ver1部品で据置になる。)
EBOMとMBOMの運用はどうする?
設計変更プロセスで管理
設計変更を“設計、生産技術、製造(管理)、購買”で共有し、製造(管理)などが製造部品表を作成し、設計部品表との違いによる影響を設計に確認します。
この様に緊密なコミュニケーションで運用が可能になりますが、どうしても人為的なミスが発生します。
この様に緊密なコミュニケーションで運用が可能になりますが、どうしても人為的なミスが発生します。
ITシステムで管理
PLM(Product Lifecycle Management)システムでは複数の部品表を設計部品表にリンクして作成できますので、複数の部品表の統合ができるため、人為的なミスは激減します。
PLMで作成される部品表を一般的にBOM Viewと呼びます。
まとめ
部品表はそれを利用する部署に合わせて体裁や内容が変化します。1つの製品でもEBOM,MBOMがあり設計変更管理などを煩雑にしていますが、PDM,PLMなどのITシステムを利用することで確実に管理することができますので、人為的ミスによる損失を防止することができます。
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