3D CADには設計の標準化を支援する各種機能が搭載されており、2D設計よりも3D設計の方が標準化を進めやすくなっています。しかし標準化は金太郎飴的な設計を助長しやすい側面もありますので、バランスよく取り入れることが重要です。
目次
設計の標準化とは?
日々の設計では多種多様な部品が新規に設計され、購買部門により手配されます。したがって図面も増え続け管理部門の工数なども増えてしまいます。ところが新規部品の中には既存部品とほぼ同じ形状や機能を持つ物や、全く同一部品である場合も少なくありません。
標準化は設計や部品で標準的な形状や部品を整備することで、類似部品を設計段階から排除して、この様な無駄を省き設計工数、コスト、管理工数を削減する取組です。
標準化のメリットとは?
①設計の信頼性を上げる
部品の形状には設計のノウハウが埋め込まれていますが、実際の設計では設計者全員が標準のノウハウを使えていません。標準化により設計のノウハウが反映された部品形状を利用できれば、信頼性の確認された設計が可能になります。
例:フック形状、補強リブ形状など
②互換性が確保できる
標準化によって部品形状に一貫性があると、互換性の確保が容易になります。互換性がないと設計変更の前後でサービスパーツの取付けができなくなります。
例:ボルト・ナット、取付け穴の径とピッチなど。
③加工可能性の確保
部品形状を実際に製造する際には加工できる形状かを検証する必要があり、生産技術部門、製造部門との打ち合わせなどが必要になりますが、徹底できずに出図後に問題が発覚することがあります。あらかじめ加工可能性が確保された形状で標準化されていれば、設計段階で加工可能を確保でき、結果的に生産技術部門や製造部門の負荷を軽減することができます。
3D CADで実現できる設計の標準化
標準化のメリットは理解できましたが、それを実践するのは大変です。特に2D設計では標準化を支援するツールが不十分なため、設計者の力量次第で標準化が成功するかが決まります。その結果、せっかく標準化を進めても設計に反映されません。
3D CADでは設計者が標準化を進めるための支援ツールが充実しており、設計者の力量に依存することはありません。
フィーチャライブラリー
多くの3D CADが採用しているフィーチャモデリングは部品を積み木の様にモデリングします。標準化されたフィーチャをライブラリー化して利用することで必然的に標準化を図ることが可能になります。
形状比較
3D CADの3次元形状比較機能を利用すると、類似部品の些細な違いを調べることができ、設計者の標準化検討を支援できます。
質量特性
以前より形状検索ツールにより類似部品の検索ができますが、質量特性を利用することで類似部品を簡易的に検索することができます。体積と重心位置が合致すれば高確率で同じ形状の部品を見つけて利用することができます。
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