3D CADには機械加工を想定した各種機能が搭載されています。それらの機能を上手く使うことで、加工性の高い部品設計を行うことが可能です。
目次
機械加工部品と樹脂成形部品におけるモデリングの違い
3D CADでのモデリングでは、色々な方法で部品を作成することができますが、部品が機械加工で製造されるか、樹脂成形で製造されるかでモデリングのアプローチを変えることで、設計の手戻りや製造部門に困難な作業をさせるリスクを最小限にできます。
しかし設計の基本は要求仕様を満たす部品形状を設計することですので、加工を意識する優先順位は2番目となります。
機械部品のモデリングは削る方向が基本
最初に外形部のモデリングから始め、加工しろも、考慮して大きめに作成します。その後にカットフィーチャでモデルを削りながら部品形状を仕上げていきます。ちょうど素材を機械加工していく工程を真似てモデリングする様にすると、加工性を考えながら設計することができます。
*機械加工部品ではボスなど足し算のモデリングを行うと、加工で除去する体積が増大して、素材コスト、加工コストが跳ね上がります。
樹脂成形部品のモデリングは足す方向と削る方向が基本
機械加工部品に比べて樹脂成形部品は部品形状をより複雑にすることで多機能化を実現できます。したがって3D CADでのモデリングも押出し、カットフィーチャを組み合わせて使うことができます。また、シェルや抜き勾配など樹脂成形に特化した機能も利用できます。
機械加工を意識したモデリング
- 最初のフィーチャ形状はできれば定尺の素材寸法で作成するか、標準プレートを利用します。設計に許された領域が指定されることでコスト意識を持って設計でき、無駄に大きい素材を使われることを少なくできます。
- カット形状はXY方向に平行な四角形を利用する。斜めカットや、曲線のカットを防止することで機械加工の効率が上がります。またNC工作機械を利用する必要がなくなります。
- ポケット形状の深さはなるべく浅く、内角には規定のエンドミル径に合わせた半径でフィレットを作成する。ポケット形状はフライス盤でエンドミル加工を行いますので、深さを浅くすると加工時間を短縮できます。ポケットの内角がピン角のままだとエンドミルでは加工できず、放電加工などコストが跳ね上がります。3D CADの加工検証機能を利用することで、加工に適さないポケット形状をチェックすることもできます。
- カット形状はZ方向で上から下に作成する。実際の機械加工も刃物をZ方向で上から下に移動させて切削します。この様なモデリング方法で作成することで加工性が自動的に確保されます。また加工素材を回転して治具に取付直す工数も削減できます。
- 穴形状は専用のドリル穴機能を利用する。3D CADには穴に特化した機能があり、ドリルの様に直径が標準数で管理されています。またネジの呼び径を指定するだけで適切な下穴径で穴をあけることができます。これにより工場のドリルに無いような特殊な直径の穴を誤ってモデリングするミスをなくすことができます。
3D CADのフィーチャは機械加工に向いている
3D CADは設計ツールとして開発されてきましたので、モデリングは実際の機械加工を再現できます。面加工、穴加工、面取り加工などに対応したコマンドが用意されていますので説明してきた、機械加工を意識した設計を行うことができます。