3D CADの欠点として2D図面の作成が挙げられます。そのため2D CADにデータを渡して図面を作成している設計者も多いのではないでしょうか?しかし、3D CADの2D図面作成機能は格段に進化しています。
目次
3D CADでの2D図面作成準備
図面作成の効率化には、事前準備が重要です。2D CADも事前準備されていなければ使い易くはなりません。普段会社で使っている2D CADは、管理者が設計業務に合わせて各種の設定を行っているので使い易くなっています。3D CADの2D図面機能も同様に設計業務に合わせた各種設定があり、事前準備を行うことが必要です。
① 図面枠の作成
会社で規定された図面枠を準備します。2D CADを使って図面枠をdwg形式で保存して、3D CADでインポートして作成することも出来ます。
3D CADの特典:3D CADの図面枠には3Dモデルのプロパティの値をリンクする機能があり、部品番号、材料、作成日などの情報を表題欄に自動的に記入しますので記入ミスなどを防止します。
② テンプレート作成
図枠のサイズごとにテンプレート(雛形)を準備します。テンプレートでは製図規格の設定(JIS, ISOなど)や、文字高さ、寸法の体裁(表示桁数)、矢印の大きさなど多岐にわたり定義することができます。管理者がテンプレートを用意する事で図面の標準化を徹底することができます。
3D CADの特典:文字の高さなどを勝手に変更して図面を作成しても、社内標準の製図ルールに適合しているかを自動検図することができます。
③ ブロックのライブラリーを準備する
JIS規格などで規定されていない特殊記号などを、ブロックとして登録できます。また、よく使う注記の文言などもブロックとして登録できますので、ライブラリーを作成しておく事で、図面の作成効率が向上できます。
④ レイヤー(画層)を準備する
2D CADでよく利用されるレイヤーは、3D CADの図面でも利用できます。機能もほぼ同等ですので、社内標準のレイヤーセットを準備することでレイヤーをすぐに利用できます。
2D CADと比較して3D CADの図面作成が優れている点
- 3D CADの図面作成では外形図は3Dモデルを投影して自動作成しますので、JISで規定された投影方法(三角法など)で完璧に描くことができます。2D CADは“手書き”のため、製図の正確さは製図者のスキルに依存してしまいます。
- 3D CADでは異尺(スケール、詳細図など)の図面を描いても、寸法記入時には部品の実寸法を自動的に記入できます。ほとんどの2D CADでは2/1で異尺の図面を描いた場合に実寸法が10mmでも20mmと記入されてしまいます。そのため異尺対応の処理を行う手間があります。
- 3D CADで部品を設計変更すると図面に描かれている全ての外形図が正確に自動変更できます。したがって図面変更時の作図工数などをゼロにできます。2D CADは“手書き”のため製図者が三角法に基づき図面を編集する必要がありますので、工数の増大や人為的なミスを避けることはできません。
まとめ
現在の3D CADは2次元図面の作成機能が充実しており、3Dモデルをベースにして、より正確で迅速に図面を作成できます。また3Dモデルの変更も自動的に図面に反映するので、作図ミスなどの人的ミスも劇的に削減することができます。