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フラットバー(平鋼)とは?【前編】低コストの理由と使い分け|フラットバーの特長

切削加工の材料に使われる「フラットバー」をご存知ですか?コスト削減が期待でき、人気の材料です。フラットバーの基本情報や仕上がりなどの特長について2回に分けてご紹介します。前編の今回は 、フラットバーで部品製作することによりなぜコスト削減が期待できるのか?について、ブロック材と比較しながら解説します。使い分け例や、規格・見積もりなどについてもご紹介しますので、今後の材料選定にお役立てください。

フラットバー(平鋼)とは?【後編】加工で変わる表面仕上がりと精度|フラットバーの特長はこちら

フラットバーについて

「フラットバー」とはどんな材料なのか、使用することでどのような利点があるのかをご紹介いたします。

フラットバーとは

フラットバー(平鋼)は、切削加工の材料として広く利用される規格材の一種です。平行な両面と均一な板厚が特長で、主にJIS規格に基づいて製造されています。多くの製品では定尺(一定の寸法)で供給され、さまざまな厚みや幅の選択が可能です。形状や寸法が規格化されているため、標準的な切削部品の製作に最適な材料となっており、必要な寸法に合わせて選ぶことができます。

また、フラットバーにはさまざまな材質があり、用途に応じて選択できます。代表的な材質として、コストが安価で強度のあるSS400(炭素鋼)、耐摩耗性と高硬度を持つS45C(中炭素鋼)、耐食性が高く水回りや屋外に適したSUS304(ステンレス鋼)、軽量で加工しやすく耐食性のあるA6063(アルミニウム合金)などがあります。

一般的な形鋼との違いは、フラットバーが板状であるのに対し、形鋼はH鋼やL鋼といった特定の形状を持つ点にあります。また、ブロック材とは異なり、フラットバーは加工が比較的簡単で、反りや歪みが少なく精度が安定しているため、加工工数を削減できることが特長です。

フラットバーは規格材の一つ

フラットバーのような規格材とは、JISや材料メーカーなどで仕上がりや形状を定めた材料です。形状や仕様などの一部を指定して、購入ができます。
フラットバー以外の代表的な規格材の形状として、ブロック材・アングル材・丸棒材等があります。

規格材の形状例_フラットバー・ブロック材・アングル材・丸棒材

フラットバーの使用で、コスト削減が期待できる!

フラットバーは図1のような平板形状の鋼材で、製作したい切削部品に合った規格(板厚と幅、仕上げなど)から選択できます。

図1 平板形状の鋼材

図1 平板形状の鋼材

一般的に、フラットバーの規格に合わせて部品設計をすることで、コストや納期短縮が期待できるため、切削部品の製作の際に精度より、低コストや納期を優先する場合に使用されることが多いです。

低コスト・短納期の理由は、ブロック材から加工する場合と比べて、加工工数を減らすことができるためです。

メビーでは追加工や表面処理を希望することも可能です。

フラットバーから製作した部品

※メビーのフラットバー規格はこちらからご確認ください。
※見積もり方法はこちら。

ブロック材からの加工工数と比較!工数の違いを解説

フラットバーは、ブロック材から部品製作する場合と比べ、低コストで調達が可能です。理由は前述の通り、加工工数を減らすことができるためです。では、どのような加工の違いがあるのか?平板形状に穴が5個ある、下記部品を製作する場合を例に、加工工程に沿って解説します。

例 完成部品形状

例 完成部品形状

A:ブロック材からの代表的な加工工程 B:フラットバーからの代表的な加工工程
材質 :SUS304
標準納期:6日目出荷
材質 :SUS304-D
標準納期:6日目出荷
1.切り出し:元となる材料から必要分を切り出す

希望形状の寸法より少し大きめに切断する

A:ブロック材からの代表的な加工工程_1.切り出し:元となる材料から必要分を切り出す_希望形状の寸法より少し大きめに切断する_切断面数:複数面

切断面数:複数面

希望形状の寸法より少し長めに切断する

A:ブロック材からの代表的な加工工程_1.切り出し:元となる材料から必要分を切り出す_希望形状の寸法より少し長めに切断する _切断面数:2面

切断面数:2面

工数減少!

2.削り出し:寸法を調整する

希望形状の寸法にするため複数面を調整する

2.削り出し:寸法を調整する_希望形状の寸法にするため複数面を調整する_削り出し面数:複数面

削り出し面数:複数面

希望形状の寸法にするため切断した2面を調整する

2.削り出し:寸法を調整する_希望形状の寸法にするため切断した2面を調整する _削り出し面数:2面

削り出し面数:2面

工数減少!

3.その他の加工
希望の形状にするため、面取り・穴加工​を行う
3.その他の加工_希望の形状にするため、面取り、穴加工を行う_完成!!
完成!
上記の通り、フラットバーを利用することで、切り出しや削り出しの工程において、加工工数を減らすことができるため、調達コストを下げられます
こんな時に、フラットバーの利用がお勧めです。

  • 希望部品の寸法が、規格に合う場合や、規格に合わせても支障がない場合
  • 表面の精度を求めない部品を調達する場合

「4F材」「6F材」との比較で、
フラットバーの使い分け例もご紹介します!

フラットバーの使い分け例

フラットバーは「表面の精度を求めない部品」におすすめですが、具体的にはどのような箇所での利用になるのか?すでに利用した方もいるかもしれない「4F材」「6F材」との比較で、使い分け例をご紹介します。

各材料の削り出し工程で行う加工と特性は以下の通りです。

フラットバー 4F材
(ブロック材からの加工)
6F材
(ブロック材からの加工)
削り出し
工程で
行う加工
削り出し工程で行う加工_フラットバー_切断面の2面をフライス加工切断面の
2面をフライス加工
削り出し工程で行う加工_4F材(ブロック材からの加工)_上下面を除く4面をフライス加工上下面を除く
4面をフライス加工
削り出し工程で行う加工_6F材(ブロック材からの加工)上下面を含む6面をフライス加工上下面を含む
6面をフライス加工
納期
精度
例 天板の平面精度が必要な架台を製作する場合

例 天板の平面精度が必要な架台を製作する場合

フラットバー規格対応表

メビーで利用できる材質別のフラットバーの規格は以下の通りです。

  • 材質:SS400-D・S45C-D・SUS304-D・A6063S
  • サイズ:全長(X) 10≦X≦500
  • 出荷日:標準6日目出荷・最短3日目出荷
    (表面処理あり:標準8日目出荷・最短4日目出荷)
  • 加工:面取り、穴形状のみ対応。
    ※ポケット形状はフラットバー以外の材質をご利用ください。

フラットバーXYZ説明用イラスト

※詳しくは、技術マニュアルをご確認ください。
※保存や印刷が可能なPDFのダウンロードはこちらをクリックしてください。

フラットバーの見積もり方法

  1. 3D CADデータをアップロード後、「切削」を選択してください。
  2. 「基本情報」のタブ、「材質」の項目をクリックするとプルダウンが表示されます。
  3. 材質内にある「SS400-D」・「S45C-D」・「SUS304-D」・「A6063S」のいずれかを選択してください。

※プルダウンに表示されない場合は、規格の寸法に対応していないため、「フラットバー規格対応表」をご確認ください。

フラットバーの見積方法

今回の事例で紹介した左記形状の3D CADデータをアップロードして納期の差を確認してみませんか?
>>サンプル3D CADデータのダウンロードはこちら

フラットバー(平鋼)とは?【後編】では、加工によって変わる「表面仕上がり」と「精度」について紹介しています。

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