金属加工 機械設計

機械設計におけるベースプレートとは?ベースプレートの材質、事例を紹介

ベースプレートとは、文字の通りベース(基礎、土台)となるプレート(板)のことです。この記事では機械設計におけるベースプレートについて、材質による特徴や使用事例を紹介します。

ベースプレートとは

ベースプレートとは、機械や構造物を構築する際に、基盤として使用される平らなプレートのことです。また機械加工においては、治工具を置いたり固定したりするテーブルとしても利用されます。ベースプレートはどのような分野においても、基礎になる平らな板であることには変わりません。しかし、使われる分野によって定義や使い方が異なるため、注意が必要です。

機械設計分野におけるベースプレート

機械設計分野におけるベースプレートは、複数の構成要素や部品をまとめて固定するための基礎、重量のある機械の土台です。

複数の構成要素からなる装置の場合、それぞれの要素や部品の位置が変わらないように固定するためにベースプレートが使われます。複数の要素を一つの装置としてまとめ、設置や移動をしやすくしたり、装置としての性能や信頼性を高めたりする役割があります。
たとえば、複数の治具をベースプレートに固定して、複雑な形状のワークを固定できるようにしたり、ワークを押すシリンダーと、ワークを受ける治具の位置関係が変わらないようにしたりします。

機械の重さを適切に支えるためのベースプレートの事例

金型のベースプレートも、考え方はこれと同じです。金型は、スライドやEピンなど複数の機構からなる複雑な装置なので、それらをまとめて固定するためにベースプレートが使用されるのです。

 金型ベースプレートの事例

また、重量のある機械の土台では、機械の重さを適切に支えるためのベースプレートが使用されます。機械の設置面に精度を持たせて、機械が正しく動くようにする役割があります。また振動や騒音を吸収したり、機械や装置の精度向上、長寿命化などにも役立ちます。

建設分野におけるベースプレート

建築分野では、主に建物や構造物の柱や支柱が地面や床に接する場所に設置されます。これらの柱や支柱が地面や床、基礎にしっかりと固定されるように、アンカーボルトを打つことがあります。

建設分野におけるベースプレート。基礎にしっかりと固定されるように、アンカーボルトを打っている。

機械設計におけるベースプレートの重要な点

機械設計におけるベースプレートには、主に次のような点が求められます。

安定性

機械や装置の荷重を適切に支えたり、機械や装置が動作する際に発生する振動を吸収したりするなど、基礎として安定している必要があります。また機械や装置を動かす際にそれらが移動しないように支え、長い間使っていても変形せずに、それらの位置関係が変わらないことも求められます。

材質の選定

ベースプレートの材料は、機械の用途や使用環境よって選定しなければいけません。
まず最初に考慮すべきなのは、ベースプレートにかかる荷重です。大きな荷重がかかる場合には、剛性が高く耐久性のある材料が必要です。さらに温度変化が大きい環境では、温度による膨張や収縮が少ない素材を選ばなければいけません。また水を使用する機械、装置だったり、湿度の高い場所で使用したりする場合には、防錆処理などの追加処理も必要になります。

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寸法精度

ベースプレートには多くの取り付け穴や溝が設けられます。穴にボルトを通したり、溝を使って機械や装置を固定したりするからです。それらの穴や溝の寸法精度は、そのまま機械や装置の精度として反映されます。そのため、ベースプレートの寸法精度はとても大切です。
また、設計変更やメンテナンスのために、機械や装置がベースプレートから取り外されることもあります。再取り付け後にも同じ条件で使用できるよう、ベースプレートの精度が必要なのです。

ベースプレートの種類

ベースプレートに使用される素材には、主に次のようなものが挙げられます。

ステンレス

剛性が高く、耐腐食性も高い素材です。
金型のベースプレートや機械の土台、機械加工時の治具テーブルなど、さまざまな場面で使用ができます。
大きな荷重がかかる場面や、腐食しやすい環境、高温環境で使用されます。

アルミ

ステンレスに比べ、軽くてやわらかい素材です。削りやすく取り扱いやすい一方、傷つきやすく、破損には注意が必要です。
ライン上で複数の治具を固定する治具プレートや小型の測定装置のベース、小型機械の基礎に使用できます。素材の強度がそこまで高くないため、大きな荷重がかかる装置や大型の装置にはあまり向きません。
表面処理を施せば耐食性、耐摩耗性も向上します。

FRP(繊維強化プラスチック)

アルミよりもさらに軽い素材です。FRPの構成によって強度を上げることはできますが、ステンレスほどの剛性はありません。また、高温環境にもそれほど強くありません。軽さが求められ、比較的小さな荷重を受ける用途に適しています。たとえば、既設の建築物の上に太陽光パネルを増設する際の基礎にしたり、小さくて軽い精密機器内部のテーブルに使用したりします。

ベースプレートの事例

続いて、ミスミmeviyで実際に加工した事例を紹介します。

医療器具製造装置内ベースプレート

医療機器を製造しているメーカーが、メビーでベースプレートの加工を行いました。製造ライン内で部品同士を結合させる際に、それぞれの部品を固定する量産治具の基礎として使用するものです。
大きな荷重がかかったり、高温環境におかれたりすることはないため、コストを考えて材料にはA2017を採用。耐久性をもたせるために、表面処理に黒アルマイトを施しました。

お客さま事例:医療器具製造装置内ベースプレート

低衝撃、一定力マニュアルクランプ機構

ノブのついたアームを倒すと、ストッパボルトがワークを静かにクランプする機構です。アームを倒すことでリンクベースを開始、内部のシャフトが押し込まれ、アームがわずかにスイングし、ストッパボルトが動きます。
この装置におけるベースプレートの役割は、ストッパボルトからの反力によりリンクベースが変位しないように支えることです。クランプ時の衝撃を大きくしないためにも、ワーク保持部やリンクベースが移動しないことが必要です。

機械の重さを適切に支えるためのベースプレートの事例

まとめ

ベースプレートとは、機械や構造物を構築する際に、基盤として使用される平らなプレートのことです。建築、建設分野でも使用されますが、機械分野においては、複数の装置や要素をまとめて固定したり、装置の土台に使われたりします。強度や安定性、精度が求められるほか、使用環境に合わせた材料選定が必要です。ベースプレートの材料にはステンレスやアルミが多く用いられ、FRPが使われるケースもあります。