板金加工 金属加工

板ものによく使われるカシメ加工とは。種類や特徴を解説

機械や製品を作る際に、部品同士をつなぎ合わせることを「接合」とよびます。今回は接合加工の中でも、板ものの加工で使われることの多い「カシメ」について、種類や特徴などを解説します。

板ものによく使われるカシメ加工とは。種類や特徴を解説。

カシメとは。曲げ加工と同じ塑性加工による結合加工

カシメとは。曲げ加工と同じ塑性加工による結合加工

曲げ加工のように、金属を変形させる加工をまとめて「塑性加工」といいます。カシメも塑性加工の一種です。「加締め」や「かしめ」とも書かれます。
カシメには主に2つの方法があります。1つめは、結合した部材に開けた穴に筒や軸を差し込み、その端をプレスして筒や軸が抜けないようにする方法です。リベットやハトメとよばれます。少し原理は違いますが、身近なところではホチキスを思い浮かべてもらうといいでしょう。ホチキスでは針を通した後に、針の先端を曲げることで紙を固定します。このように軸の先端を変形させ、部材が抜け落ちないようにする方法です。
もう1つは、結合したい部材そのものを変形させる方法です。重ねた2枚の板金を折り曲げたり、穴に通したツメ部分を折り曲げたりするなどの方法があります。お菓子の袋の口を閉じるために、袋の端を折り曲げるようなイメージです。
カシメ加工は、溶接できない金属の接合に適しています。コストが低く、加工にかかる時間が短いのもメリットです。特に薄い板ものの接合に適しているため、精密板金の分野では多く使われています。
一方でカシメには、ネジなどと異なり、一度接合してしまうと部品を破壊する以外に分解する方法がないというデメリットもあります。メンテナンス性などにも考慮した設計が必要になります。

板もので行われるカシメ加工の種類

板もので行われるカシメ加工の種類

主に板ものに使用される、部材そのものを変形させるカシメには、次のような種類があります。

  • ハゼ折りカシメ
    ハゼ折りは接合する2枚の板の端を少し折り、それをかみ合わせた部分を平らにつぶすように変形させて固定する方法です。見た目が美しく、カシメの強度も高いのが特徴です。家電製品やダクトなどに多く使われます。
  • シーミング接合
    シーミング接合は巻き締めカシメと同じものです。板の折り込み方によって、カシメの強度が変わります。
  • 巻き締めカシメ
    重ねた板の端を共に巻き込むように折り曲げる接合を巻き締めカシメと呼びます。飲料缶や燃料缶など、液体を保管する容器の製造に使われることが多いです。
  • スポットカシメ
    重ねた板金に対し、穴をプレスで半抜きするように、スポット状に変形させて固定する方法です。加工に時間がかからず、どの方向の力に対しても強い接合にできるのが特徴です。
  • コーナーカシメ
    板金のボックスのコーナーなどで、2つの部材を結合する際に多く用いられるカシメです。溶接などを行わずに、角で接合できるのが特徴です。カシメの形状により、強い結合が得られます。

板金以外のカシメ。リベットとハトメ

板金以外のカシメ。リベットとハトメ

カシメには板金以外にも方法があります。リベットやハトメは、橋梁の鉄骨の接合や、船舶、航空機のように大きなものから、鍋や衣類のスナップボタンなどの日用品まで、非常に幅広く使われているカシメ加工法です。
小物や衣類などに用いられる小さなカシメの場合には、ハンドツールで加工することも可能ですが、工場などではリベッターとよばれるカシメ機が使われる場合がほとんどです。カシメ機の原理は、基本的にプレス機と同じです。

まとめ

カシメは複数の部品を結合する方法の一つで、金属の塑性変形を利用した加工方法の一つです。アルミなど、溶接には向かない金属の接合も可能で、短い時間で加工できるのが特徴です。特に板もののカシメは、精密板金などの分野で多く使われています。


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