メビーの上手な使い方

2D図面がなくても加工部品を作る方法──設計者が知っておくべき実務フローと選択肢

「検討スピードを上げたいのに、図面作成で手が止まる」「構想段階でまず試作品だけ欲しいのに、2D図面を一から描く時間がない」──こうした声は、機械設計の現場で年々増えています。

「2D図面を描かずに加工部品を作る方法」としては、「meviy(メビー)」など、3D CADデータから加工部品の見積から製造まで手配できるサービスの活用があります。ただし、すべての場面で2D図面が不要になるわけではなく、検図や量産工程では従来どおり2D図面が必要になるケースも残ります。

本記事では、2D図面がなくても加工部品を発注できる代表的な方法、3Dデータ発注によって設計業務がどう変わるか、そしてメビーを活用した実務フローについて整理します。設計工数を削減し、その分を構想設計に回すことで品質を高めたいと考えている設計者・設計マネージャーの方に向けた内容です。

2D図面が用意できない設計シーンの実態

2D図面を描かずに加工部品を発注したいというニーズは、怠慢や手抜きから生まれているわけではありません。むしろ、設計業務の高度化・短納期化が進む中で、「今この段階で2D図面を描くべきか」という判断が求められるようになっています。

構想設計・検証段階で図面を描く余裕がないケース

新規装置や治具の開発初期フェーズでは、検討スピードそのものが成果物の質を左右します。アイデアを形にし、動作検証を繰り返し、寸法や形状を何度も見直す──この試行錯誤のサイクルを短くできるほど、最終設計の完成度は上がります。

しかし、1案ごとに2D図面を描いて発注していると、その工数がボトルネックになります。構想段階で3案・4案と比較検討したい場面でも、図面作成のコストを考えると1案に絞らざるを得ない、という例は珍しくありません。

検討スピードを優先したい場面

  • 初期構想段階で複数案の成立性を確かめたいとき
  • 動作確認用のダミー部品や治具を手早く用意したいとき
  • 客先からの仕様変更に即応して試作品を作り直したいとき

試作を繰り返す設計フェーズでの現実的な判断

量産前提ではなく、あくまで「試作して検証する」ことが目的の段階では、2D図面の作成・検図に時間をかけるよりも、まず実物で確認したほうが設計者の判断スピードは上がります。実物を手に取れば、寸法の妥当性や干渉リスクなど、CAD画面では見落としがちな点も早期に発見できます。

図面作成スキル・工数がボトルネックになるケース

もうひとつ見逃せないのが、設計者個人のスキル・工数の問題です。

若手設計者、兼務担当者に起きやすい課題

若手設計者にとって、3DモデルからJIS準拠の2D図面を起こす作業は、思っている以上に負担の大きい工程です。寸法線の配置、公差の指示、幾何公差の使い分け、表面粗さの記号──覚えることが多く、ベテランの検図でも指摘が入りやすい領域です。

また、メーカーの生産技術部門や装置エンジニアのように、設計以外の業務と兼務しているケースでは、そもそも2D図面を描くことが主業務ではありません。にもかかわらず、現場の治具が必要になったときや設計変更が生じたときのたびに図面作成の工数が発生している、という企業も多く見られます。

「描けない」より「今は描かない」判断の重要性

重要なのは、「2D図面を描けないから3Dデータ発注に頼る」のではなく、「2D図面を描くべきタイミングと、描かなくても進められるタイミングを切り分ける」という考え方です。後述するように、量産段階や社内検図が必要な工程では2D図面が引き続き有効です。一方で、構想・試作段階では3Dデータだけで発注できる手段を活用すれば、「構想を練る」段階により多くの時間を確保できます。

図面がなくても加工部品を発注できる代表的な方法

2D図面を用意せずに加工部品を発注する方法は、大きく2つに分けられます。3Dデータを使う方法と、3Dデータすらなくても発注できる方法です。

3D CADデータだけで加工部品を注文する方法

すでに3D CADで設計している設計者にとって、もっとも現実的な選択肢が「3Dデータをそのまま送って発注する」方式です。

meviy(メビー)

メビーは3D CADで設計した機械部品のデータをアップロードするだけで即時見積もりと加工、最短1日出荷を可能にした機械部品調達のAIプラットフォーム。図面加工品の調達時間を大幅短縮することで、設計や購買担当の手間を大幅削減。切削、板金、旋盤、金属、樹脂といった加工はもちろん、豊富な材料と表面処理に対応。治具・機械装置、製品開発の設計をサポートします。

最大の特徴は、「見積もり・発注のリードタイムを大幅に圧縮できる」点にあります。従来であれば、図面作成→相見積依頼→回答待ち→発注という流れで数日〜1週間かかっていた工程が、その場で完結します。

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その他の加工会社

メビー以外にも、3Dデータでの見積もり・発注に対応する加工会社は増えてきています。取引先との関係性やコスト優先度によって使い分けることができます。

ただし、加工会社のソフトによっては開けないファイル形式もあり、また多くの加工会社では「3Dデータを受け取ってから、担当者が内容を確認して見積もりを返す」というフローになるため、即時性を重視するか、単価を重視するかで選択が分かれます。

3D CADデータも図面もないときは

「そもそも3Dデータを作る時間もない」「簡単な形状の部品が1点だけ欲しい」という場面も、現場ではよくあります。

寸法入力で注文できるサービス(例:Cナビ)

こうしたケースでは、ブラウザ上で寸法を入力するだけで部品を注文できるサービスがあります。たとえばミスミのCナビでは、軸・プレート・シャフトなどの定型形状について、径・長さ・加工内容を選んでいくだけで注文が完結します。

このタイプのサービスは、標準品に近い形状であれば3Dモデルを起こすよりも速く発注まで進められます。ただし、複雑形状や非定型の部品には対応できないため、「簡単な形状はブラウザ入力」「少し複雑なら3Dデータ発注」という使い分けが現実的です。

3Dデータ発注で設計業務はどう変わるか

3Dデータだけで加工部品を発注できる環境が整うと、設計業務そのものの進め方が変わります。単に「図面を描かなくていい」という話ではなく、設計者が構想段階などより創造的な業務に多くの時間を使えるようになるという点が本質です。

図面作成を「必須作業」から「必要に応じた作業」へ

これまで2D図面は、加工部品を発注するために必ず作成するものでした。今後は、「必要に応じて作成する」工程に位置づけが変わっていきます。

2D図面が不要になる業務/残る業務の切り分け

ここで誤解してほしくないのは、「高精度品は3Dデータ発注では作れない」「2D図面はもう不要」という話ではないということです。実際には、以下のように場面ごとの使い分けが現実的です。

  • 2D図面を描かずに進めやすい場面の例

    構想段階の試作、動作検証用の治具、社内で使う簡易部品

  • 2D図面を併用したほうがよい場面の例

    社内検図ルールがある案件、量産品、厳密な公差管理が必要な部品、外注先の品質保証フローで2D図面が前提になっている案件

各企業には独自の検図フローや品質管理ルールがあります。それらを無視して3D発注に一本化するのではなく、検図など各社で必要なフローに応じて2D図面を併用するという運用が、もっとも現実的です。

設計工数配分の変化

2D図面作成にかかる時間は、部品の複雑さにもよりますが、1点あたり少なくとも30分、検図を含めるとさらに上乗せされます。

この時間を3Dデータ発注で圧縮できれば、削減できた時間をそのまま構想設計に振り向けられます。構想段階で使える時間が増えれば、検討できる案の数が増え、比較検討の精度が上がり、結果として設計品質の底上げにつながります。設計工数の配分を「図面作成」から「構想・検討」にシフトさせること──これが3Dデータ発注がもたらす本質的なメリットです。

製造可否フィードバックを設計に即反映できるメリット

3Dデータ発注のもうひとつの特徴は、「その場で製造可否が判定される」という点です。

形状修正とコスト調整を同時に進められる

メビーのようなサービスでは、3Dデータをアップロードすると、加工できない形状がその場でフィードバックされます。たとえば、「曲げ・穴間距離の限界値を下回っています」「十分な距離を確保するか開口部(逃げ穴)を作ってください」など製造不可理由をメッセージで確認でき、設計者はすぐに形状を修正できます。

従来は「図面を送ってから数日後、加工会社から『これは作れません』という連絡が来る」という手戻りが発生していましたが、その場で判定されれば、設計と製造可否判断を並行して進められます。見積もりも同時に表示されるため、「この形状なら作れるが、この寸法にすると価格が上がる」といった判断を設計者自身が即座に下せるようになります。

試作サイクル短縮の実務的効果

構想→試作→検証→修正というサイクルにおいて、発注〜納品のリードタイムは全体のボトルネックになりがちです。3Dデータ発注で発注工程を最短化できれば、試作サイクル全体が短縮され、検証回数を増やせます。検証回数が増えれば、設計の手戻りリスクは下がり、最終的な製品品質は上がります。

メビーを使った「図面なし加工発注」の実務イメージ

ここからは、実際にメビーで3Dデータ発注を行う場合の流れを、実務目線で整理します。

3Dデータアップロードから価格・出荷日確認までの流れ

メビーでの基本的な発注フローは以下のとおりです。

  1. 3D CADデータをアップロード
  2. 条件を設定して見積確定ボタンをクリック
  3. 1分で見積完了、そのまま注文

この流れで特筆すべきなのは、見積金額・出荷日・製造可否の3点を、設計者が即座に確認できることです。従来のように「購買部門に見積依頼を出して、回答を待つ」というプロセスが発生しないため、設計判断のスピードが大きく変わります。

検図が必要なシーンでの対応

「社内ルールで検図が必須」という現場でも、メビーは運用可能です。

簡易2D図(DXF図面)のダウンロード機能

メビーでは、発注内容をもとにした簡易2D図(DXF図面)をダウンロードできます。この簡易2D図には、以下のような検図に必要な情報が記載されています。

  • 穴の種別(通し穴、タップ穴、座ぐりなど)
  • 寸法公差
  • 幾何公差
  • 表面粗さ
  • 材質
  • 表面処理

検図担当者はこのDXFファイルをもとに検図を行えます。繰り返し行う検図、第三者の検図のために 図面をパッと確認したいというニーズのためにも、簡易2D図面を出力して保管しておくと便利です。

プロジェクト共有機能の活用

また、メビーには、プロジェクトやフォルダを社内外の限定されたユーザーに共有できる機能があります。共有されたユーザーはメビーにログインすることで、ブラウザ上の3Dビューワーで形状を確認できます。

2D図面の紙面では伝わりにくい形状の意図も、3Dビューワー上で回転・拡大して確認できるため、関係者間の認識合わせがむしろ従来より正確になるという副次的なメリットもあります。

まとめ

2D図面がなくても加工部品を発注できる環境は、ここ数年で急速に整いました。3D CADデータをそのままアップロードするメビーのようなサービスが、設計業務の選択肢を広げています。

「2D図面を描くか描かないか」の二択ではなく、「どの工程でどの手段を使うか」を設計者自身が選べる時代になりました。まずは一度、手元の試作案件でメビーに3Dデータをアップロードしてみると、設計業務の進め方が変わる実感が得られるはずです。