インダストリー4.0を皆さんご存知でしょうか。
「もちろん」という人もいれば、「聞いたことはあるけど、よくわからない」という人もいるのでは。
では、”IoT”はどうでしょうか?
前回お話ししたように、この言葉を聞かない日はありません。
”IIoT”はどうでしょう。
どうしても、IT関連の業界は、3文字熟語的な言葉が好きなようで、この3文字熟語アレルギーを持つ方もいるのでは。
IIoT:Industory Internet of Things 産業のインターネット
何だか「モヤッと」してなりませんね。
簡単に言ってしまえば、様々な機器にセンサーが取付けられ、ここから得られたデータが集められ、集められたデータから、様々な人が必要とする多種多様な情報を得ることを示すのだと、私は理解しています。
「産業の」と言う言葉がつくと、更に製造業に対して結びつきが強くなり、生産現場における
- 機械の稼働率測定による生産影響予測
- 生産機械のセンシングによる故障予測
- 生産品の不良個所計測による原因予測
といったように、生産性向上に向けたものになります。
私は、このIoTが、日本では、半導体製造、センサー製造、ソフトウェア開発、ITインフラを持つ大手電機メーカーを主体に進めてきたかのように感じていたので、
「うまいことやるな」
「センサーを作って、それを使うビジネスまでするなんてすごい」
「誰がこの恩恵を受けるのだろう?儲かるのはメーカーだけじゃないのかな」
とさえ思っていましたが、どうやらそうでもなさそうな感じです。
でも、注意しなければならないのは、ちっと前(数年前)には、ビックデータという言葉を聞かない日がなかったと思いますが、最近はあまり聞かないような気がすることです。
「もしかしたら“IoT”という言葉も、この“似の前”になってしまうのでは」
と危惧するのは私だけでしょうか。
インダストリー4.0は、ドイツ主導で進められている産業革命です。IoTの技術を駆使して、生産工程のみならず、市場・サプライチェーンまで繋げる新たな生産の仕組みです。
生産を行う工場内はIoTにより繋げられ、多くのデータが集められます。これらのデータによって、生産は最適化されます。最適化のためのインプットデータは様々です。
- 市場からの要求(数・品質・コスト・納期)
- 生産現場からのデータ(品質・稼働率・人など)
- サプライチェーン(部品入荷状況・物流など)
IoT以前でも、稼働率の測定は行われてきていますが、得られたデータによって、AIによって工場が自動化されていくことではないでしょうか。
そうは言ってもAIは「高嶺の花」で安くはありません。またそのシステム構築には時間を要することでしょう。
完全自動化ではなくても、生産性が“見える”ようになることによって、人が判断するにしても、「生産性はどうみても向上するのでは」ということは予想できます。
一方では、私のような“受注生産型”の産業ではどうなのでしょう。
「関係ないね」と思うのか、
「何か可能性があるかも」と考えるかでは、
その将来に大きな違いがあるように思います。
みなさんは、どう思いますか?
私の考えでは、今のところこんな感じです。
「いずれ近い将来に、ユーザー(装置受注者)から要求はあるだろう」
「装置の付加価値と差別化につながりそうだ」
「これを理解できる、開発できる技術者が社内に必要になるだろう」
「データアナリストも必要だな・・・」
「でも、なんだか誰も(社内では)興味を持っていないように思える」
「できることから始めたい(始めなきゃならないな)」
日本では、日本版インダストリー4.0と言われる「コネクテッドインダストリーズ」がありますが、皆さんご存知でしょうか。
これには5つの重点取組分野があります。
- ・「ものづくり・ロボティクス」
- ・「プラント・インフラ保安」
- ・「スマートライフ」
- ・「バイオ・素材」
- ・「自動走行・モビリティサービス」
この重点取組分野によって、
「様々な業種・企業・人・機械・データなどがつながって、AI等によって新たな付加価値や製品・サービスを創出、生産性を向上、高齢化、人手不足、環境・エネルギー制約などの社会的問題を解決、これらを通じて産業競争力の強化」
(経済産業省 Connected Industries東京イニシアティブ2017 平成29年10月2日 資料より抜粋)
というものです。
さらに分科会によって検討イメージというものが検討されているとのことです。
でも、私としては「モヤッと」しています。
さらには、「Connected Industries」は日本が目指す超スマート社会「Society5.0」(サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合)するものとも言われています。
これもまた、「モヤッと」しています。
私や、このBlogをお読みの皆さんは、「ものづくり・ロボティクス」に関わると思いますが、その分科会の検討イメージは次のようになっています。
日本はこれまでの経験とそれによって蓄積されてきた技術力で、世界的にも先進的な位置にいるのだと私は理解していますが、少し前に見てきた中国の状況(Manufacturing in the Age of Experience/CIIF2018)を見ると、その活気とその取組から、
「振り返ったらどの国もいない。前を見たら“いた”。」
という状況になってしまうのではないかと、とても不安になります。
「それでも大丈夫と思うのは、慢心かもしれませんよ。」
そんな様相を感じた一コマがありました。
それが、中国上海でのCIIF2018でした。
会期:2018年9月19日-23日
会場:国家会展中心(上海)
CIIFとは、中国国際工業博覧会(CHINA INTERNATIONAL INDUSTRY FAIR)の略です。
ここでは、
- CNC工作機械及び金属加工展
- 工業オートメーション展
- 省エネ/環境保護技術と設備展
- 情報通信技術応用展(インダストリアル•インターネット展)
- 新エネルギーと電力/電工展
- 新エネルギー/スマートカー展
- ロボット展
- 科学技術革新展
- 新材料産業展
といった展示会が開催されていました。
私も、日本で開催される製造関連の展示会を見学する機会がありますが、その規模をはるかに上回ると思われる展示会場と出展者、会場を埋め尽くす来場者には圧倒されるものがありました。
日本企業(日系企業)も多く出展していましたが、その一角にものすごい“人だかり”がありました。そこがミスミさんの展示ブースだったのです。のぞいてみると、「inCAD」がインストールされたPCがあり、PCが空くのを待っている多くの来場者の列を見ました。
運よく、PCがあいたので、操作をしてみました。
中国語表示でしたが、SOLIDWORKSもinCADも慣れ親しんでいるので、操作は難しくはありませんでした。
inCADコンポーネンツは、これまでのミスミさんの紙・Web カタログに代わる3DCADシステムのアドオンソフトです。標準部品ベースでの、欲しい形状・寸法といった仕様を入力することで、その3DCADデータのインポートを行うことが可能になり、更には、ミスミさんの注文システム WOS(Web Order System)を経由することで、発注を行うこともできます。これらが、3DCAD上でできてしまうのだから便利なのですが、その来場者から、日本と同じもしくはそれ以上の関心を抱いていることは明らかです。
in CAD Componentsのお問合せはこちら
こんなことからも、「日本の製造業の優位性は安泰ではない」ことを感じました。