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一般公差とは?他の公差との違いや等級、基準寸法の区分を解説

一般公差は普通公差とも呼ばれ、寸法に公差が指定されない場合に使われる公差のことです。図面に記入される寸法には公差を指定しますが、全ての寸法に公差が付いていると非常に読みにくい図面になってしまいます。一般公差を利用することで図面の寸法を読みやすくして、重要寸法を正確に見分けることができるようになります。

一般公差とは

一般公差は、図面上で明示的に公差が指定されていない寸法に適用される標準的な許容範囲です。普通公差とも呼ばれ、設計者が個々の寸法に対して公差を指定する手間を省き、図面の可読性を向上させる重要な役割を果たします。

一般的によく使う切削加工の一般公差は以下のとおりです。

表1 面取りを除く、長さ寸法の普通公差(JIS B 0405-1991~切削加工の場合)

公差等級 基準寸法の区分(mm)
記号 説明 0.5以上

3以下

3を超え
6以下
6を超え

30以下

30を超え
120以下
120を超え

400以下

400を超え
1000以下
1000
を超え
2000以下
2000
を超え4000以下
許容差
f 精級 ±0.05 ±0.05 ±0.1 ±0.15 ±0.2 ±0.3 ±0.5
m 中級 ±0.1 ±0.1 ±0.2 ±0.3 ±0.5 ±0.8 ±1.2 ±2
c 粗級 ±0.2 ±0.3 ±0.5 ±0.8 ±1.2 ±2 ±3 ±4
v 極粗級 ±0.5 ±1 ±1.5 ±2.5 ±4 ±6 ±8

※注:0.5mm未満の基準寸法に対しては、その基準寸法に続けて許容差を個々に指示する。

表2 面取り長さの普通公差( JIS B 0405-1991~切削加工の場合)

公差等級 基準寸法の区分(mm)
記号 説明 0.5以上 3より上 6より上
3以下 6以下
許容差
f 精級 ±0.2 ±0.5 ±1
m 中級
c 粗級 ±0.4 ±1 ±2
v 極粗級

表3 角度寸法の普通公差( JIS B 0405-1991~切削加工の場合)

公差等級 対象とする角度が短い方の辺の長さの区分(mm)
記号 説明 10以下 10より上 50より上 120より上 400より上
50以下 120以下 400以下
許容差
f 精級 ±1° ±30′ ±20′ ±10′ ±5′
m 中級
c 粗級 ±1°30′ ±1° ±30′ ±15′ ±10′
v 極粗級 ±3° ±2° ±1° ±30′ ±20′

等級は製品の要求精度や製造方法に応じて選択されます。また、一般公差は、基準寸法の区分ごとに異なる値が設定されており、寸法の大きさに応じて適切な公差が自動的に適用されます。

図面全体で一貫した精度管理が可能となるため、製造プロセスの効率化と品質向上に効果的です。

一般公差(普通公差)と寸法公差・幾何公差の違い

寸法公差は、精度が特に必要な寸法に許容範囲として100±0.1のように明示的に表記して利用します。公差値は任意に決めることができるので、設計者の意図を加工者に明確に伝えます。

幾何公差は、部品の製造において形状の精度を定義するための規格です。従来の寸法公差が部品の大きさやサイズの範囲を示すのに対し、幾何公差は形状や位置、姿勢、振れといった部品の特性に対する許容範囲を示します。

これに対して、一般公差(普通公差)は、個々の寸法公差および幾何公差の一部(真直度・平面度など)許容範囲を一括して指定することができるので、図面の作図工数を削減でき、図面を見易くすることができます。

JISにおける一般公差

日本産業規格(JIS)では、図面上で個々に公差が指示されていない寸法や角度、形状に対して適用される一般公差が明確に規定されています。代表的なのがJIS B 0405とJIS B 0419で、それぞれ寸法(長さ・角度)と幾何公差の一般値を定めた規格です。

JISによる一般公差基準を利用することで、設計者と製造者の間で共通の物差しができ、図面上にすべての公差値を記入しなくても一定の精度と互換性を確保できます。

JIS B 0405

JIS B 0405では、長さ寸法および角度寸法に対する一般公差が規定されており、要求精度に応じて4つの公差等級が定められています。

  • f(精級):精密機械部品、治具など高精度が求められる用途
  • m(中級):一般的な機械加工部品
  • c(粗級):溶接構造物、一般的な樹脂部品など
  • v(極粗級):大型構造物など、精度要求が低い部品

これら等級ごとの許容差は基準寸法の大きさによって細かく規定されており、寸法が大きくなるほど許容差も大きく設定されます。JIS B 0405は主に除去加工や板金成形による部品を対象としているため、加工法が異なる場合は適用可否や社内標準の確認が必要です。

JIS B 0419

JIS B 0419は形状や位置の精度に関する一般公差、いわゆる幾何公差の一般値を扱う規格です。図面で個別に幾何公差の指示がない幾何特性に対して、「特に指示がなければこの程度の精度は確保する」という許容値を定めています。

代表的な幾何公差は以下です。

  • 真直度:正しい直線に対する誤差範囲
  • 平面度:正しい平面から最も低い位置と最も高い位置の誤差範囲
  • 真円度:正しい円に対するズレの誤差範囲
  • 直角度:基準に対して直角であるべき面や直線の誤差範囲

JIS B 0419では、こうした未指示の幾何特性に対して、H・K・Lの3つの公差等級が定められています。

  • H(精級):精密機械部品、治具など高精度が求められる用途
  • K(中級):一般的な機械加工部品
  • L(粗級):溶接構造物、一般的な樹脂部品など

これらの等級は、形状や姿勢、位置のばらつきに対する許容範囲の厳しさを示すもので、同じ呼び長さ区分で比較した場合、H→K→Lの順に許容値が大きくなります。

一般的な使い分けの目安としては、Hは高い形状精度が求められる部品に、Kは一般的な用途に、Lは精度要求が比較的緩い部品に適用されます。Hは精級、Kは中級、Lは粗級と考えると、JIS B 0405におけるf・m・cの関係と対応づけて理解しやすいでしょう。

JIS B 0419をJIS B 0405(寸法の一般公差)と併用することで、寸法精度だけでなく、形状・姿勢・位置精度についても図面全体で一貫した精度管理が可能になります。

一般公差の等級とは

一般公差を利用する場合には等級が重要になります。JISでは精級、中級、粗級、極粗級の4種類があり、f、m、c、vの記号が割り当てられています。また寸法の種類も長さ寸法、面取り寸法、角度寸法、直角度などのように細分化されています。

一般公差の基準寸法の区分

一般公差の値は等級ごとに決まっていますが寸法の値によって変化します。1±0.1と100±0.1では同じ公差幅ですが、長さ寸法に対する比率で考えると、精度厳しさに100倍の差ができてしまいます。そのため、JISでは基準寸法の区分毎に公差値を設定することで、図面内の寸法精度を一律に管理しています。

 

基準寸法の区分 公差等級
精級 中級 粗級 極粗級
0.5以上3以下 ±0.05 ±0.1 ±0.2
3を超え6以下 ±0.05 ±0.1 ±0.3 ±0.5
6を超え30以下 ±0.1 ±0.2 ±0.5 ±1

 

上記の公差表で確認してみると、基準寸法の長さに応じて公差値が変わっている事が分かります。たとえば18mmの寸法で精級の場合は、図面に寸法公差を記入しなくても自動的に±0.1の公差が指定されたことになります。

一般公差の指定方法

一般公差を図面に適用する場合には、図枠の表題欄に一般公差(普通公差)を等級と共に適用することを記入します。

一般的な等級の使い分け

  • 精級 : 精密機械の金属部品など
  • 中級 :一般的な金属部品など
  • 粗級 :一般的な樹脂成形部品など

*樹脂成形部品に精級を適用すると、成形が困難になり部品コストが上昇する場合がありますので、適切な等級を指定することが大事です。

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まとめ

製造業のグローバル化を進めるためには、寸法公差と幾何公差の世界標準(ISO)に合わせる必要があります。海外のメーカーは忖度してくれませんので設計要件を満たす部品を手配する場合には完璧に寸法公差と幾何公差を理解した上で図面を描くことが重要です。

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