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加工図に欠かせない幾何公差ってどうして必要なのか?

幾何公差を指定する理由はなんでしょうか?また、幾何公差を指定している図面と指定していない図面では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
国内の製造業では重要視されてこなかった幾何公差が、近年になって重要な位置づけになり加工図面には多くの幾何公差が指定されるようになりました。

幾何公差は積極的に使う必要がある

幾何公差を積極的に使う大きな理由の一つに、2016年に改訂された日本工業規格(JIS)の改正があります。この改正では幾何公差の使用が必須とされ、これに伴い、従来の図面とは全く異なる図面を描くことが必要になっています。
この改訂は筆者も驚くほどの改正であり、設計現場では混乱を招いています。またこの改訂を知らない企業も多く存在します。

寸法公差の表現と幾何公差の表現の違い

下図に旧JIS図面と新JIS図面を示します。JIS改正前後の表記の違いを確認してみましょう。

旧JIS図面

  • 旧JIS図面
    多くの設計者は違和感なくこの図面を見る事ができると思います。穴位置をXY寸法と寸法公差で完全に定義してあります。

新JIS図面

  • 新JIS図面
    多くの設計者はこの図面に違和感を感じると思います。従来の図面と比較すると全く異なる寸法表記になっています。しかし現在はこの図面がJIS規格上の正式図面になります。

 

新JIS図面の特徴は、形体同士の位置に関する指示には寸法公差ではなく、幾何公差を使うことです。したがって記号だらけの図面になってしまいます。また穴の直径寸法に“丸マーク”が付いていないことに気付いたと思いますが、これも新JIS図面では正しい表記になります。

幾何公差で部品の形状を規定する

図面では大きさは寸法で表現され、部品形状は線画で表現します。寸法は寸法公差で精度を指示できますが、部品形状の精度は寸法だけでは指示できません。線画で円を描いても真円であると明示されていないで、歪んだ円の部品が納品されても図面と違うと突き返すことができません。
明示されていなくても、日本の部品メーカーは図面の線画を忖度して円が描かれていれば真円と解釈し、垂直線が描かれていれば角度は垂直と解釈したので問題が起きませんでした。しかし海外では事情が異なり図面を忖度してくれないので、幾何公差で部品形状を厳密に規定することが必要になります。

日本の図面がガラパゴス化しないように

日本の図面は海外の設計者には理解されません。海外では幾何公差を利用することが一般的になっていて、日本の様な忖度は通用しないからです。JISの改訂はこのような図面のガラパゴス化を防ぐ意味でも実行されました。設計者としてJISの改訂を調べて実践することをお勧めします。

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