射出成形加工 樹脂加工

金型って何だろう?どういう構造をしているの?

樹脂製品の多くは金属でできた金型の中に、溶かした樹脂を圧力をかけながら流し込む、射出成形という方法で作られています。今回は射出成形に使用する金型について解説していきます。

金型って何だろう?どういう構造をしているの?

金型とは

金型とは

金型は、溶かした樹脂を流し込むための「型」です。射出成形に使われる金型は、よく「たい焼きの型」に例えられます。たい焼きを仕上げるときのように上下の型を合わせ、合わせ面の空洞に材料を充填して、製品の形を作るためです。樹脂加工用の型には、基本的に金属が使われているため「金型」と呼ばれます。金型の材料には、プレハードン鋼のような合金鋼やステンレス鋼が多く使われます。
金型は、材料となる金属の塊をNCなどの工作機械で彫るのが、基本的な作り方です。コスト削減や、形状などの都合により、金型を複数のパーツに分けて作成したり、彫り終わった後の金型に焼き入れなどの熱処理を施すこともあります。

金型の基本的な構造

金型の基本的な構造

金型は基本的に2つで1組になります。2つの金型を閉じ合わせて、そこに樹脂を充填し、金型を開いて、加工された樹脂部品を取り出すためです。完成した部品の表側を形づくる金型をキャビ(キャビティ)、内側を形づくる金型をコアと呼びます。ほとんどの場合、金型は左右に水平に開くようになっており、キャビ側を固定し、コア側が稼働側となって開閉のための往復運動をします。
キャビ側は、部品の表面となることが多いので、見た目がよくなるよう、あまり多くの部品は付きません。その代わり、部品の体裁をよくするためのシボ加工などが施される場合があります。
一方でコア側には、部品を金型からはがす際に使われるEピン(イジェクターピン)などの部品が多くつけられます。
金型の構造や、それに伴う樹脂を流し込む部位(ゲート)の形状によっては、金型が3つのパーツに分かれる、3プレート金型になる場合もあります。

金型に関わる用語

金型に関わる用語

金型にはさまざまな金型部品が使われています。また、射出成形に関わる上で知っておくと便利な言葉も多くあります。代表的なものを下記に紹介します。

  • PL(パーティングライン)
    金型の合わせ面に出る線です。部品のどこに金型の合わせ面をもってくるかを「PL(金型)割り」とよびます。
  • スプール
    樹脂を射出する機構です。
  • ゲート
    金型の中に樹脂を射出する口です。ダイレクトゲートやサイドゲート、サブマリンゲート、ピンゲートなどがあります。
  • ランナー
    スプールからゲートまで、金型の中や金型の合わせ面を樹脂が流れていく通路をランナーといいます。
  • Eピン(イジェクターピン)
    金型を開いた後に、成形された樹脂部品を金型からはがすために、金型(コア)から伸びてくる棒です。
  • 入れ子
    金型の中でも細かい形状になる部分や、摩耗の激しい部分などを別のパーツとして作成し、金型にはめ込む場合があります。このときのはめ込まれる部位を入れ子といいます。
  • スライド
    立壁に開いた穴やオーバーハングなど、通常の金型では作れない形状を作る際に使う機構です。金型の開閉に合わせ、金型に対して横方向にスライドする入れ子です。

まとめ

金型はたい焼きの型のように、左右に開く型を基本に、射出成形に必要なさまざまな機構を備えています。身近にある樹脂製品も、金型の構造を想像しながら観察してみると、さまざまな発見があるはずです。

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