材料

金型に使われる金属材料

樹脂の射出成形に使われる金型は、名前が示すとおり金属で作られています。今回は金型に使われている金属の種類や、使用する樹脂の材料に合わせた金属の選定について紹介します。

金型に使われる金属材料

金型の材料にはプリハードン鋼やサスが多く使われる

金型の材料にはプリハードン鋼やサスが多く使われる

射出成形では、圧力をかけながら樹脂が金型に流し込まれます。そのため金型には、樹脂の圧力や流れ込む速度に耐えられる強度が求められます。

また樹脂製品を製造するために、何度も何度も金型の開閉が行われ、金型の合わせ面には強い力が繰り返しかかります。また、それにともなうEピンやスライドなどの摺動もあります。そのため金型には、耐久性も求められます。

さらに金型には、温度が伝わりやすい性質や、切削などの加工のしやすさなども求められます。

これらの条件を考慮し、金型の材料にはプリハードン鋼(SKD11、SKD61)や、アズロールド鋼(SC、SCM)、サスとよばれるステンレス鋼(SUS420)が多く使われています。

近年では、試作用の仮型には3Dプリンターなどで製作した樹脂の型を使うケースもあります。しかし、射出成形に「金型」が幅広く使われているのは、上記のような条件を全て満たすためには、やはり金属を利用するのが便利だからなのです。

樹脂の材料にあわせて金型の材料が変わる

樹脂の材料によって金型の材料も変わる

射出成形が行われる樹脂にはさまざまな種類があります。樹脂の種類によって流動性や硬化した際の強度が異なります。そのため金型の材料を樹脂の種類によって変える場合があります。

家電製品や電機製品の外装に使われることが多いABSやPP(ポリプロピレン)といった樹脂は、比較的柔軟性があります。そのためABSやPPの金型には、金型用材料としては硬さの低めで切削加工がしやすいアズロールド鋼の使用が推奨されます。

樹脂製の歯車や摺動部品に使われやすいPOMという樹脂は、柔軟性があり滑りがいいのが特徴です。しかし金型を摩耗させやすい性質をもっています。そのためPOMの金型にはアズロールド鋼よりも耐摩耗性の高いプリハードン鋼がおすすめです。

樹脂レンズやDVDディスクに使用されるPC(ポリカーボネート)は透明性が高い樹脂です。しかしこのような製品を作るためには、金型の表面を鏡のように磨き上げなければいけません。そのためPCの金型には磨きやすく、なめらかな表面が得やすいSUSが使われます。

樹脂の種類と金型の材料の組み合わせは、必ずしも推奨されているものを使用する必要はありません。なぜなら金型の耐久性などの性能は、作ろうとする樹脂製品の形状によっても大きく変わりますし、求められる意匠性や精度によっても、適する金型材料と適さない金型材料があるからです。ここで挙げた組み合わせはあくまで代表的な例として考えておいてください。

各社の独自ブランド

各社の独自ブランド

金属材料は一般的に、JISでの呼び方と金属材料を販売している会社各自のブランド名があります。例えば同じような食パンでも、メーカーによってさまざまな名前が付けられているのと似たイメージです。JISで指定されているのは材料としての名前ですが、同じ材料でも丸棒や角材などの製品も存在するため、材料メーカーでは「金型材料」としての名前で取り扱っているのです。

プリハードン鋼のうちJIS規格で析出硬化系に分類されている金属材料は、大同特殊鋼株式会社では「ナック(NAK)材」、日本高周波鋼業株式会社では「KAP」という名称で金型材料として取り扱われています。

ステンレス鋼のうちJIS規格でサス(SUS)に分類されているものは、大同特殊鋼株式会社では「SUS」や「S-STAR」、日本高周波鋼業株式会社では「KAPS」という名称で金型材料として取り扱われています。

まとめ

樹脂加工の主な方法である射出成形では、金属で作られた金型が欠かせません。金型の材料には主にプリハードン鋼や、アズロールド鋼、ステンレス鋼などが使用されています。

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