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コストダウン設計の基本 – 安い部品製品作りは設計から

お客様からより選ばれ、会社の利益を上げるためには、製品の価格はできるだけ安くおさえたいものです。安い材料を探したり、安く加工してくれる業者を探したりするのも大切ですが、ここでは設計でできるコストダウンの基本を紹介します。

安い部品作りは設計から。コストダウン設計の基本

部品形状を設計する際に気をつけること

部品形状を設計する際に気をつけること

できるだけ安い製品を作るためには、広く流通している安い材料を使うのが基本です。しかし部品の形状を決めていく際に、設計者が工夫できることは、まだまだたくさんあります。

たとえば次のようなポイントが挙げられます。

  • 不必要に高すぎる精度を要求しない
    品質の高い製品を作るためには、精度の高い加工が必要な場合もあります。しかし精度の高い加工をするためには、加工の速度を落としたり、追加工が必要になったりするなど、コストアップが避けられません。そのため本当に精度が必要な部分と、そうではない部分でメリハリをつける必要があります。たとえば4本のビスで1枚の板を固定するのであれば、対角の2本だけ精度があれば、決められた位置に板を固定できます。つまり残りの2本のビスには高い精度を求める必要がありません。このように高い精度が不必要な場所を洗い出すのもコストダウンのポイントになります。
  • 部品の数を減らす
    部品の数が増えれば、それぞれの部品を製作するコストや、組み立てにかかる時間が増え、コストアップにつながります。そのため部品の数を減らすのも、コストダウンの基本になります。たとえば従来はネジで留めていた部分を、ツメに変え、押し込めば固定できるようにすれば、必要なネジの本数を減らせます。このような工夫で、部品の数を減らしましょう。

組み立て方を考えるのも大切

組み立て方を考えるのも大切

設計において大切なのは、製品の形状を決定することだけではありません。設計者は、製品や部品の強度、作り方だけでなく、組み立てや検査のことも考えなければいけません。そして組み立てにもコストダウンのアイディアはあります。

組み立ての基本は、下から上に積み上げていく方法です。たとえば机を組み立てるときも、一般的にはまずは脚を組み立て、その上に天板を乗せ、さらにその上にライトや棚などを設置します。もしも天板を先に組み、その下に脚を組もうとすると、天板をひっくり返したり、変な姿勢で天板を支えたりしながら作業しなければいけません。このような不自然な作業は、作業にかかる時間を長くし、不要な手間や不良発生の原因となり、コストアップにつながります。組み立てやすい形状を考えるのも、コストダウンにおいて非常に大切なポイントです。

輸送の方法も考えてみよう

輸送の方法も考えてみよう

設計者がコストを考える際、盲点になりがちなのが輸送に関するコストです。

輸送コストを下げる設計で最も分かりやすい方法は、製品の重量を軽くすることです。とくにたくさんの製品を作り、出荷する場合、製品一つ一つでみると少しの差でも、パレット単位やトラック単位で考えると、非常に大きな差になります。

また同じ理由から、製品の重量を軽くすると輸送に必要な燃料も減りますので、環境負荷低減のメリットもあります。

大量生産でなくても、突起部分はユーザー組み立てにし、小さな箱でも運搬できる設計にするような工夫ができます。大量生産の場合には、輸送用のパレットの上に効率よく積める大きさにすると、より輸送コストを下げられるでしょう。

まとめ

ものづくりにおいてコストダウンは常について回る問題です。材料の選定や加工メーカーの選定などと併せ、設計の段階からコストダウンの意識をもつことが大切です。

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