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機械要素の基本!アクチュエータ、センサーの働き

自動で動く機械には、何らかの動力が使われています。動力の元になるものをまとめてアクチュエータとよびます。アクチュエータにはモータやエンジン、油圧シリンダーなどがあります。また機械を動かす際には、機械そのものや周りの状態を確認するためにセンサーが使われます。今回は、機械設計でも特に動きに関わる機械要素のアクチュエータとセンサーの働きについて解説します。

機械要素の基本!アクチュエータ、センサーの働らき

アクチュエータで最も利用されているモータとは

最も多く使われるアクチュエータ。モータ

モータは、代表的なアクチュエータのひとつです。モータは電気のエネルギーを運動のエネルギーに変える装置で、クレーンや掃除機、電気自動車など、多くの場所で使われています。世界で消費される電力のうち、およそ半分がモータで使われているともいわれています。
モータは、使用する電流によって大きく2種類に分けられます。

  • DCモータ(直流モータ)
    DCモータは、直流電流を電源とするモータです。乾電池で動くおもちゃや、精密機械などで使用されています。電極を切り替えるブラシを使用するものと、ブラシを使用しないものがあります。
  • ACモータ(交流モータ)
    ACモータは、交流電流を電源とするモータです。家庭の電源のような一相の交流電流で動くものと、工場などで使われる三相の交流電流で動くものがあります。

機械設計でモータを選定する場合、モータの回転速度とトルクを考慮する必要があります。トルクとはモータが出せる力です。モータは許容トルク以上の力がかかると、動きが止まってしまったり、正しい動作ができなくなってしまったりします。そのため、ギアやプーリーなどの駆動装置を通してモータにかかる力を計算しなければいけません。メーカーのカタログなどを参照し、目的に合ったモータを選びましょう。

並進運動のアクチュエータ

並進運動のアクチュエータ

モータやエンジンは回転運動を行うアクチュエータでしたが、回転ではなく移動(並進運動)を行うアクチュエータもあります。油圧や空圧で伸び縮みするシリンダーや、電磁アクチュエータ、ピエゾアクチュエータなどがあります。

  • 油圧シリンダー
    シリンダーの内部に油を送り込んだり、抜き出したりしてピストンを動かします。油圧シリンダーは直線運動しかできませんが、非常に大きな力を出せるのが特徴です。建設機械や、ドームの屋根を開閉する機構のような大きなものにも使われます。
  • 電磁アクチュエータ
    コイルの中に鉄心を通し、コイルに電気を流すことで発生する磁界を利用して鉄心を動かすのが、電磁アクチュエータです。基本的な仕組みは電池列車と同じです。コイルに沿った前後運動と、コイルの中での回転運動が可能です。油圧や空圧シリンダーに比べて動作が速く、小刻みな動作ができるのが特徴です。マグネットハンドや制御バルブなどに使用されます。
  • ピエゾアクチュエータ
    電圧をかけると伸び縮みする性質をもった「ピエゾ素子」を利用したアクチュエータです。非常に精密な制御が可能なのが特徴です。インクジェットプリンターのインク吐出量を調整するバルブや、超音波発生装置などに使われます。

このようにアクチュエータにはさまざまな種類があり、アクチュエータを稼働させるために必要な部品や装置もそれぞれ異なります。機械設計を行う際には、それぞれの特徴や作動原理などを考慮し、周囲の部品も含めて適切な設計を行いましょう。

センサー

センサー

センサーは日本語では「感知器」とよばれます。温度や湿度、振動や変位量、圧力や電流量など、機械をとりまくさまざまな条件を「感知」し、数値や信号として出力する装置です。日常生活の中で最も分かりやすいのは、温度計や体温計、GPS、スマートフォンやタブレットのタッチパネルなどでしょうか。
かつてセンサーは、バイメタルによるサーモスタットのような、機械的で単純なものがほとんどでした。しかし近年では、電子化に伴い、小型で高度なセンサーが主流になっています。センサーが感知できる内容も非常に多岐にわたります。さらにAIによる画像診断技術も進み、センサーが判断する条件もより高度になってきました。

センサーは、ネジやボルトのような構造的な機械要素とは異なり、製品のラインナップや能力が速いスピードで変化していく分野です。機械設計でセンサーを利用する際には、まず、目的に合ったセンサーを調査することからスタートしましょう。

まとめ

今回は、機械の動力の元になるアクチュエータと、機械が自身や周囲の状態を感知するセンサーの、それぞれの働きについて紹介しました。どちらも、機械を動かすためには必要なものです。非常に多くの種類がある機械要素ですので、設計時にはメーカーのカタログなどを参照し、目的に合わせて正しく選択するようにしましょう。

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