機械設計における応力集中と、角R(アール)を使った回避方法

機械設計エンジニアなら、設計した部品が割れたり、折れたりする破損問題を経験したことがあると思います。試作段階であればまだいいですが、量産後に発生したらお客様に迷惑がかかり、大きな問題になってしまうこともあります。
破損の問題はちょっとした形状の工夫で避けることができます。この記事では、コーナー部に応力が集中して発生する破損を角Rで避ける方法を紹介します。

機械設計における応力集中と、角R(アール)を使った回避方法

応力集中とは?

応力集中とは?

応力集中とは、部材のある一部分に応力が集中する状態です。応力とは、部材の単位断面積当たりにかかる荷重のことです。また、最大応力と平均応力との比を応力集中係数といいます。
応力集中係数は、部品の形が急に変化している箇所で高くなります。そのため、応力は面が直角に交わるコーナー部分でとても大きくなります。設計をするときには、応力集中しやすい形状を理解しておき、破損しないように注意しましょう。
よくある応力集中しやすい形状の例を紹介します。

  • 棒材
    回転するローラのシャフトなどが棒材の例です。ローラの軸には、止め輪などをつけることがあり、止め輪をはめこむための細い溝を加工します。軸は溝の部分で応力集中しやすく、そこを起点にクラックが発生し、折れてしまうことがあります。
  • 板金、プレス部品
    板金やプレス部品では、直角に板を曲げるときに曲げの内側にRがついていないことが多くみられます。荷重がかかると、曲げの内側に応力が集中して、板金が破損することがあります。また、曲げ角度の精度確保のために、曲げ元にあらかじめクサビといわれる切れ込みをいれる加工方法があります。クサビは応力集中しやすく、荷重をかける使い方では注意が必要です。
  • 樹脂
    樹脂における応力集中は、スナップフィットといわれる形状で発生しやすいです。スナップフィットとは、樹脂を変形させて相手部品をはめ込んで固定する方法です。よく「パッチン」とも言われ、おもちゃのフタなどでもみかける形状です。はめ込んで変形するときに大きな力がかかり、スナップフィットの根本に応力集中します。

Rをつけて応力集中を避ける

Rをつけて応力集中を避ける

応力集中を避けるには、Rをつけることが効果的です。Rをつけると部品の形状変化をなめらかにでき、応力集中が小さくなります。Rの大きさはできるだけ大きいほうが好ましいです。ただし、ほかの部品と組み立てる部品は、Rを大きくしたことで干渉しないように注意が必要です。
前述の例では以下のようにRをつけるといいでしょう。

  • 棒材
    止め輪の溝は、推奨寸法が決まっているので、大きなRを付けることができません。R0.2 程度の小さいRを溝の根本につけましょう。
  • 板金、プレス部品
    板金の曲げ元は、曲げ内Rをつけましょう。ただし、直角度の精度が悪化する場合があるので、注意が必要です。クサビに関しては、加工打ち合わせでクサビをつけないように要求しましょう。図面の注記に記載してもいいです。
  • 樹脂
    樹脂のスナップフィットは根元にRをつけましょう。スナップフィットは、はめ込むために樹脂を変形させる形状です。Rをつけただけで十分かどうか確認するために、強度解析をして応力が十分小さいか確認するといいでしょう。

R以外の破損防止方法

R以外の破損防止方法

応力集中による破損を防止するにはRをつけるのが一番ですが、設計上どうしてもRを付けられない場合があります。そのようなときは以下の方法を検討するといいです。

  • 材質を変える
    棒材でSUM材を使っている場合は、SUS材に材料を変更することで強度を上げることができます。また、樹脂であれば引っ張り強さの高い材質を選びましょう。
  • リブをつける
    強度が弱い部分にリブをつけます。樹脂でよく使う方法ですが、板金でもつけることは可能です。例えば曲げの両側に溶接でリブを追加することができます。またプレス加工であれば、外周の絞りを付けた状態で曲げることも可能です。
  • 大きくする
    棒材なら直径を大きくすれば強度が上がります。また、板金なら板の厚みを厚くすることができます。樹脂の場合も同じように肉厚を上げましょう。射出成型の場合、平均肉厚をあげることで強度があがり、さらにその分リブを減らせます。強度を上げて、重量を下げることができて、コストを安くすることも可能な場合があります。いくつかのパターンを作って強度解析をして比較するといいでしょう。

まとめ

機械設計エンジニアは、壊れにくいものを設計しなければなりません。どの程度力がかかるのかを把握し、応力集中しないような形状にしましょう。角Rをつけることで応力集中を回避することが効果的ですが、Rがつけられない場合にも対策方法はあります。最近の強度解析ソフトはとても使いやすいため、設計者は3Dモデルを作成したあとに強度解析をしましょう。

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