部品や機械の強度とは、外部からかかる力にどこまで耐えられるかを数値で表したものであり、その力は引っ張り、圧縮、せん断の3種類に分類されます。設計では応力や剛性を計算しながら各部の形状・寸法を決定し、想定外の負荷にも耐えられるよう安全率を考慮する必要があります。使用条件や材料特性を踏まえ、コストと信頼性のバランスがとれた強度設計を行うことが大切です。

目次
強度設計に必要な力の種類
強度とは機械や部品にかかる力に対し、どれくらいまで耐えられるかを示すものです。
しかし機械や部品には、使われ方によってさまざまな力がかかります。使用中に壊れない、十分な強度をもった設計をするためには、それらの力の種類を知り、それぞれに対して耐えられるように考えなければいけません。
機械や部品のパーツにかかる力は、次の3つに分かれています。
- 引っ張り力
- 圧縮力
- せん断力

引張り力はエレベーターを吊り下げるワイヤーや、プレス機でテープルとパンチをつないでいる軸などにかかります。
圧縮力は歯車の歯の表面や、構造物の柱にかかる力です。
引張り力と圧縮力はイメージしやすいですが、せん断力は言葉からイメージがわかないかもしれません。
せん断とは、反対方向にすれ違うようにかかる力です。たとえばテーブルの端から突き出すように置いた定規の、突き出している部分を下に押し下げようとした場合、定規はテーブルからは押し上げる力を、テーブルの外からは押し下げる力を受けることになります。このようなケースがせん断です。2つのパーツをつなげるボルトや、構造物の梁(はり)などにかかる力です。
機械や部品を設計する際には、各部位にどの力がかかっているかを考え、それぞれに対して耐えられる形状にしなければいけません。設計された機械や部品を試作や量産する前に行われるデザインレビューでも、各部にかかる力の種類と大きさ、安全率などは重点的な話題になります。
応力、剛性とは

強度を考える上で重要なのが「応力」です。強度の計算をする際には、外部からかかる力から、各部の応力を求めます。
応力とは部材の内部、1㎟あたりにかかる力です。例えば構造物の柱が荷重に耐えられなかった場合、柱を太くすれば壊れなくなるケースは想像しやすいと思います。これは柱の断面積が増えたことで1㎟あたりにかかる力が減少するためです。
したがって機械や部品を設計する際には、各部の応力が、それぞれの材料の許容応力(耐えることができる応力)以下になるように形状や寸法を決定します。
強度と似た言葉に「剛性」があります。剛性とは「変形しにくさ」を表す性質です。たとえばワイヤーロープは、ものを釣り下げたりするための強度はありますが、プーリーの間を通したり、ドラムに巻き取るなど、かんたんに変形させることができます。つまり剛性はあまり高くありません。
一方で陶器などは力をかけても、ほとんど変形しません。しかしワイヤーロープなどに比べると比較的弱く、壊れやすい素材です。つまり剛性は高いですが、強度はあまり高くない素材です。
安全率とは

機械や部品を設計する際「ちょうどギリギリで耐えられる」設計は、危険です。たとえば使用中に横から押されるなど、想定外のちょっとした要因で壊れてしまうからです。そこで安全率を考えます。
安全率とは、許容できる力の何倍まで耐えられるかを示した数値です。たとえば最大荷重100kgで運用する台の場合、安全率3で考えると、300kgまで耐えられる設計にします。
安全率の目安は、機械や部品の使われ方や材質により、JISなどによって定められています。たとえば天井クレーンのワイヤーロープは3.35~5、くりかえしの激しい荷重に耐えなければならない機械の安全率は12が目安になっています。
丈夫な機械や部品がいいからと安全率を上げすぎてしまうと、コストが上がってしまいます。目安を参考に、適切な安全率での設計が必要です。
まとめ
機械や部品の設計では、かかる力の種類(引っ張り・圧縮・せん断)を正しく見極め、それぞれに耐えうる形状を検討することが強度設計の基本となります。応力を許容値以内に抑えつつ、剛性や安全率も併せて考慮することで、壊れにくく信頼性の高い設計が実現します。過剰な安全率はコスト増につながるため、用途や材質に応じた適正な設計を心がけましょう。
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