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超高分子量ポリエチレンとは?特徴や用途を解説

超高分子量ポリエチレンは、エンジニアリングプラスチックに分類されています。工業的に非常に優れた性質をもち、ロープや歯車など、高い耐久性が求められる用途にも使用されています。ここでは超高分子量ポリエチレンの特徴や用途について解説します。

超高分子量ポリエチレンとは?特徴や用途、アクリルとの違いを解説

超高分子量ポリエチレンとは?

超高分子量ポリエチレン(Ultra High Molecular Weight Polyethylene)とは、ポリエチレンの中でも特に分子量が100万〜700万以上のものを指します。エンジニアリングプラスチックの一種であり、中でも特に優れた性質を持つスーパーエンジニアリングプラスチックに分類されています。

高い耐衝撃性や耐摩耗性、耐薬品性を持っているため、ローラーやレール、歯車といった高い耐久性が求められる工業部品や食品加工機械、医療分野など幅広い用途で使用されています。

帯電防止や高潤滑性、難燃性など、用途に合わせたさまざまな特性を持つグレードが存在します。そのため、実際の使用にあたっては、メーカーと綿密に相談し、最適なグレードを選定することが重要です。

超高分子量ポリエチレンの加工事例

超高分子量ポリエチレンはその優れた特性から、さまざまな分野で活用されています。なかでも、食品産業機械や搬送装置の摺動部品としての利用は、耐摩耗性と自己潤滑性が高く評価されている事例です。医療分野では、義肢の関節部など、生体適合性と耐久性が求められる箇所にも使用されています。

メビーでは、超高分子量ポリエチレン(スタンダード・白、導電性・黒)の切削加工に対応しており、お客さまのニーズに合わせた部品を短納期で提供しています。メビーを活用することで金属加工部品と樹脂加工部品の一括手配が可能となり、部品調達にかかる手間と時間を効率化できます。

写真
サービス名 切削角物
材質 超高分子量ポリエチレン(スタンダード・白)
サイズ W75×D75×H20
出荷日 6日目~
参考価格 8,322円

※表中は2025年3月時点の情報

3Dモデルをアップロードするだけで簡単に見積もり・発注が可能です。また、他の樹脂材料(PEEK、ふっ素樹脂、紙ベークライト、ABSなど)も取り扱っており用途に合わせた最適な材料を選択できます。

超高分子量ポリエチレンの特徴

超高分子量ポリエチレンには様々なメリットとデメリットがあります。用途に合った選定ができるよう、特徴を整理しておきましょう。

超高分子量ポリエチレンのメリット

耐衝撃性が高い

耐衝撃性の高さは最も特徴的なメリットのひとつです。高い分子量を持ち、分子構造が鎖のように複雑に絡み合っているためです。耐衝撃性はプラスチックのなかで最高で、ポリカーボネートよりも高くなります。しかし透明ではないためポリカーボネートのような透過性が求められる部位には使用できません。

耐摩耗性が高く潤滑性に優れる

耐摩耗性が高く、自己潤滑性を持つのも特徴です。摺動によって自己が傷つかないだけでなく、相手部品を傷から守ります。POMをはじめとしたナイロン系の樹脂よりも耐摩耗性が高いため、ガイドレールなどにも多く使用されています。

耐薬品性が高い

高い分子量を持つため、化学的な反応を起こしにくく、耐薬品性が高いのもメリットです。そのため食品加工機など、水や塩、酸などがかかりやすい部位にも使用できます。

吸水性が低い

吸水性が低いのが特徴で、湿度による寸法変化が起こりにくいです。そのため、歯車やレールなど、高い寸法精度が求められる部位にも使用されています。

超高分子量ポリエチレンのデメリット

温度による寸法変化が大きい

エンジニアリングプラスチックの中でも最大の線膨張係数をもちます。そのため温度による寸法の変化が多く、加工に伴う熱の影響により、加工後の寸法が変化してしまうケースも多くみられます。他部品との組み付け時や保管などにおいても、周辺の温度管理が重要になります。

接着加工に向かない

自己潤滑性が高いため、接着が難しいのがデメリットです。そのため接着加工には向きません。他の部品と組み合わせる際には、他の方法で組み付けられるよう、あらかじめ設計を工夫する必要があります。

超高分子量ポリエチレンのおもな用途

超高分子量ポリエチレンは、優れた性質を生かし、工業用途だけでなく医療分野などにおいても広く利用されています。いくつかの用途を紹介します。

  • チェーンコンベア
  • 歯車
  • ガイドレール
  • ローラー
  • ライナー
  • 食品機械
  • 船舶用ロープ
  • 義肢

チェーンコンベアや歯車、ガイドレールなど、高い耐摩耗性と自己潤滑性を活かした用途が多いです。また同様の理由から義肢の関節部などにも使用されます。

まとめ

超高分子量ポリエチレンは、エンジニアリングプラスチックの中でも特に優れた性質をもつスーパーエンジニアリングプラスチックの一種です。多くのグレードがあり、それぞれのグレードによって導電性を持ったり帯電防止に使えたりするなど、さまざまな特徴をもちます。耐摩耗性と潤滑性が高いのが特徴で、耐衝撃性や耐薬品性も高いのがメリットです。一方で温度による寸法変化が大きく、接着加工に向かないのがデメリットです。チェーンコンベアや歯車、ガイドレールなどの工業用途のほか、義肢などの医療分野にも使われています。

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