3D CAD推進プロジェクト連載記事

3DCAD推進者 土橋美博の連載コラム【#06】
プロジェクトって何?

前回、3DCADの推進活動で大切なことは、「人任せにしない」いう話をしました。
3DCADは単なる道具ではく、インフラ」であるということ、インフラとは「会社にとって、なくてはならない、あって当たり前のもの」というお話しもしました。
3DCADを設計の仕組み、会社の仕組みに組み込むためには、どうしたらいいのでしょう。

 

 

【1】3CAD推進はだれがするの?

 

 

推進活動は情報システム部門が行うのではなく、設計部門が行うべきです。そしてその推進リーダーは設計者がなるべきでしょう。
現状の設計、あるべき姿を理解しているのは、他のどの部門の人でもなく、設計者自身です。誰よりも設計者自身です。ここでいう設計とは、詳細設計を行う作業だけではなく、設計データの管理も含まれています。

 

設計環境は、会社の事業形態によって異なります。

  • ひとつの事業部門で、主力製品が限られている企業
  • 複数の事業部門があり、事業部門ごとに取り扱う製品がことなる企業

 

ひとつの事業所といっても、その主力製品ごとの設計手法は異なるかもしれません。また、複数の事業部門となれば、その事業部ごとの設計手法も異なることが想像できます。

 

いずれにしても、このような設計環境に3DCADを導入しようと考えた時、その設計の良いも悪いも理解しているのは設計者自身のはずです。その上で、設計者自身が、その悪いもの部分を抽出すべきです。

 

この抽出したものこそ問題であり、3DCADによりこの問題を解決していく部分が課題になるわけです。部門間の問題を抽出しようとした時、設計者自身だけでは見えない問題もあるはずです。
(「そんな問題はない」と考えるのは、きっと設計者だけかもしれませんが)

 

耳をふさぎたくなるような話もあるかもしれませんが、設計の現状を知る上では、他の部門からも意見を聞き、そこからも問題を抽出することにしましょう。
もちろん、システムに詳しい情報システム部門に協力してもらうことができるのであれば、それは良いことだと思います。改めてお話しすることになりますが、情報システム部門はプロジェクト推進に詳しく、また、いずれ必要となるシステムの知識を持っているからです。

 

【2】3DCAD推進者は孤立する?

 

3DCAD推進となると、私の実感では、なぜか推進者が孤立しがちです。しかも、“抵抗勢力との戦い”多く取り上げられます。
孤立しがちということも、抵抗勢力が登場。存在することも事実です。

 

私自身も孤立したり、抵抗勢力と言われる人と論争した経験があります。抵抗勢力との論争で言えば、感情的なもので、論理的なものでなかったりもします。肯定していた人が、抵抗勢力に化すこともありました。また否定も肯定もしないような無関心層が存在することもあったりしました。

 

会社の中で推進活動を行って行く以上、様々な人との関わりがあって当然です。今となって感じることは、「他の人を巻き込んでいくことも必要だな」ということです。

特にこの3DCADの場合は、会社のインフラに成り得るものなので、他部門を巻き込んでいくべきでしょう。
・・・と今の自分にも言い聞かせています・・・(私の切実な悩み)
(「プロジェクトと人」についてもいずれこのブログでお話ししましょう)

 

初めは、推進活動は設計部門が行うべきとお話ししていた内容が、お話しを進める中で、設計部門以外にも参加を求めるようなものになってきました。
これこそ、3DCADが設計部門だけの道具という位置づけだけではなく、会社のインフラとして成立していくべきものだからなんです。

 

こうなってくると、単なる設計の導入や改善活動ではなく、会社のプロジェクトになってきます。

 

「3DCAD導入プロジェクトを皆さんと一緒に進めてみましょう!!」と言っても、「プロジェクトって何?」
「業務改善のような作業と何が違うの」という人もいるかもしれません。

 

私の経験をお話しすると、今まさに大きく2つのプロジェクトに取り組んでいます。

  • 3DCAD推進
  • 平成29年度補正予算「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」
    (通称もの補助)

 

またこれまでこのようなプロジェクトの経験もしてプロジェクト化しました。

  • 3DCAD Viewer導入
  • PDM(Product Data Management System)導入
  • 生産管理導入

 

【3】プロジェクトって何?

 

そもそもプロジェクトとは何でしょう。プロジェクトには次のような3大要素があります。

1.目的

そもそもこのプロジェクトは「何のために行っているのか」を決めます。例えば、3DCADを導入すること自体は本当の目的になるのでしょうか。
現状の設計問題を3DCADによって解決するということを目的とすべきだとお話ししていますね。

 

私も3DCADを立ち上げることを今目指していますが、このプロジェクトの真の目的は、3DCADによるデジタルエンジニアリングを推進することになります。
3DCADそのものを使えるようになることが、目的ではありません。
デジタルエンジニアリングにより、技術継承や、新たなる事業への展開ということが目的になっています。

 

2.期間 

いつまでにプロジェクトを行うのかということです。プロジェクトは「期限の限られた活動」です。無期限のプロジェクトはありません。
この期限に、実質的に不可能な期間を設定、すなわち、とても短い期間を設定したとしても、その期間には全く意味がありません。一方ではスピードも必要です。適切な期間の活動が必要です。

 

3.資源


プロジェクトを推進する上で必要となる「人・モノ・金」のことを示します。人はプロジェクトに参画できる人材、モノはプロジェクトを行う上で必要となる設備、金はその工数と、必要な設備がなければ購入しなければならない導入費用も含めます。
コンサルティングを採用する場合、その費用も含まなければなりません。企業での活動である以上は、この資源は必ず必要です。

 

プロジェクトとしてこの3つの要素は揃わなければなりません。次の図に示すように、この3つの要素のバランスも必要です。

 

私自身も、ずっと設計畑で来ましたので、プロジェクトというものを勉強する機会はほとんどありませんでした。しかし、ITパスポート※1や段取り力検定(PWA検定)※2の勉強をする中で、プロジェクトやマネジメントに関する内容もあったので少しずつ知識を増やしていきました。

 

※1 ITパスポート試験:情報処理技術者試験の一試験区分であり、「情報処理の促進に関する法律」に基づく国家試験
※2 平成21年度第9回試験(平成22年3月31日施行)をもって終了

 

設計について学ぶことに終わりはありませんが、何かしらのプロジェクトを推進していく上では、このようなプロジェクトやマネジメントに関して学んでいくことも必要だと私は考えます。

 

設計に必要とされる工学的な知識とは異なり、ちょっと頭を使うところも違う感じがありますが、「きっと役にたちますよ。」
社内に情報システム部門があれば、このプロジェクトの進め方のついて、情報システム部門の人達に教えてもらうことをお勧めします。

 

一人で悩むよりも、誰かを巻き込みましょう。
「さあ、3DCAD推進プロジェクトを立ち上げてみませんか?」

 

次回に続く・・・

 

この記事の著者

3DCAD推進者
土橋美博

1964年生まれ。
25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。

2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う株式会社飯沼ゲージ製作所に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。過去には、生産管理システム構築とPDMとの連携構築を行うプロジェクトマネージャーも経験。

ダイエットをしなければと切実に感じている、車好きな男です!!

【現在の推進活動】
●3D CAD運用(SOLIDWORKS / iCAD-SX)
●CAE運用(構造解析・熱流体解析)
●PDM運用(3D CADデータ管理)

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