6月14日から17日まで、モンゴル国(MONGOLIA)を訪問してきました。
皆さん、モンゴル国というと、どんな印象でしょうか。
私は訪問するまで、
- 歴史で学んだ「蒙古襲来」と「チンギス・カン」
- モンゴル相撲と日本の大相撲で多くの力士が活躍している
- ロシアと中国に接する東アジアの内陸国
- 大草原と放牧民、放牧民はゲルという住居に移動しながら住んでいる
という印象しかありませんでした。
どちらかと言えば、
「モンゴルに訪問するのは、大丈夫かな~(治安は?食事は?)」
という心配さえありました。
会社に今回の訪問を伝えた際も、「予防接種は大丈夫?」と言われて、焦ったくらいです。
訪問後、これらの不安は“見事に”裏切られることになります。
さて、「なぜ私がモンゴル国を訪問することになったのでしょうか。」
皆さんも疑問ですよね?
今回の訪問の一番の目的は、「3DCADに関する講演」でした。
この講演は、現在、モンゴル国でINSPIRE GLOBAL EXTENSION LLC社(モンゴル国ウランバートル市)と共に、開発設計環境の技術系人材の開拓と教育を進めている株式会社プラーナー(長野県諏訪郡下諏訪町)のお招きによって実現しました。
モンゴル国の首都ウランバートル(モンゴル語: Улаанбаатар)にあるモンゴル科学技術大学(モンゴル語: Шинжлэх Ухаан Технологийн Их Сургууль、英語: Mongolian University of Science and Technology)本部で、
- 日本国内外のものづくり技術動向
- 3DCAD を中心としたデジタルエンジニアリング
- 日本で活躍できる技術者とは
について、大学で学ぶ学生、教授、3DCADに関心がある人たちに対して、その最新の情報の話をすることで、知識を伝えてほしいという目的による講演依頼です。
INSPIRE GLOBAL EXTENSION LLC社は、日本企業で働きたいというモンゴル人を受け入れ、日本語教育を行っています。
株式会社プラーナーは、設計者(技術者)教育を中心に行う企業で、私も3DCADの導入からそのお付き合いが始まり、今では20年来の関係です。
その2社がジョイントしたことによって、この講演が実現しています。
「なぜ日本企業で働きたいのでしょうか」
これはまた後ほど・・・
訪問を前に、講演案内のパンフレットがモンゴル国立科学技術大学の3DCADに関わりのある学部・学科、学生就職支援センターに配布されました。
今回の訪問を機会に、私自身、あまり知らなかったモンゴル国について、調べてみました。
モンゴル国は、
- 日本の面積の約4倍
- 人口は約1/40
- 社会主義国家から1990年に民主国家になった
現在の経済状況では、金融・保険業の成長が見られるようですが、主要産業は、畜産業と鉱業です。
国土の約80%は牧草地で、放牧が行われています。
日本人から見たモンゴルというと、この大草原のイメージが大きいことでしょう。
訪問前に現地よりお話を聞く中では、製造業といっても、羊毛によるカシミア生産が盛んであり、他の製造業は多くはないという話を聞きました。
日本との関係で言えば、安倍首相がモンゴルに2013年訪問し、ここから外交が強化されている印象があります。親日国であり、世論調査では「日本に親しみを感じている」人が7割を超えているという調査結果もあるようです。
皆さんもそんな状況をご存知ですか?
今回の講演を行ったモンゴル科学技術大学は、科学技術系の国立大学です。
事前に「具体的にどんな話を聞きたいか」という希望を聞いてみました。
その結果ですが、
- 欧米諸国主体の3DCAD関連の話より、隣国の中国で見た新たな製造業の在り方、日本の状況を知りたい
- 「デジタルエンジニアリング」の話が最も興味深い
というものでした。
その上で、聴講する一部の学生が履修している科目やその成績資料も送られてきました。
資料を見る限りとても優秀な学生たちで、そのような学生がこのような講演に関心を示すことについて、その理由はその時点では不明でした。
そんな「モヤっと」する中、モンゴル国へ出発しました。
6月14日(金)
14:40 モンゴルMIAT航空(Mongolian Airlines)直行便にて
成田空港出発
19:15 ウランバートル市 チンギスハーン国際空港(モンゴル語: Чингис хаан олон улсын нисэх онгоцны буудал 英語: Chinggis Khaan International Airport)到着
(現在、新チンギスハーン国際空港が別の場所で建設工事中です)
機内は満席でしたが、フライト時間も短く(直行便)、想像していたよりも快適なフライトでした。空港到着後、ラウンジで軽めの夕食をとりながら、明日以降の予定を確認です。
休憩後、ウランバートル市内のKempinski Khan Palace ホテル(5つ星ホテル)に向かいます。
週末だからでしょうか、空港からウランバートル市内へ向かう道路は大渋滞でした。
びっくりしたことは、その道を走る車のほとんどがプリウスなんです。
(乗車していた車もプリウスでした)
その理由は定かではありませんが、モンゴル国でプリウスは大人気なのですね。
ホテル到着後は、明日の講演資料の最終チェックを行います。
「さて明日の講演はどうなるのでしょうか。」
6月15日(土)
講演会場には、私はこれまで日本では見たことがないような大型のディスプレイが設置されていました。
会場には多くの学生と教授、教育者、日本から同行した方々が来場され、やはり、その関心の高さを感じました。そして、緊張の中、講演は始まります。
講演時間は、2時間です。
講演では、日本語をモンゴル語に通訳してもらいながら講演を進めていきますが、技術専門用語を使うことも多いので、うまくモンゴル語に翻訳できない部分があります。そのような部分は英語で話す方が、モンゴル人の聴講者は語学力に長けてい理解することができます。そこで、私が日本語と英語を織り交ぜながら講演することにしました。
日本語と英語で行うプレゼンというのも貴重な体験だと実感です。
その講演内容ですが、
- 日本の就業人口や中小企業の求人倍率から見る日本の高齢化と採用が難しい中小企業の現状とモンゴル国の優位性
- 日本国内外での3DCAD関連最新技術動向の解説と事例紹介
- デジタルエンジニアリングソリューションの工学的解説
というように多岐にわたるものです。その中では、CAEのシステムを利用するにあたり「工学的な知識が必要」という一つの例として、聴講された教授・学生問わず、材料力学の計算もしてもらうという場面もありました。
講演終了後はQ&Aの時間をとりましたが、これも1時間を超えるものとなりました。
現地で、直接「熱意」に触れることで、その関心の高さを感じざるを得ませんが、
「なぜ、製造業が盛んとはいえないモンゴル国で、製造業に強く関連するこのような講演内容に対して関心が高いのか」
この時点では私自身理解はできていませんでしたが、この後、明らかになっていきます。
(次回に続く)