2D CADと3D CADで、設計のし易さに違いはあるのでしょうか。ドラフターによる手書き2次元図面から2D CADへの移行は100%近く実現できていますが、2D CADから3D CADへの移行はなかなか進まないのが現実です。大きな理由として挙げられるのは、2D CADは作図ツールであり、3D CADは設計ツールという大きな違いがあるからです。
筆者の場合、構想設計は2次元で考えてから3D CADで部品を具現化しますので、2次元、3次元のどちらかだけで設計はできません。
目次
設計者は2次元で考えるか3次元で考えるか?
特に複雑な機構の設計では頭の中で3次元的な構想を行うことはとても困難です。
一般的な製品を見てみると、機構の大半は2次元的になっていますし、機構学の教科書でも主要なリンク機構(4節、6節など)は2次元で解説されます。
2D CADの利点と欠点
利点
- 基本的に自由に構想図などを描くことができますので、構想設計時の走り描きなどができます。
- 3D CADの様に形状の制約などがないので、設計者の思考を止めません。
- 3面図でレイアウトを同時に3方向から確認できます。
- 寸法や幾何公差を追加することで、正確に加工指示ができます。
欠点
- 角法で3面図を描いたり、読み取るためには図面スキルが必要で、設計者毎にスキルがバラつくために設計ミスが多くなり、設計の手戻りコストが多くなります。
- 簡単に図面をコピーして流用設計できるので、設計者の思考を止めてしまう。
- 2D CADに設計検証機能がない為に、試作品を作成しないと設計検証ができません。
3D CADの利点と欠点
利点
- モデルの形状が3次元で作成されるので、図面読み取りスキルがなくても形状を認識できます。
- 3次元モデルに設計意図(ノウハウや、標準ルールなど)を埋め込む事で流用設計時に設計者の思考を助けます。
- 試作品の作成前に設計検証作業の大部分ができるので、設計の手戻りコストが削減できます。
欠点
- アセンブリで簡易形状(設計初期形状)を使った構想設計が難しくなります。
- 3次元部品、アセンブリを作成する際に制約があります。(参照関係や合致関係など)
- レイアウトを確認する際に、3次元モデルを回転しないと各方向から見れません。(3D CADのビューポート機能で対応可能)
- 3次元空間に寸法や幾何公差が記載された3次元単独図での加工指示が見難くなります。
3D CADで設計し易くするために
2D CADと3D CADそれぞれに設計をし易くしたり難しくする要素があります。2D CADと3D CADの利点と欠点は相反するため、3D CADへの完全移行を難しくしています。現在では、3D CADは設計者からの要求を多く取り入れており、2D CADの利点を3D CAD上で使える様になっています。
しかし一般の3D CAD操作トレーニングでは説明されていないので、設計に特化した3次元構想設計手法トレーニングを受ける事で、2次元、3次元の良いとこ取りをした設計が可能になります。
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