ボール盤は一般的な工作機械で、ほとんどの製造業の工場にあるものです。構造も単純でドリルで穴をあけるだけの機械ですが、それだけに、巧く加工するにはコツがあります。
目次
加工のコツ1:けがきと、ポンチの使い方
- けがき
手作業でボール盤作業を行う際には穴位置を確定する必要があり、ワークに十字状(X,Y方向)に穴の中心をけがきます。精度良くけがき作業を行う場合には定盤にワークを固定してトースカンや、ハイトゲージを利用します。他に精度は落ちますが、けがき針とスケール(ものさし)を利用する場合があります。 - ポンチ
けがき作業で十字を描いて穴中心を指示してドリル加工しようとすると、ドリルの先端と十字の交点はズレてしまいます。ドリルは回転してため狙った位置から逃げる特性があることが原因です。この逃げを防止するためにポンチで十字の交点に凹みをつけることで逃げを防止できます。しかしポンチを打つのにもコツが必要です。十字のけがき線は微小な溝になっていますのでこの溝をガイドにしてにポンチ先端を滑らせ交点を狙います。このとき後から描いたけがき線を使うのがコツです。
加工のコツ2:大きな穴は段階的にあける
ポンチを使っても径の大きなドリルの中心位置決めはうまくできません。径の大きなドリルの先端にはチゼルエッジと呼ばれるフラット部分があり、ポンチ穴より大きいため位置決めができないことが原因です。その場合は最初に径の小さいドリルで浅く下穴をあけることで、径の大きなドリル先端が入り込み正確に位置決めができます。
加工のコツ3:負傷率をさげる
筆者の経験ではボール盤の作業中に負傷することが多いと感じます。ドリルが貫通する時にワークがドリルによって激しく回転させられ、抑えていた手を傷つけます。
回避策①
捨て板をワークの下に敷いて加工を行うとドリル貫通時の噛み込みを防止できます。
回避策②
できればクランプなどでワークを固定しておきます。しかしポンチ穴との位置合わせを行った後に締め上げる必要があります。
回避策③
ドリルの回転数を適切に管理する。工具メーカーのカタログにはドリル径、ワークの材質に応じた適切な回転数と送り速度が記載されていますので、参考にしながら加工を行う事でワークの回転を防止でき、加工精度も向上します。
回避策④
切削油を利用することで、切削加工時の抵抗を軽減してワークに伝わる回転力を低減できます。
まとめ
工作機械の使うノウハウは先輩作業者から伝授されるものですが、実践を伴って覚える必要があります。実際に加工してみて失敗しながらノウハウを自分のものにしていきましょう。