位置偏差の輪郭度は
「基準に対する自由曲線や自由曲面の位置!」と覚える
グローバル図面を正しく理解するために欠かせないのが、幾何公差の意味と図面のルールです。このシリーズでは、設計や製造において重要な幾何公差の考え方を、基本から応用まで順を追って解説しています。
今回の第18回では、位置偏差に属する「線の輪郭度」と「面の輪郭度」に焦点を当てます。
輪郭度は、形状の精度を保証するために不可欠な要素であり、図面上での記号や意味を正しく理解することが、品質確保や国際標準への対応に直結します。
この記事では、輪郭度の意味と記号の使い方をわかりやすく整理し、実務で役立つポイントを解説します。
meviy 2D|PDF図面アップロードで簡単操作
かんたん見積もりはこちらから >
目次
1.位置偏差とは
今回は、位置偏差というグループに含まれる「線の輪郭度」と「面の輪郭度」です。
位置偏差は関連形体に分類され、データムに関連して幾何偏差が決められる形体になります。
位置偏差には次の5つの幾何特性があります。
・同軸度/同心度
・対称度
・位置度
・線の輪郭度…位置偏差の場合、データムに関連する ←今回解説する幾何特性
・面の輪郭度…位置偏差の場合、データムに関連する ←今回解説する幾何特性
2.位置偏差に属する線の輪郭度と面の輪郭度とは
位置偏差に属する線の輪郭度と面の輪郭度は「データム直線またはデータム平面に対して理論的に正確な寸法によって定められた、幾何学的に正しい輪郭からの線または面の輪郭の狂いの大きさである」と定義されます。
位置偏差に属する線の輪郭度と面の輪郭度はデータムを必要とします。
3.位置偏差に属する線の輪郭度と面の輪郭度の記号と記入のルール
位置偏差に属する線の輪郭度と面の輪郭度を図面に表現する場合、公差記入枠に線の輪郭度あるいは面の輪郭度の記号と幾何公差値、必要に応じてその他の記号、データム記号を記入します。公差記入枠は3つ以上の区画のものを使います(図18-1)。

図18-1 位置偏差に属する線の輪郭度と面の輪郭度の記入例
位置偏差に属する線の輪郭度の対象となる形体は、曲線(直線も含む)や円環線(真円や楕円も含む)など自由曲線全般です。広義の意味では直線も含めることができます。
従って、その自由曲線形体を包み込む2線間が公差領域となります。
位置偏差に属する面の輪郭度の対象となる形体は、曲面(平面も含む)や円環面(円筒や楕円筒も含む)など自由曲面全般です。広義の意味では平面も含めることができます。
従って、その自由曲面形体を包み込む2面間が公差領域となります(図18-2)。

a) 位置偏差に属する線の輪郭度の関係例

b) 位置偏差に属する面の輪郭度の関係例
図18-2 位置偏差に属する線の輪郭度と面の輪郭度の公差領域のパターン例
4.位置偏差に属する線の輪郭度と面の輪郭度を適用する形状
位置偏差に属する線の輪郭度と面の輪郭度を適用する形状は、自由曲線あるいは自由曲面、複合形体(複数の線あるいは面を組み合わせてセットにした線あるいは面形体)の外側形状や内側形状に指示します(表18-1)。
表18-1 位置偏差に属する線の輪郭度と面の輪郭度を適用する形状例
| 適用する形状例 | データム | 対象形体 | 補助記号 | ||
| 線の
輪郭度
|
曲面 | ![]() |
要 | 母線
(断続形体) |
–
(CZ) |
| 楕円線 | ![]() |
||||
| エッジ | ![]() |
||||
| 彫刻線 | ![]() |
||||
| 複合形体の線 | ![]() |
複合母線*
(限定) (全周) |
(A→B) (○) |
||
| 面の
輪郭度
|
曲面 | ![]() |
要 | 表面
(断続形体) |
–
(CZ) |
| 楕円面 | ![]() |
||||
| 複合形体の面 | ![]() |
複合表面*
(限定) (全周) |
(A→B)
(○) |
||
*複合形状の場合は全周記号(○)、または限定領域を示す記号(A→B)を併用する
5.位置偏差に属する面の輪郭度の図面と公差領域
位置偏差に属する面の輪郭度を指示する場合の設計意図と図面指示例、公差領域を解説します。
複合形状の穴と軸に面の輪郭度を指示する場合
設計意図
部品①の下面と両サイドを台座に沿わせてセットする。
部品②も下面と両サイドを台座に沿わせながら、部品②の十字軸を部品①の十字穴に挿入したい(図18-3)。

図18-3 複合形体である穴と軸を台座に接しながら挿入したいという設計意図
図面指示(部品①)
部品②と接する面をデータムA、台座に接する面をデータムB(下面)とデータムC(中心平面)として指示します。
データムBからの穴中心の位置寸法「25」を指示します。
十字穴に理論的に正確な寸法を指示します。
十字穴の表面に全周記号を用いて面の輪郭度を指示します(図18-4)。

図18-4 面の輪郭度を十字穴に指示した例
公差領域(部品①)
検査対象となる十字穴はデータムA面と直角、かつデータムBから理論的に正確な寸法の位置とデータムCの中心平面位置に中心線をもつ±0.05mm(幅で0.1mm)離れた複合形状の領域で規制されます(図18-5)。

a) 公差領域全体イメージ

b) 公差領域詳細
図面指示(部品②)
部品①と接する面をデータムA、台座に接する面をデータムB(下面)とデータムC(中心平面)として指示します。
データムBからの穴中心の位置寸法「25」を指示します。
十字穴に理論的に正確な寸法を指示します。ここで、部品①の十字穴の形状と干渉しないよう、基準寸法を29.8と9.8にしています。
十字穴の表面に全周記号を用いて面の輪郭度を指示します(図18-6)。

図18-6 面の輪郭度を十字軸に指示した例
公差領域(部品②)
検査対象となる十字軸の面はデータムA面と直角、かつデータムBから理論的に正確な寸法の位置とデータムCの中心平面位置に中心線をもつ±0.05mm(幅で0.1mm)離れた複合形状の領域で規制されます(図18-7)。

a) 公差領域全体イメージ

b) 公差領域詳細
図18-7 面の輪郭度を十字軸に指示した時の公差領域
6.面の輪郭度の検査方法
輪郭度測定機による測定
データムを参照する必要があるため、線の輪郭度はCNC3次元測定機のラインレーザーを用いた非接触によって、面の輪郭度はCNC3次元測定機の接触式によって測定することができます(図18-8)。

図18-8 CNC3次元測定機(ラインレーザー)
まとめ
今回は、位置偏差に属する線の輪郭度と面の輪郭度を指示する際のルールについて解説しました。
位置偏差に属する線の輪郭度と面の輪郭度はデータム面を定盤の上に置いて検査することが一般的です。そのため、CNC3次元測定機で測定することができます。
これで3番目のグループである位置偏差の5つの特性の解説を終了します。
次回は、回転体の振れ幅を制御する振れ偏差のグループに移動し、最初は円周振れについて解説します。
meviy 2D|PDF図面アップロードで簡単操作
かんたん見積もりはこちらから >












