CAD ものづくり基礎知識 機械設計

3D CADによる板金部品のネスティング方法

板金部品は、展開形状を素材からレーザーカットなどで切り抜き、曲げ線で折り曲げて製造されます。通常の機械加工部品と異なる設計のノウハウが必要になります。板金部品の形態と、3D CADによるネスティング方法について説明します。

板金部品の2つの形態

通常板金部品は曲げ加工により機械部品として利用されますが、展開形状に対して曲げを追加していきますので、その製造過程では展開形状と製品形状の2つの形態があります。

展開形状の板金部品
  • 展開形状
    製品形状を作成する素材として、左図の様な展開形状が必要になります。展開寸法は曲げ加工による塑性変形を考慮して計算する必要があり、加工屋のノウハウとしてベンドテーブルなどが利用されます。
製品形状の板金部品
  • 製品形状
    設計部門ではこの製品形状で設計や図面手配を行いますが、板金部品の形状が展開可能であることを検討するために展開形状も考慮する必要があります。3D CADを利用すれば、製品形状と展開形状を切り替えながら部品設計を行うことができます。

ネスティング

10個の板金部品が取れるレイアウト

ネスティングとは、規定サイズの板金素材からより多くの板金部品の展開形状を切り取れるように、レイアウトを検討することです。板金部品の形状次第で、多くの個数を取れたり取れなかったりします。
3D CADにネスティング機能はありませんが、アセンブリの機能を利用することでネスティング検討が可能になります。
板金部品の展開形状をアセンブリ内で配列すると、規定サイズの板金素材から取れる個数が分かります。この場合は10個の板金部品が取れます。

設計変更とネスティング

気の利いた設計者は板金部品の設計変更を検討する前に、製造部門からネスティング図を入手します。板金部品の形状変更によってはネスティングで取れる部品の個数が少なくなり、部品コストの上昇に直結するからです。

設計変更で曲げを追加した場合 左図のように設計変更で曲げを追加することを考えます。設計的には簡単な変更と考えられますが、ネスティングには多大な影響が出てしまいます。
アセンブリ機能を活用した場合 3D CADのアセンブリ機能を活用してネスティングのレイアウトを作成しておくことで、部品の設計変更が即座に反映されます。この場合は曲げを追加したことで、規定サイズの板金素材から10個の部品が取れなくなったことが確認できます。設計者は自分の設計変更案の影響を確認できますので、他の設計変更方法を検討することができます。
切曲げに使った設計変更案 ネスティングに影響しないことが判る 
上図の様に切曲げに使った設計変更案にすれば、ネスティングには一切影響しないことが判ります。

まとめ

3D CADの板金機能を活用することで展開形状も含めた板金部品の設計を行うことができます。またアセンブリ機能を利用することでネスティングの検討も同時に行うことができますので、コスト意識を持った設計が可能です。

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