機械設計 機構設計

はめあいとは?公差との関係

はめあいとは、棒を穴にはめ込むときに適用される、特別な公差のことです。
機械加工で5mmの棒を削り出そうとしても、ぴったり5mmになることはありません。加工には誤差があり、許容できる誤差の範囲を公差といいます。今回は棒(軸)と穴に関する公差、はめあいについて紹介します。

はめあいとは?公差との関係

はめあい公差とは

穴の公差、はめあいとは

穴と軸には、通常の公差と異なる「はめあい公差」が用いられます。機械や装置では、穴に棒(軸)をはめ込む組み合わせが非常によく使われます。たとえば金属板をネジやボルトで固定するのも、穴と軸の組み合わせです。穴にベアリングをはめ込んだり、軸をベアリングに差し込むのも穴と軸の組み合わせになります。穴と軸の公差の関係は非常に繊細です。容易に抜き差しできるような余裕のある関係であったり、一度はめ込んだらかんたんには外れない関係など、求められる機能によってさまざまな関係が求められます。そしてその機能によって、求められる公差が変化します。

はめあいの種類

はめあいの3つの分類

はめあいには「すきまばめ」、「しまりばめ」、「中間ばめ」の3つの種類があります。各はめあいの特徴を説明します。

  • すきまばめ
    軸と穴の間にすき間がある関係を「すきまばめ」といいます。鉄板にポルトを通すときのように、かんたんに外せるようにする場合や、ピストンなどのように軸が穴の中をスライドする場合にはすきまばめが用いられます。
  • しまりばめ
    穴の径よりも軸の径の方がほんの少し大きい関係を「しまりばめ」といいます。軸の径と穴の径の差を「しめしろ」といい、しめしろの分、軸を縮めたり、穴を広げたりして押し込むイメージです。穴のある部品を加熱して膨張により穴を広げ、そこに軸を押し込む「焼きばめ」などのように、かなり強い機械的な力を使わなければ、はめることができません。そのためしまりばめの場合、基本的に「圧入」が必要になります。また一度はめたものは、基本的に分解できません。軸受ブッシュや継手のような、駆動部まわりの動かない場所などに使われます。
  • 中間ばめ
    すきまばめとしまりばめの中間にあたるはめあいです。ガタつきのない精密な関係になります。組み立てるときにはハンドプレスなどを用いて押し込み、分解するときには木づちなどで強く叩きながら部品を外すイメージになります。歯車と歯車を支える軸などに使われる関係です。

これらの種類の中にも比較的ゆるいはめあいと、きついはめあいがあり、加工の必要に応じて使い分けられています。

はめあいの表記方法

はめあいの表記は、穴基準でみる方法と軸基準でみる方法があります。まずはおおまかに、はめあいの種類を決定し、それに応じて基準にする方の公差域記号と等級を定めます。その後、目的とするはめあいの具合によって相手側の公差域記号と等級を決定します。
公差域はアルファベットで表され、穴を基準にみる場合には大文字を、軸を基準にみる場合には小文字を使用します。常用される範囲ではC(c)からX(x)の公差域があり、アルファベットの順番が若いほど、ゆるいはめあいになります。
おおまかではありますが、H(h)が基準の寸法となります。
アルファベットの後ろに記される等級の数字は、常用される範囲では5~9があります。
一般的な中間ばめの場合、H7の穴に対してh6の軸、またはH8の穴に対してH7の軸を組み合わせます。しまりばめを求める場合にはH7の穴に対し、p6の軸を対応させます。
図面の表記では、中間ばめの場合、穴にはφ10H7、軸にはφ10h6のように表記します。
たとえば穴をH7とすると、穴の径が10mmであれば、求められる公差は0~+0.18になります。同じくH7でも、穴の径が400mmであれば、求められる公差は0~+0.63になります。このようにはめあいによる公差は、穴や軸の径、公差域記号と等級によって決まります。JISによって定められた一覧表がありますので、公差領域と等級、穴や軸の径から、該当する公差を調べることができます。

まとめ

はめあいの公差領域や等級は幅広く用意されていますが、加工コストなどを考慮した場合、頻繁に使われる領域は限られています。よく使う領域を覚えておき、はめあいの種類によって使い分けるようにするのが、効率のいい設計への第一歩になります。

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