材料の加工方法のひとつに表面処理があります。切削加工や射出成形などと異なり、材料の形そのものを変えるわけではありませんが、とても大切な役割をもった加工です。今回は表面処理について、種類や方法などもあわせて紹介します。
目次
表面処理とは
表面処理は、材料表面への加工により特性を向上させる技術です。「付加加工」では新たな層を形成して耐食性、耐摩耗性、装飾性などを付与し、「除去加工」では表面を物理的・化学的に処理して平滑化や洗浄を行います。近年では、環境負荷低減や省エネルギーに配慮した新しい処理方法も開発され、持続可能なものづくりに貢献しています。
自動車ボディの塗装・めっきによる耐食性向上や、航空機エンジン部品の耐熱コーティングなど、表面処理は製品の性能向上に不可欠です。また、定期的な再処理によって製品寿命を延ばすことも可能です。これにより、材料交換の頻度を減らしコストを抑えながら、製品の信頼性と安全性を高めることができます。
表面処理の種類
代表的な表面処理の種類と方法を説明します。
付加加工
塗装
材料の表面に塗料を塗る加工です。塗料による被膜で材料を覆うことで、材料の腐食(錆)を防ぎます。また塗料にはさまざまな色があるため、見た目(加飾性)を向上させることもできます。金属材料にも、樹脂材料にも加工可能で、例えば家電製品につけるメーカーロゴのような印刷も塗装の一種として扱われます。自動車のボディや屋外の看板、家電製品の筐体など、さまざまな場所で使われています。
塗装の方法はさまざまで、スプレーで塗装を吹き付ける方法や、塗料を溶かした電解溶液を用いた電着塗装などがあります。
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めっき
材料の表面に薄い金属の膜をつける方法です。従来は金属のみに行うものでしたが、技術の開発により樹脂にもめっきを行えるようになりました。錆や腐食を防ぎ、見た目をよくするために行われます。金めっきに代表されるように、単価が高く見た目の美しい金属を表面だけに使用する方法としても広く知られています。一方でグレーチングやネジなど、一見するとただの鉄のように見える製品の多くには、実は亜鉛めっきなどが施されています。めっきの方法には、溶けた金属の中に材料を漬け込む溶融めっきや、材料の表面にイオン金属を析出させる化学めっき、電気めっきなどがあります。
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アルマイト
アルマイトは、アルミニウムの表面に人工的に酸化皮膜を生成させる方法です。柔らかく傷つきやすいアルミニウムの表面を硬化させ、耐食性、耐摩耗性を向上させるとともに、美しい光沢や着色も可能にします。また、電気を通しにくくなるため、電子部品の絶縁処理にも用いられます。アルマイト処理は、電解液中でアルミニウムを陽極として電気分解することで、表面に酸化アルミニウムの皮膜を形成させます。皮膜に染料を浸透させ、さまざまな色に着色することも可能です。
アルマイトに関する記事はこちら
除去加工
研磨
材料の表面を磨く方法です。ブラシや砥石などで表面を薄く削る方法だけでなく、薬品で表面を少しだけ溶かす化学研磨や、電解溶液の中で表面を電気分解させる電気研磨などがあります。材料表面に付着した酸化物などの不純物、異物を除去したり、表面の微細な凹凸を少なくしたりするのが目的です。材料の表面をなめらかな状態にし、見た目がよくなったり、他部品との滑りがよくなったりします。金属部品でも鏡のようになめらかな部品などを作る際に行われています。
清浄
材料の表面に他の物質をぶつける方法です。水や洗剤などで洗う洗浄も清浄の一種です。研磨剤などと一緒に撹拌するバレル加工や、金属や砥石の粒を吹き付けるブラスト加工、ホーニング加工などがあります。材料表面の異物や、酸化物などの不純物を除去する目的で行われます。加工後のバリの除去としてバレルやブラスト加工が行われるケースも少なくありません。また切削などの機械加工を施された部品は、クーラントや潤滑油などが付着していることも多いため、洗浄が行われるケースも多く見られます。また金属部品でも、表面が「梨地」と呼ばれる細かな凹凸形状になっているものの中には、ブラスト加工が行われているものもあります。
メビーの表面処理の加工事例
メビーでは豊富な表面処理を選択できます。標準出荷日から+数日の加算で出荷可能です。ぜひお試しください。
・板金部品の表面処理はこちら
・板金溶接の表面処理はこちら
・切削角物の表面処理はこちら
・切削丸物の表面処理はこちら
まとめ
身の回りにある、一見何ということもない金属製品の多くは、実は何らかの表面加工が施されていることがほとんどです。身の回りの部品や製品を見て、どのような表面加工が施されているかを探ってみると、表面処理への理解が一層深まるでしょう。
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