除去加工の種類や工作機械についてわかりやすく解説!加工事例もご紹介。

「除去加工」は金属の代表的な加工方法の一つです。除去加工によって加工された金属は電機製品や調理器具、航空機、その他工業用途などさまざまな分野で幅広く使われています。
今回は「除去加工」について紹介します。

除去加工の種類や工作機械についてわかりやすく解説!加工事例もご紹介。

除去加工とは?

除去加工は、金属材料の不要な部分を除去して目的の形に加工する方法です。刃物や砥石(といし)を使って金属を削ったり、電気エネルギーによる熱で金属を溶かしたりして加工します。加工方法のなかでは、比較的精度が高いことや、複雑な形状の加工ができるのが特徴です。
金属の加工方法には他にも、「塑性(そせい)加工」や「鋳造(ちゅうぞう)」などがあります。塑性加工は金属に大きな力を加えて目的の形に変形させる方法であり、鋳造は溶かした金属を鋳型に流し込んで冷やし固める方法です。これらは、除去加工と対比して「非除去加工」とよばれます。
除去加工は木片を少しずつ削って彫刻をつくるイメージ、非除去加工は粘土をこねて人形をつくるイメージです。木材などは除去加工しかできませんが、金属には除去加工と非除去加工の両方が行えるのです。
金属の除去加工には切削加工や研削加工など下表のようなさまざまな方法があり、それぞれ異なる機械や工具が使用されます。

除去加工の種類 機械名 使用工具
切削加工 フライス加工 フライス盤
マシニングセンタ
フライス
エンドミル
旋削加工 旋盤 バイト
穴あけ加工 ボール盤 ドリル
リーマ
研削加工 平面研削 平面研削盤 砥石
円筒研削 円筒研削盤
内面研削 内面研削盤
砥粒研磨(研磨加工) ホーニング加工 ホーニング盤 砥石
超仕上げ 超仕上げ盤
ラップ加工 ラップ盤
放電加工 型彫り放電加工 形彫り放電加工機 電極マスター
細穴放電加工 細穴放電加工機
ワイヤ放電加工 ワイヤ放電加工機 ワイヤ

これら除去加工方法は、金属の一部を「除去する」点は同じですが、「どんな手段で削るか(削るための工具やエネルギーは何か)」「何のために削るか」といった点に違いがあります。これらの違いに着目しながら、各方法をくわしくみてみましょう。

切削加工

切削加工

切削加工は刃物を使って金属を削る方法であり、削り方や使用する工具などに応じてフライス加工、旋削加工、穴あけ加工などに分類されます。
フライス加工は、固定した金属に回転する刃物をあてて金属を削る方法です。刃物としては、多くの刃を持つ円筒状または円盤状の工具(フライス)や、外周と底面に刃がある細長い工具(エンドミル)が使用されます。
旋削加工は、回転する金属に固定した刃物をあてて加工する方法です。固定するもの(刃物)と回転させるもの(金属)が、切削加工の場合とは逆になります。旋削加工では、長方形の端にチップとよばれる小さな刃が付いた刃物(バイト)を使用します。
穴あけ加工は、固定した金属に回転する刃物をあてて金属に穴をあける方法です。先端に刃を持ったドリルなどを使用して金属を削ります。ドリルで穴をあけた後、リーマとよばれる工具を使って穴の精度を高める場合もあります。

切削加工についての詳細

研削加工

研削加工

研削加工は、刃物ではなく砥石を使って金属を削る方法です。回転する砥石を金属に押し当て、金属の表面を少しずつ削ります。どのような面を削るかに応じて、平面研削、円筒研削、内面研削などの種類があります。
研削加工では、刃物を使う切削加工と比べて加工時間は長くなりますが、より精度の高い加工ができます。加工が難しい超硬合金などの加工も可能です。

砥粒研磨(研磨加工)

砥粒研磨(研磨加工)

砥粒研磨(研磨加工)は、研削加工と同じく砥石を使って金属を削る方法です。しかし、砥粒加工と研削加工は目的が違います。研削加工は「削って形を変える」ための加工方法ですが、砥粒研磨は「表面を磨いて整える」ことが目的です。砥粒研磨は、すでに加工した金属部品をより精密に仕上げるための方法だといえるでしょう。
砥粒研磨には、ホーンとよばれる工具を回転させて金属の内面を研磨するホーニング加工や、回転する金属に砥石を押しつける超仕上げ、ラップとよばれる台上に金属を置いて研磨するラップ加工などがあります。

放電加工

放電加工

放電加工は、電気エネルギーによる熱で金属を溶かして加工する方法です。加工したい金属をあらかじめ加工液とよばれる液体に入れておき、電源とつないだ電極を金属に近づけておきます。電源を入れると電極と金属との間にアーク放電が起こり、電極付近の金属が溶かされます。電極の形を変えることで、金属をさまざまな形に加工することが可能です。
放電加工には、型が彫られた電極を使って金属に型の形状を転写する型彫り放電加工や、棒状の電極を使って金属に穴をあける細穴放電加工、ワイヤ状の細い電極を使って金属を切断するワイヤ放電加工などがあります。

除去加工に使用される工作機械の種類

上述のように、除去加工にはさまざまな種類があり、加工に使う機械もそれぞれ異なります。各方法で使用される機械を以下にまとめました。

切削加工

  • フライス盤
    回転する主軸に刃物(フライスやエンドミル)を取り付けて、固定した金属材料を削るための機械です。刃物は手動で交換する必要があります。垂直面や水平面などの面の加工の他、穴やポケット形状、溝などを削ることができます。
  • マシニングセンタ
    フライス加工をはじめ、穴あけやねじ立てといったさまざまな加工を連続で行える機械です。フライス盤とは異なり刃物を手動で交換する必要はなく、24時間無人で稼働できます。
  • 旋盤
    回転している円柱状の金属に、固定した刃物(バイト)をあてて削る機械です。被加工物が回転するので、基本的に円周上の加工になります。円柱の側面に同心円状の溝を掘ったり、ねじを切ったりできますが、円柱の長手方向の溝を切ることはできません。
  • ボール盤
    主軸に取り付けたドリルやリーマを回転させながら上下に動かし、固定した金属に穴をあける機械です。基本的に穴のみを加工する機械ですので、開けた穴の側面の加工以外の面加工はできません。

研削加工

  • 平面研削盤、円筒研削盤、内面研削盤
    研削盤は、回転する砥石に金属を押し当てて金属を少しずつ削る機械です。金属の平面を削る機械を平面研削盤、円筒状金属の外周を削る機械を円筒研削盤、円筒状金属の内面を削る機械を内面研削盤とよびます。機械によって研削できる形状は異なりますが、複雑な曲面の研削はできません。

砥粒研磨(研磨加工)

  • ホーニング盤
    ホーニング加工を行う機械です。大量の研削油をかけながらホーンを上下に往復させて、金属の内面を研磨します。シリンダーの内径など、筒の内側を研磨したい場合に使用します。
  • 超仕上げ盤
    金属を低速で回転させながらその表面を砥石で研磨するための機械です。砥石に振動を与えながら砥石を金属に押しつけて、金属表面を磨きます。非常に高い精度での磨きが可能ですが、面のみの加工になります。
  • ラップ盤
    ラップ加工で使用する機械です。砥粒を含むラップ剤をかけた金属をラップ(水平な台)で上下から挟み、金属とラップをこすり合わせて加工します。

放電加工

  • 形掘り放電加工機、細穴放電加工機、ワイヤ放電加工機
    放電加工機は、放電加工を行う機械です。電極と金属との間にアーク放電を発生させて金属を溶かします。放電加工機には、形掘り放電加工を行う形掘り放電加工機、細穴放電加工を行う細穴放電加工機、ワイヤ放電加工を行うワイヤ放電加工機があります。形堀り放電加工は型の形状に加工できるので、やや複雑な三次元形状でも加工が可能です。一方でワイヤ放電は糸のこのような要領で金属をカットしますので、三次元的な形状をカットすることはできません。

除去加工の加工事例

除去加工では、どのような金属製品(部品)をつくることができるのでしょうか。一例をご紹介します。

  • 切削加工
    これはマシニングセンタを用いてつくられた精密機器部品です。複数の穴や段差を持つ、複雑な形状をしています。
    歯車や航空機エンジンのタービンなど、多くのものが切削加工によって作られています。
    切削加工
  • 研削加工
    金属に平面研削加工をすると、加工された面はまるで鏡のようにピカピカになります。
    油圧シリンダーのシャフトなど、ピカピカと輝く金属部品に研削加工が行われている場合があります。

  • 放電加工
    放電加工では穴加工や外形加工、溝を入れるなどの加工ができます。
    放電加工は樹脂の射出成形用の金型に使う入れ子や、館に花や動物の顔を浮かび上がらせるエンボス加工用の金型など、複雑で精度の高い機械部品の加工などに使用されています。

まとめ

除去加工は代表的な金属加工法で、さまざまな金属部品(製品)の製造に使われています。大きく分けて切削加工、研削加工、研磨加工、放電加工の4種類に分けられ、それぞれの加工に適した機械や工具を用いて加工します。除去加工を行う場合は、各加工法の特徴を正確に理解したうえで最適な方法を選択しましょう。

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