ものづくり基礎知識 金属・樹脂の材料

黒皮材と磨き材(ミガキ材)の違い・用途・種類・特徴を紹介

鋼鉄材料に対してよく使われる、黒皮材や磨き材(ミガキ材)という言葉は一体何を意味するのでしょうか?ここでは黒皮材とミガキ材の違いや特徴について解説します。

黒皮材と磨き材(ミガキ材)の違い・用途・種類・特徴を紹介

圧延鋼材は熱間圧延鋼材(黒皮材)と冷間圧延鋼材(ミガキ材)に分けられる。

黒皮材やミガキ材は、圧延加工された鋼材の種類を表す言葉です。熱間圧延された鋼材が黒皮材とよばれ、冷間圧延された鋼材はミガキ材とよばれます。

圧延鋼材とは、鋼材を圧延した材料

工業的に使用される鉄系材料のうち、合金鋼ではなく、かつ含まれる炭素量がおよそ0.02%~2.14%のものを鋼鉄とよびます。この鋼鉄でつくられた材料が鋼材とよばれ、鋼材のなかには機械の材料や構造物の材料として非常によく使われるSC材やSS材などが含まれています。
鋼鉄の定義や種類はこちらで解説しています。
鋼材のうち、圧延加工によって板や棒などの形に成形された材料を圧延鋼材とよびます。また圧延には熱間圧延と冷間圧延の2種類があります。

黒皮材(熱間圧延鋼材)の特徴

熱間圧延とは、材料をおよそ900℃~1,200℃の高温にして加工する方法です。高温で加工するため、加工後に材料の表面が空気中の酸素と結合し、黒い酸化皮膜を生じます。これが「黒皮」の正体です。熱間圧延された鋼材は、黒い酸化皮膜に覆われ、ザラザラとした手触りの表面をしているため「黒皮材」とよばれるのです。
黒皮材にはSS材やSC材などもありますが、特に板の形をしたものはSPHC(熱間圧延鋼板)とよばれます。
黒皮材は、そのまま使用されるケースもありますが、ブラストや酸洗によって表面の黒皮を除去してから使用される場合もあります。

ミガキ材(冷間圧延鋼材)の特徴

冷間圧延とは、室温や常温で金属を圧延する加工です。加工によって発生する熱もあるため、およそ600℃以下での加工が目安になっています。一般に冷間圧延材は、熱間圧延鋼材の黒皮を除去してから冷間圧延加工を行って作ります。
冷間圧延材は黒皮材とは異なり、いわゆる磨かれた鉄の色である、白銀色の滑らかな表面をしています。そのためミガキ材とよばれます。
ミガキ材のうち特に板の形をしたものをSPCC(冷間圧延鋼板)といいます。

黒皮材とミガキ材の違いと用途

黒皮材は酸化皮膜をまとっているため、少しだけ防錆性があります。価格もミガキ材より安く、入手しやすい鋼材です。しかし寸法精度があまり高くないことや、黒い見た目のため、美観を求められる部位には使用できないのがデメリットです。
黒皮材はミガキ材の材料の他、車のボディや機械の筐体のなどに使われます。強度は必要としないものの、大きなパーツを作るのに適しています。
ミガキ材は美しい表面をもっていますが、非常に錆びやすいため、塗装などの防錆処理が必要です。価格は黒皮材に比べるとやや高くなりますが、鋼材としては入手しやすい材料に分類されています。
ミガキ材はワッシャーなどの薄い部品や、機械のカバーや建材などに使用されています。

熱間圧延と冷間圧延の特徴、SPHCとSPCCの特徴については、こちらにまとめてあります。

まとめ

黒皮材やミガキ材とは、圧延加工された鋼材の種類を意味する言葉です。

黒皮材は熱間圧延された材料で、酸化皮膜である黒い膜に覆われています。安価で入手しやすい材料ですが、ザラザラとした手触りで、寸法精度はあまり高くありません。
ミガキ材は冷間圧延された材料で、つやのある滑らかな表面をしています。寸法精度が高く、加工しやすい素材ですが、錆びやすいため防錆処理が必要です。

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