3D CADを使って ものづくり は楽しく! プロフェッショナル連載記事

変革に向けて ‐ 気づきを共有しましょう

変革に向けて‐気づきを共有しましょう
DXですが、だれもがDXについて理解しているわけではないようです。

先日、私が勤める社内で、DXについて勉強会を開催し、その講師をしました。まず初めに、「DXとは何か、わからない人は手を挙げてください」という私からの質問に対して、数名が手を挙げました。

アルファベット数文字で表されるデジタル化用語が、世の中にはたくさん存在します。多くの用語が同じような意味合いを持ちながら、たびたび使われているので、その区別も、その中身も理解できないことは、当然かもしれません。

私自身も、DXとデジタル化(Digitalization)をあたかも同じ意味のような印象を与える広告を目にすることがあります。これを見た人は、きっと同じものだと思うでしょう。

Can-Be:現実的にできること

私のような開発・設計・製造を行うエンジニアリング業界にいるものにとっては、3D CADはすでにインフラになりました。もう、単なるツール(道具)ではありません。

インフラとは、なくてはならないモノ、あって当たり前のモノです。
もし、3D CADを単なる2D CADからの置き換えとして導入していたのだとしたら3D CADのポジションはツールに成り下がってしまいます。

3D CADから見えてくる展開の可能性についても、【#11】「製造業のDXをスタートしよう!!」で記述しましたが、3D CADの先の展開でさえ、課題対策の施策ではなかったのだとしたら、これもまた、ただのツールに成り下がってしまうことでしょう。

製造業のDXは、「デジタルを使うことで、仕事のやり方を変える、考え方を変える」ことが必要です。そして製造業のDXの目的は「品質」「コスト」「納期」の向上です。(もしかしたら目まぐるしく変化する環境の中で、向上だけではなく維持ということも必要かもしれません)

これまで行われてきているデジタル化の中で、

  • デジタル化したことで、かえって工数を増やしてしまった
  • あちらこちらにデータができて、探すのに時間がかかってしまう
  • 作られたデータの精度が低い

なんていうことはないでしょうか。

こうなると現場は文句を言い始めます。
これはきっと、「テキストデータからの置き換えでデジタルにした」とか、これまでの仕事のやり方・考え方を見直すわけでもなく、デジタル化した結果、「上手くいかないデジタル化」になってしまったのでしょう。他の要因は認識です。この必要性はこのあと話します。

 

DXを紹介する中で、可能性について前回お話しましたが、大切なのは、問題の認識です。As-Is現状)は、だれもが会社で体験しているものです。上手くいっていないこととあるべき姿に悩んでいる人もいれば、「こんなことできたらいいのに」ということを、前回のような情報やなどから知ることもできるでしょう。これらがTo-Be理想のあるべき姿)ということがいえます。

では、何でもかんでも理想のあるべき姿を目指せるのかといえば、そうではありません。私自身もいろんなことをしたいのですが、一人でできることには限りがあります。

会社で何かをしようとした時、そこには人・モノカネが必要です。これは経営資源といわれています。スピード感は持ちながらも、経営資源に限りがある中小企業にとって、To-Beでいうあるべき姿は理想的すぎる姿かもしれません。「身の丈に合わない」などとは、いいたくはありませんが、経営資源を超えたものは非現実的です。

そこで私は考えるべきものがCan-Beだと考えます。現実的なあるべき姿といえばわかりやすいでしょうか。

本来、Can-Beは、パッケージツールに対して自社の要求事項に対応させるために行うカスタマイズを行う場合に、その要求事項に優先順位をつけて、その優先順位の高いものに対してカスタマイズを行うことで、現実的かつ理想に近づけることをいいますが、もう少し広い意味で、優先順位が高く、経営資源に見合うものとして現実的なあるべき姿としてCan-Beという用語を使っています。

As-Is ⇒ To-Be ⇒ Can-Be という順番にDXについて検討を進めていくのですが、これを進めるには、経営者の理解が必要です。

そのために重要な要素は変革認識です。
変革([英]transformation:変わりあらたまること。変えあらためること)

 変革認識 

  • 変革への気づき
    経営者と従業員が共に経営環境の変化に気づき、
    変革の方向性を経営者が判断し、IT経営による経営改革の構想を作る

経営者と共に社員が、変革認識を持つには、まずは「気づき」が必要です。気づきは問題意識を持つことで生まれます。問題から課題をみつけて、持続的な取り組みをすれば、成功するでしょう。必要なのは、経営資源だけではなく、全社の意識だと私は思いますし、経験しています。

DXは今最も必要とされている経営戦略です。IT経営戦略ともいえます。

3DEXPERIENCE WORLD2022

出典:ダッソーシステムズ 3DX World 2022 – SWUGN Updated Social Media Kit

出典:ダッソーシステムズ 3DX World 2022 – SWUGN Updated Social Media Kit

さて、今年もダッソーシステムズソリッドワークス社年次ユーザーイベント3DExperience World2022が開催されました。(ライブ配信:2022年2月7日 (月) ~ 2月9日 (水))

直前までアメリカ・アトランタでの開催の予定だったのですが、今年もまたバーチャル開催となりました。

今年のテーマはIMAGINE、日本語で表せば、想像力になります。

「想像力は知識よりも重要です。なぜなら、それぞれが持つ知識には限界があるが、想像力には限界はないからです。想像力は行動によって生まれます。もし人々がつながり、共に想像することができるのなら、私たちは将来を創造することができる」

ということがテーマとなり、これを実現することができるのがSOLIDWORKSであり、3D Experience Platformであるということをこのユーザーイベントから感じることができました。

3DExperience World2022で紹介されたDXにつながる製品は様々なメディアから紹介されているので、私は、クラウド製品についてそこから感じたことを話します。

これまでSOLIDWORKSブランドの最高経営責任者(CEO)を務めてきたGian Paolo Bassi(ジャン・パオロ・バッシ)氏に代わり、Manish Kumar(マニッシュ・クマー)氏のSOLIDWORKS CEO就任が発表されました。

クマ―氏は、SOLIDWORKS R&D(研究開発)担当バイスプレジデントも兼務するとのことなので、SOLIDWORKSとそのソリューションが充実したものになることでしょう。

バッシ氏は今後、エグゼクティブバイスプレジデントになり、3DEXPERIENCE Worksを主導していくとのことなので、クラウド版の製品への期待は高まります。

Gian Paolo Bassi(ジャン・パオロ・バッシ)氏(左) Manish Kumar(マニッシュ・クマー)氏(右)

Gian Paolo Bassi(ジャン・パオロ・バッシ)氏(左)、 Manish Kumar(マニッシュ・クマー)氏(右)

この体制の発表は、ユーザーコミュニティに対して、SOLIDWORKSと3DEXPERIENCE Worksという2本立ての展開が行われていくということを明確に示しています。「ユーザーの選択肢は増えた」といえるでしょう。

3DEXPERIENCE PLATFORMから3DEXPERIENCE SOLIDWORKSを起動

3DEXPERIENCE PLATFORMから3DEXPERIENCE SOLIDWORKSを起動

3D CADとクラウドへの期待

3DExperience Platformはクラウドシステムによって成立します。
ここで使用できる3Dアプリケーションは開発設計情報・プロジェクトの進捗が管理できるばかりか、将来はサプライチェーンにも及ぶのではと期待は膨らむばかりです。さらにはフルクラウド化が図られ、ハードウェア環境に依存しないものになり、

  • ANY TIME:いつでも
  • ANY WHERE:どこでも
  • ANY DEVICE:どんな端末を使用しても

を、実現することになりそうです。

3D CADはまだまだ進化し続けます。
皆さんがものづくりを楽しくできますように!!

次回より新しいテーマになります。引き続きよろしくお願いします。
お楽しみに。

 

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